早稲田大学所沢キャンパスは「首都圏に浮かぶ緑の島」とも呼ばれる狭山丘陵(愛称トトロの森)の北側にあります。早大キャンパス内には3ヘクタールの湿地と雑木林が広がっています。
トトロのふるさと基金が取り組むナショナルトラスト事業によって狭山丘陵の山林地周辺や、早稲田大学の周辺地域が保全され、多様な生物の生育環境となっている雑木林が豊かに残されています。狭山丘陵の一角にキャンパスを有する早稲田大学も社会的役割の理念のもとに、「早稲田大学自然環境調査室」を設置し、所沢キャンパスの学生が中心となって自然環境の調査と研究を行っています。
いきがい講座はこの雑木林に囲まれた豊かな自然環境のキャンパスで、心身の安らぎと有意義な勉強をしています。 講座実施報告と併せて、早稲田大学所沢キャンパス敷地の雑木林と、トトロの森の四季をシリーズで紹介します。
「ケヤキ」
ニレ科落葉樹、東アジアや日本に分布する紅葉が美しい樹木、埼玉県のシンボルの木でもある。
正門に通ずるケヤキ並木は新緑と紅葉のトンネルと落葉のカーペットが絶景です。 (関紀文撮影)
「コナラ」
ブナ科落葉樹、日本、中国に分布する。どんぐりの木として雑木林に多い。
いきがい講座の教室の裏のコナラの並木からマイナスイオンが流れてきます。(関紀文撮影)
- 講座実施報告
① 5月 7日(土)「男女共同参画社会」 講師:東京情報大学 圓岡 偉男教授
② 5月28日(土)講座実施報告「現代社会の健康と病気」 講師:東京情報大学 圓岡 偉男教授
5月7日(土)講座実施報告「男女共同参画社会」 講師:東京情報大学 圓岡 偉男教授
1. 生きる意味とは何か。
実在は本質に先行する。
2.男女共同参画社会とは
3.女性の労働と格差。
ジェンダーとフェニズム
4.障がい者や高齢者は可哀想な人なのか。 援助の原則は自立と自助。
5.ビデオ視聴 伊田みゆき~生きて愛して~
重度障がい者夫婦のヒューマンドキュメント。
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1.身障者に対することがらについては、今まで考えたこともなかった。それだけ、平常な生活とはかけ離れた事象との認識だった。今回の講義を契機として、少しは真剣に考えてみたいと思います。
2.今日の先生の授業で、“人間として手の貸方差し出し方”を学びました。本当の障がい者・高齢者に対しての考え方を、改めて考えてみたいと思いました。有難うございました。
3.障がい者の二人が結婚して子供を持つ。彼女の夢はそれでかなったが、子どもたちはそれで本当に幸せなのだろうか?と考えさせられました。ふるさとの父が厳しく育て月日がたって分かり合えたのには、父の気持ちに自分が重なり涙が出ました。
4.「男女共同参画社会」この問題の背景に、「少子高齢化社会問題」があることを知りました。この、より大きな問題を解決する為には「男女共同参画社会」が不可欠と思われた。今後自分がこの時間を生きていくにあたり「差別」「優しさ」をキーワードとして日々の生活を送っていきたいと、今日あらたに思った講義でした。
5.VTRを観て、障害を持っている人の気持ち「普通の人だってことを忘れないでほしい……」に感動しました。思いやりや優しさを前提としながらも、相手を傷つけない様「自立と自助の心」を心がけたいと改めて自覚したところです。有難うございました。
6.市の広報誌で「男女共同参画社会……」を見るが、なんとなく敬遠していた。圓岡先生の講義でもっと身近な問題だということが分かり、意義のある講座だと思いました。
7.昨年も「いきがい講座」を受けました。その時「障がい者が出来ることまで手助けすることは、人格の否定」の話が印象的でした。数か月後、杖を持った男性がエレベーター前で転倒しました。抱き起すことは簡単ですが、先生の言葉が浮かび「お手伝いしましょうか」と、声をかけたところ、「結構です、時間はかかりますが、自分で起きます」の返事が返ってきました。圓岡先生の講義を受けていなかったらとんでもないミスをしたと思います。
8.とかく障がい者・健常者と分けられて、相手の気持ちを読めない人間になってしまう。ここを良く考えて過ごしていきたい。
9.最後に先生がこの大学は、知識を得ることも大切だが、答えのないことも考えることだと言われたのを指針としてゆきたいと思います。これからの授業を楽しみにしております。
10.男女共同参画社会の中で、特に障がい者に対する最も基本的な知識を得ました。従来、街の中で車椅子の方を見かけるや、信号待ち状態で心配な気持ちで見ていました。≪できること≫までを手助けすることは、人間・人格の否定につながる……とは、大変勉強になりました。
11.市民大学で、介護予防のサポーターを2年間勉強し、そして、認知症支援サポーターを実施しましたが、今まで介護者(障がい者)の気持ちを考えたり・思ったりしていなかった自分がいたのだと痛感しました。ここからは、被支援者の心を先に読み取れる自分になりたいです。
12.今日のビデオ「母ちゃんになりたい」の伊田みゆきさんを観て、すごく感動しました。思わず涙してしまいました。とてつもなく強い生き方、家族の絆の強さなどが感じとれました。また、障がい者への対応も大変勉強になりました。各データ資料も色々なことが読み取れますネ。今日の講義は印象的でした。有難うございました。
13.サポートの原則……自分でできることは自分で、自立することが大切。脳性マヒの重度障がい者の「母ちゃんになりたい」では、自立して結婚し、子供を産んで生きる姿に感動をしてしまいました。相手を傷つけない優しさ、手をさしのべられる側の気持ちを考えさせられました。
14.圓岡先生 講義有難うございました。とても難しい内容でした。人間らしさとは何かを考えさせられました。伊田みゆきさんの人生は素晴らしいと思いました。
5月28日(土)講座実施報告「現代社会の健康と病気」 講師:東京情報大学 圓岡 偉男教授
1.2016年度最新人口動態の概況。
出生率が改善、高齢化率の上昇、平均寿命は男女とも80歳を超えた。
2.日本人の死因は
① ガン ② 心疾患 ③ 肺炎
3.最後を迎えたい場所(55歳以上の意識調査)
① 自宅 ② 医療施設 ③ 福祉施設
4.ビデオ視聴 「ガン告知から終末までの見守り」
外科医・熊沢医師の夫人とガン患者の記録
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1.身近な人が亡くなるたび「一日を大切に生きる」という事を考えるが、今日まさにその思いを強くした。かけがえのない時間(人生)を大切に生きなければと思いました。
2.3年前に妻を乳ガンで看取ったことがよみがえってくる。55歳の短い人生であったが、家族の絆は確かに看護・入院・泊まり込みで強くなっていったと思う。「日常の些細なことが幸せ」確かにそう思う。良い授業だと思う。
3.日本人の死因第一位のガン、他人事ではなく考えさせられた「人間劇場」DVDだった。ガンor熊沢先生が、長く連れ添った妻にウソをついたまま別れたくない、最後までウソをつける自信がないとの理由から告知、死の宣告を選択する。残された時間を本人なりに満足、納得できることを願いつつ・・・。世間では告知しない意見も相当多い中でもし自分がガンだったらと思うと、やっぱり知らせて欲しいと思った。前回のDVDも含め、今後の生き方の考え、判断に参考となった。人生ここまで生きてこられた健康なカラダに生んでくれた両親に感謝しつつ。 講義ありがとうございました。
4.「生きるために」のDVDを見て私も8年前に妻を子宮ガンで子宮全摘出手術し、一緒にリンパ球も摘出しました。手術後妻と会った時、その身体・顔を見たときに、(心で)これで最後だと心が破ける思いを経験しました。「わかれ、思い出、子供の事、一人で生きられるのか等々」頭をよぎったのです。今は治療の甲斐あって普通の生活をしています。幸せ感と安堵感でいっぱいです。人は一人では生きられないもの、自己・家族を信じて強く生きることが「大事です」。
5.二人に一人が「ガン」になる現代。今日はガンを告知された二人の映画を拝見し色々な事を考えてしまいました。健康をいかに維持していくか、病気になった時どのように向き合っていくか改めて考えていきたいと思いました。
6.ガンは今や現代病ですよね。身内や自分がいざなったら、今から心に考えていかなければと思っております。本当に考えさせられる大事なテーマだと思います。 ありがとうございました。
7.前回言葉が浮かんできませんでした。求めれば与えられるという言葉が残りました。親は有難かった。いない後も有難い。両親の曾祖母と曾祖父母から母と父に伝わったものが私へ伝わった。母は私が生まれた時この子はと決めた道へ行けるように。そこを目ざしています。間違った道を生きて少しでも正して、この世を過ごしていきたいです。
8.自分がガンになったら、告知をしてもらって最後は自宅で迎えたいと思っていましたがビデオを見て家族にかかる負担とかを考えると病院の方がいいのかと? 主人がそうなった時は今までの感謝をこめて、自宅で介護したいと思います。でもその前に告知されたら、なんで私がと気が狂うほど 泣きわめくと思います。
9.私の周囲にもガンで亡くなった方、治療し完治した方沢山います。告知されるようになってきていますが、家族と一緒に現状を説明してもらい治療方針についていくつかの選択肢があれば相談し、自分の考えが伝えられるといいですね。最期を家庭で看取って貰えるのは希望です。そのためにガンの患者の気持ちを理解して下さる訪問医療の施設が多くあると嬉しいと思います。あきらめること、これからどう生きるのかを考えることの大切さが良く理解できました。
10.7%の高齢化社会、14%の高齢社会、又その事が数年前から分かっていた事に驚きました。これは大きな社会問題であると新ためて思い、今の自分は今後の人生を・・・考えさせられました。自分が自分らし、人間らしくいられる時を持つ為に日々の努力が必要と感じています。
11.日本の高齢化が1970年に始まっていたことの驚き、ならばなぜ若者を大切にする世の中にならなかったのか、なぜニートが増えた世の中になってしまったのか、政治は何十年も先を見据えないと、大変な事になるという事がよく分かりました。最後に観させて頂いたビデオも、とても心に響き考えさせられました。観させて頂き良かったです。ありがとうございました。
12.高齢者の健康と病気、種々のグラフデータから色々なことが読み取れました。ビデオ視聴からは、死の告知については大変難しい問題では、これを機会に家族とも話して・・・考えていきたいと思います。人生について、死について等、考えさせられる講座でした。ありがとうございました。
13.告知することによって、本人だけではなく家族のその後の人生においても、何かプラスになる事があるのではないかと思いました。死は誰にでもいつか訪れるものなので、死に向き合うという事が少し実感できたような思いでした。
14.高齢化社会、高齢社会という言葉を聞いたのが割合最近のことだと思っていました。高齢化社会が昭和45年、高齢社会が平成7年とは・・・。私が子供だった頃は、子供が5人の家庭はざらで当時は子供の多さがむしろ弊害だと言われていました。この落差について行けない感じがしています。「生きるために」は何回見てもじんとします。今後も上映を続けて欲しいと思います。
15.高齢社会であろうとなかろうと、病気と死、愛する者との別れはある。誰にでも訪れる問題である。本日の授業の内容と、観せられたドキュメンタリーのビデオの関係をどう理解するのか、判断に苦しむ。
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圓岡教授より
今回の内容は、「現代社会の健康と病気」をテーマとしており、とくに「高齢者」に集中したものでした。ご指摘の通り、今回の内容は、高齢社会に限ったことではありません。したがって、講義では、まず、日本人全体のデータをお示し、そして、高齢者の問題をご説明しました。ビデオも「高齢者」に限定したものではなく、40代、50代、70代の方々のドキュメントでもありました。死をめぐる問題は、「生きがい」をお考えいただく上で重要なものであるとも考えています。Aということを理解するには、非Aの存在が必要になります。「生きる」ということは「死」ということを考えることによって、はじめて浮かび上がってきます。講義の内容とビデオ教材はここでつながることになります。「現代社会の健康と病気」をお考えいただくために、まず、現状のデータを知っていただき、そして、「健康と病気の問題」を「死の問題」をとおしてお考えいただいた訳です。講義時の説明が少し不足していたかもしれません。 後からの補足になりますが、ご理解いただければ幸いです。
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