狭山の特産品「さといも」についてもっと知ろう
日 時:1月26日(水)13:30~15:30
会 場:オンライン 元気プラザパソコンルーム
講 師:JAいるま野 諸口栄治代表理事
田中義孝部長 塩野康夫課長
受講生:出席10名(欠席1名)
狭山が「さといも」の産地になるまで
本日の講師は半世紀以上も堀兼地区で農業に従事している、JAいるま野の代表理事諸口栄治さんです。諸口さんが農業を始めた昭和38年当時は入間ゴボウの大産地で、2億円を超える売り上げがあったそうです。しかし、機械化により連作障害がおこり、次第に衰退。その輪作作物として、ほうれんそうとさといもの作付を推進し、広く栽培されるようになったそうです。
さといもには水が必須。そこで昭和59年、当時狭山市長だった大野松茂さんにかん水設備設を入れて欲しいと頼み、62年に県、市、当事者がそれぞれ三分の一ずつ費用を出し合い青柳地区にかん水設備が導入されました。かん水設備は集団で行わなければなりません。後継者があれば投資もできますが、そうでない場合にはなかなか理解されず、皆の了解を得るのに大変苦労されたそうです。
国内のさといも収穫量は年々減少していますが、埼玉県では少しずつ増加、現在では国内1位の収穫量を誇っています。その収穫量の98%はいるま野管内、その内狭山は50%強です。現在狭山市の農家数の第1位は「さといも277」で、次に「ほうれんそう252」「ねぎ112」と続きます。作付面積は98haで、市の畑の面積の約10分の1はさといも畑です。
また、さといもをブランド化するために選別の等級を孫いもの大きさで6等級、形状で2等級、さらに子いもを大きさで2等級計10等級に分けているそうです。等級により高級料亭や量販店向け、加工業務向けや特売用など、用途に応じた商品提案が可能になります。
さといもと土づくり
入間管内におけるさといも栽培の特徴は、土壌管理によりさといも栽培に適した土作りを行っていることです。武蔵野の肥沃な大地に良質な雑木林の落ち葉を堆肥にして継続的に投入、作付終了後には緑肥を栽培してすき込むそうです。冬場には固くなった土を耕し、霜で分解させます。団粒構造(通気、通水、保水性に優れ、根張りも良くなる)になり、堆肥由来の遅効性の窒素などにより肥持ちがよくなります。
さといも栽培の課題
さといもは連作できません。3年に1回の栽培が理想だそうです。そのため、ほうれん草や人参と組み合わせて栽培しています。3年に1度にするには耕作地を増やすことも課題解決方法の一つです。そのため、遊休農地を使用することも考えられるとのことでした。
また品質向上のため、「さといも共進会」を毎年開催し、上位入賞者の栽培方法を会員に公開して栽培技術の向上および平準化を図っています。さらに諸口さんは、「種芋は自家生産だが、優良品種を皆で分け合い、地域全体で品質の向上を図っていくことも大事だ」と話されました。
2020年10月からは狭山市堀兼でさといも選果場も稼働を始めたそうです。さといも栽培は重労働であり、その中でも選別に要する作業時間が大きな課題となっていました。作付け面積の維持、拡大のために選果施設を導入し、生産者の労働力軽減や作業分業化による効率的な生産体系を図るものです。同時に狭山のさといもの品質維持にもつながります。「これからは日曜日は休めるような農業にしなければ、生き残れない」ともお話しされました。
その他、狭山のさといもは高品質であることを市内外の皆さんに知っていただきたいと、狭山元気プラザで「第1回狭山さといもグランプリ」も開催されました。
あなたもさといも作りを
全国トップの「いるま野さといも」は、「ねっとり感」「いもの白さ」「食味の良さ」が最大の特徴。この特徴が大きく評価され、高級料亭でも多く利用されています。「さといもを皆さんにもっと知っていただき、多くの方に食べていただきたい」と話されます。「さといも作りはベランダでもチャレンジできます。プランターや土の入っていたビニール袋に落ち葉と親芋を入れると、子芋が5~6個は採れます。『団地のベランダにさといもの株があったよ』なんて、良いロケーションじゃないですか」と続きました。あなたも挑戦してみてはどうでしょうか。
講義を終えて
講義後の質問タイム。受講生からは、「さといもの北限はどのあたり?」「選果場にはさといもを親、子、孫に分けて持って来るの?」「さといもと八ツ頭、ずいきの区別は?」「さといもが狭山を代表する野菜と分かった。もっと広めるには?」「この頃さといもコロッケをみかけないのだけれど……」等々の質問が出されました。技能実習生や、法人化したらどうか等の話も出、「皆さんとても熱心ですね」の声に、リーダーの「この講座の受講生は狭山大好きな人ばかりなので……」との話で講義を終わりました。