★開催日: 平成 31年 2月 23日(土) 時間 9:30〜12:00
★場 所 狭山元気プラザ 大会議室
★担当講師:日本茶インストラクタ^-野口 留美子、NPO法人食生態学実践フォーラム 理事長 足立 己幸
★講座スタッフ :コーディネーター:宮野 由紀講座リーダー:草野 喜実勝
:スタッフ:綱島 佐智子、松瀬 陽子
★講座のテーマ:
第一部:「もっと飲みたい飲ませたい狭山茶の魅力」
① お茶とは・・・
*日本では栽培としては秋田県檜山が北限だが、経済的北限は新潟県村上市と茨城県大子町を結 んだ付近で ある。九州、四国にやまちゃが多く自生しており自生説もあるが中国からの渡来説が有力であると古い文献などから考えられている。
② 現代からどのくらい前なのか
中国へ仏教や禅の修行に行った僧侶が持ち帰ったという文献が数多く残っており、永忠、最澄空海、栄西やその弟子が持ち帰った茶の種子などを境内や敷地内で栽培し、修行の際の供物としてまた、厳しい修行での覚醒効果や高揚感を期待して飲用していた。
狭山茶は最澄の弟子慈覚大師円仁が今の喜多院付近、無量寿寺の境内で栽培、鑑真の弟子道忠が開いた都幾川の慈光寺の山内に栄西禅師の弟子の栄朝も霊山院を建立、禅道場を開き山一帯に栽培。一旦戦火で焼失したもののわずかに残っていたがその後の狭山茶の運命を変える。
③ どんなところで育つのか
*年平均気温 ―13~16℃以上 年間降水量 ―1,300㎜ 以上が育ちやすい。
埼玉県 〃 ―15.9℃ 埼玉県 〃 ―1,301㎜ (28年度統計による)
*狭山茶 茶畑面積は全国 8位 生産高は 〃 13位 ⇒ 他の地域より茶摘みする回数が少ないため。
三大狭山茶産地 入間市 所沢市、狭山市
他に飯能市 日高市 川越市 鶴ヶ島市 川越市 秩父市など
④ からだに良いこと―
1211年栄西禅師の著した『喫茶養生記』の冒頭に「茶は養生の仙薬なり、延齢妙術なり。」とあり、後半に「種々の薬は各々一種の病の薬なり、茶はよく万病の薬となる」とある。日本では1200年前から飲用され続けてきた茶の効果効能を語り継 がれ寺社仏閣だけでなく、各家庭の茶の間での日常が繰り返され、「日常茶飯事」そのもの。
*カテキン:発がん性抑制 抗酸化 抗菌 殺菌効果 インフルエンザ予防
水 *カフェイン 高揚感 覚醒効果 利尿作用 疲労回復 血行促進
溶 *テアニン ストレスや神経疲労の解消 血圧降下作用
性 *サポニン 抗菌 抗炎症 抗アレルギー 肥満抑制 血圧上昇抑制
成 *ビタミンC メラニン生成阻害 酸化抑制 病気への抵抗力
分 *フラボノール 口臭予防
*フッ素 虫歯予防
水 *食物繊維 抗がん 血糖上昇抑制
不 *たんぱく質 栄養素の一つ
溶 *クロロフィル 消臭効果 抗突然変異
性 *ビタミンE 抗酸化 溶血防止 血行促進
成 *CoQ10 老化予防 美肌効果
分 *香気成分 アロマテラピー効果 など
このように語り継がれ、飲用し続けてきた理由はおわかりいただけたと思います。
⑤ 茶の呼び名:育成方法、製造方法、形状、摘採時期、発酵度合などの違いで種類分けされる
*育成方法―煎茶 かぶせ茶 玉露 碾茶
*製造方法―普通蒸し煎茶 深蒸し煎茶 釜炒り茶 玉緑茶 手揉み茶 抹茶
ほうじ茶
*形状 ―荒茶仕立て 煎茶 茎茶 粉茶 パウダー茶
*摘採時期―新茶 一番茶 二番茶 番茶 秋冬番茶
*発酵度合―緑茶 ウーロン茶 紅茶
⑥ 商品名としてー地名、品種名、説明をあらわして、メーカーによるネーミングなどの呼称
*地名 ―狭山茶 静岡茶 知覧茶 嬉野茶 宇治茶 京番茶
*品種名 ―やぶきた茶 さやまかおり ふくみどり おくはるか
*説明 ―新茶 初摘み 農家直送 荒茶仕立て 焙煎
*メーカーーおーいお茶 生茶 伊右衛門 綾鷹
以上の講義の後引き続き、“美味しいお茶の淹れ方”の実習を行った。
*(受講生を3人一組に分け、それぞれ3人分づつ、美味しいお茶の淹れ方を野口講師の模範実演を見た後それぞれが実演を行った。その後自分で入れたお茶を試飲した受講生は、普段自分で淹れたお茶との違いに驚く様子であった。)
第二部:グループワークショップ
☆第一回講座で講師を務めて頂いた、NPO法人食生態学実践フォーラム
理事長 足立 己幸氏が飛び入りで参加され、グループワークの運営と取りまとめを指導して頂いた。
☆第一回講座で足立先生が使用した「人間・食物・地域とのかかわり」を図にしたチャートを模造紙の全紙大に 拡大したチャートを使用し、グループメンバーがお互いに考えたキーワードを付箋紙に書いて貼り付け、約60分後にそれぞれ取りまとめたチャートについて他の班の皆さんに説明して貰った。
第三部:修了式
さやま市民大学学長 小山周三先生に受講生一人ひとり修了証を授与されました。受講生18名のうち一人を除く17名の修了生が講座から巣立って
行きました。修了生の皆様、おめでとうございます!
<受講生の意見・感想>
*日本茶の奥が深いことに気づかされました。
*きちんと淹れた方が良いと思いつつ熱いお湯で深蒸しを飲んでしまいます・・・
*食育と料理教室が学童と共に活動できるものが有れば良いと思います。
*たまにはきちんと淹れた緑茶を味わおうと思った。
*お茶の淹れ方でこんなにも味と香りが違うのは、今更ながら驚きです。
*丁寧に真心こめて淹れたお茶はとても美味しかったです。
*お茶が体に良いことは知っていたが、改めてこんなに作用があることを知ってよかった。
*何気なく飲んでいる毎日のお茶をもう少し心を込めて淹れることにします。
*地産地消を心掛けて狭山の野菜を作って、使って、取り合えず家族の食事からと思っています。
*家族のために毎日は無理でも美味しいお茶を淹れてあげたいと思いました。
*お茶の話の中に、永谷園や山本山の名前が出てきて興味深かった。
*母より小さいとき淹れ方を教わりましたが、改めて丁寧に実践していくことの大切さを知りました。
*狭山茶のおいしさをもっと伝えていきたいと思いました。
<講座リーダーの感想> 草野 喜実勝
*狭山茶の話は当講座の中でも何度か色々な角度から聞かされているが、今日の野口講師のようにお茶の歴史から、淹れ方、その成分、栄養素、日本の産地のことまで詳しく専門的に学べたのは初めてかも知れない。
*その上美味しい(正しい)お茶の淹れ方を丁寧に、詳しく実習させて貰えてとても得した、充実した60分でした。
*本講座は、2年前から行政上のニーズの基づき、保健センターの宮野さんを中心に
企画されていたものを、全10回の後期講座として開講したもので、“食べることは生きること”を様々な観点から実践的に学ぶ講座という、従来の市民大学の講座には無かった身近なテーマを扱ったものであった。
*受講生は全て女性、毎回講座の内容も食べる事に関するもので、唯一の男性講座リーダーとしては不安もあったが、コーディネーター宮野さん、そして女性スタッフ3人の助けもあり、何とか無事修了式を迎えることができました。
*毎回の講座の内容が受講生にとってもかなり役立つ、実践的なものであったということが、毎回の「振り返りシート」にもはっきり表れており、この講座の狙いと目的が10回の講座によってきっちりと果たされたものと確信しました。