さやま市民大学設立5周年記念フォーラム
広報委員の取材日記「市民大学サミット in 狭山」
~ 市民大学の学び、社会貢献、いきがい発見 ~
取材:記事 高橋徳子 ・ 写真:草野喜実勝 内山啓 樋口富美子
日時:平成31年1月23日(水)13時~17時
場所:狭山市市民交流センター1階のコミュニティーホール
【主 催】NPO法人 さやま協働ネット 【共 催】狭山市
第一部 … 開会式
本日、さやま市民大学設立5周年記念 「市民大学サミットin狭山」を開催できたことを光栄に思います。5年間の活動を振り返り、市民大学の更なる発展のきっかけになればと思います。
さやま市民大学が誕生し5年が経ちました。この5年間で約2000人の修了生が巣立ちました。5年を節目ととらえ、この「市民大学サミットin狭山」で情報交換し、学び合えるのではないかと思います。
戦後の混乱期から、質、量を経て個性を兼ね備えたまちづくりが行われてきました。次は「協働」のまちづくりへ向かっています。前仲川市長が市政の中に「協働」という概念を初めて入れ、市民大学の構想、仕組みを作りました。狭山に、皆さんが輝くための「協働」の理念がしっかり位置づいています。
人材育成が難しい時代です。学んだ経験を活かし、元気な活力ある狭山にしてほしいと思います。狭山市議会も一緒に取り組んで、魅力あるまちづくりを目指します。
修了生団体活動報告
① NPO法人コモンズ代表 常世田幸久氏
市民大学でコミュニティビジネスの手法を教わり、現在に至る。高齢者の生活支援が個人情報保護法下でより難しくなっているが、住み慣れたまちで自分らしい暮らしをするための手助けをしたい。できることをできる時に、持てる力を発揮して互いに助け合う地域安心生活支援活動を進めてきた。今後は困りごと相談窓口の拠点運営、コモンズ広場の解説(お茶の間の提供)を考えたい。支援者の高齢化も進んでおり、世代交代の準備もしたい。
② NPO法人狭山歴史ガイドの会代表 塩崎裕司氏、萩原武士氏
2年前NPO法人になり、活動の場が大きく広がった。講座の内容を市民の皆さんの中に広げるための活動をしている。
市内文化財の保護、保存、紹介のため、次の活動を行っている。①文化財ガイド、②狭山の歴史講座運営、③ガイドブック「狭山市の史跡、文化財を訪ねる」。歴史講座修了生は500名を数える。長年の活動の積み重ねによる専門的知識の蓄積と組織的な対応がガイドの会の特長と言える。課題は人材と財源の確保なので、これを解決して更に発展していきたい。
第二部 … 記念フォーラム「市民大学サミットin狭山」
テーマ 「市民大学の学び、社会貢献、生きがい発見」 ~あなたは何を学び、どう活かしますか~
☆基調講演 「あなたは学びの成果をどのように活かしますか」 桜美林大学名誉教授 瀬沼克彰氏
・地域活動とは従来は自治会等地域社会に密着したものだったが、10年くらい前からスポーツ・文化活動、学習活動と捉えられるようになってきている。
・地域活動への参加の第1歩は本当に好きなことをやってみる。すると楽しいし、飽きない。仲間を見つけ、継続することが大事である。展覧会に出品する、周りの方に見ていただくなど、学習成果の発表が、次へのステップになる。
・生涯学習から地域活動への変換に必要な物は、少しのお金とやる気。能力はなくてもできる。知識、技術は後からついてくる。登録バンクがあるが、「いつまで待っても声がかからない」との不満が多い。男性は退職数年前から準備しておく必要がある。参加する際の留意点は、集団内のきまりを守る事。特に時間はきちんと守る。職場より地域の方が人間関係が難しいと心得る。活動することによって個人は確実に成長する。
・活動の留意点としては、活動の中で一つの役割を持つ。新参者であることを自覚し、1年は静かにする。決まりを守る。人間関係をベタベタした物にせず、友人はその活動以外に作る。
・資金調達には各市町の市民企画事業を利用すると良い。助成費は財団センター(JFC)を利用するなどもできる。
☆市民大学サミット・パネルディスカッション 「市民大学の学び、社会貢献、生きがい発見」
アドバイザー 桜美林大学名誉教授 瀬沼克彰氏
コーディネーター さやま市民大学 学長 小山周三
- パネリスト
①行田市民大学(NPO法人行田市民大学活動センター理事長 今村武蔵氏)
・平成19年開学。「楽しい、うれしい、すばらしい」が基本理念。「市民による市民のための市民大学」で多くの市民に生涯学習の場を提供し、一人ひとりが輝き、豊かな地域社会づくりに貢献することを目的とする。行政からは講師謝金として年50万円ほどの財政支援を受ける。受講料は1万5000円。市内のものつくり大学の全面協力を受ける。校舎、学食等も利用できる。
・郷土学7割、市民学(健康講座等)3割。楽しみとして、音楽会等も行う。「学んだことを目で見よう」とのことで、バスツアーを組み、友好都市訪問等もする。2年生は自分たちでテーマを決めて活動し、2月に発表会をする。冊子を作って市の図書館に寄贈する。卒業後も同窓会で研修旅行などをする。
・子供たちを地域で育てることを目指している。いくつになってもやることがある、人の役に立つことは、満足感がある。
・修了後は在学時のグループ研究を継続し、クラブ活動や研修会、研修旅行などを企画。「子ども大学ぎょうだ」への支援や、市内2校の放課後子ども教室の運営を引き受けている。
・昨年度のクリスマスコンサートでは、一般市民260名を含む約400名の参加があった。
・若い世代も受講できるように、土日や夜間の開講も考えるべきである。
② きらめき市民大学(東松山市教育部社会教育課 矢部良明氏)
・東松山市は焼き鳥が有名だが、ノーベル賞受賞者(2015年物理学賞 梶田隆章)が生まれた町でもある。行田市より100年ほど古い古墳群がある。きらめき市民大学は平成14年開校。「豊かな心・あふれる元気・きらめく個性」を持った人材の育成を目指す。独自キャンパスを持ち、体育館も併設されている。2年制で週に1日授業日がある。市直営の大学で、市長が学長を務め、教育長、市職員が運営にあたる。2年時は課題研究に取り組む。
・修了後は公友会連絡協議会で相互の親睦を図る。ボランティアクラブで住みよいまちづくりに貢献するほか、大学キャンパスを利用してパソコン、太極拳、農園等自主的なクラブ活動を続けることもできる。
・課題研修のまとめが既に16冊にもなる。卒業生による「きらめき出前講座」もある。
③ 久喜市市民大学(久喜市教育委員会教育部生涯学習課 布施昌美氏)
・地域コミュニティづくりの担い手やリーダーを育てることを目的に、30才以上の市内在住者に2年間の学習機会を提供する。1年30単位、2年20単位。公設、公営で行われている。学長は市長であるが、運営は学識有識者による運営委員会が、庶務は生涯学習課が行っている。2年制で大学院を併設している。24期生を数える。60才以上を対象にした「高齢者大学(40年目)」もある。ただし、どちらも平均年齢は70才近い。どちらに入ったら良いか迷う人が多いのが実情。講師の先生が魅力ある講座につながる。また、アンケートで学生のニーズを把握し講座を決める。警察の方を講師にしての「ふせごう特殊詐欺」という講座を新講座として考えている。卒業生を講師にとも考えている。JAXAのOBを講師にした「宇宙開発最前線」講座はとても人気がある。
・利根川の流れはどのようにして変えられたか等座学に加えて視察をする。久喜市について知る講座のほか、学年内で企画運営する体験型講座がある。また、「まなびすと講座」として、生涯学習ボランティアの推進者を育てる。修学旅行は話し合いながら行先を決め、行って、見て、学んでくる。
・卒業生477名は各種ボランティア活動に参加、校友会では親睦を図るとともに生涯学習やボランティア活動に取り組む。
・今後のまちづくりを担う人材を育成したい。地域と共にある学校づくりをめざしたい。学校が地域に働きかけ、地域で子育てできるような……。また、行政や近くの地域と連携して学び続ける人の育成を図りたい。
④ 市民大学ふじみ野(NPO法人ふじみ野みらい代表理事 水谷敏彦氏)
・「市民の学び 地域の学び 知の好循環」を理念に市民と地域と行政が連携し、協働で学びを企画運営している。ふじみの市から特定非営利活動法人「ふじみ野みらい」に業務委託。今年で3年目。公民館活動とは異なる講座をめざす。
・地域にどう戻るかが重要。まずは「自分の健康」ということで、薬膳料理の実習、また、地域とどうコミュニケ―ションを取るかということで、認知症や子どもの見守りについての講座を開く。ICTを活用した「スマホ活用講座」も好評で必ず定員オーバーになる。3倍の応募のあった時もある。アプリで困っている子どもの状況を把握することや、自治会の回覧をファイスブックで行うことも考えている。市民の中のプロを市民に還元する「学び合い講座」を考えている。市民に講座を持って運営していただく。市民のつながりの強化にも役に立つと考える。
・市内の大学の先生に講座、講師をお願いしている。講座は実際に目で見ることが大事と考える。実際に水道事業はどのように行われているのか等社会科見学的な講座を開いてみたい。
・自分の住む町が「いいまちだね」と言われるよう、みんなで作るまちづくりに少しでも寄与できればと思う。
⑤ さやま市民大学(NPO法人さやま協働ネット理事・さやま市民大学 運営委員長 髙橋和子氏)
・SSCCと元気大学を統合し、市民大学としてスタートして5年目。学びの成果を地域社会に反映することを目的に、今年は24講座、456名の受講生。「協働」ということを先駆的に行っている。修了生のこれからを応援する「地域連携推進室」がある。修了生の中には素晴らしい活動をしているグループもある。
・地域社会に還元することを目的に講座を企画している。「狭山の語り部養成講座」や「女子力アップ講座」が人気。地域の強さ、底上げは女性からではないかと考える。「狭山の歴史」や「防災講座」など、開講以前から続いている講座もある。
・後半生をどう生きるかが問われている。狭山市民に「市民大学があって良かったね」と言ってもらえるような大学にしたい。
⑥ 講評(アドバイザー 桜美林大学名誉教授 瀬沼克彰氏)
・学びは使って初めて知恵になる。使わなければいけない。
第三部 … 交流会
- スライドショー 「さやま市民大学 この1年」
- 挨拶と乾杯 前狭山市長 仲川幸成氏
- ~ 歓談 ~
- 閉会の言葉 NPO法人さやま協働ネット副代表理事 諸井壽夫
さやま市民大学設立5周年記念 「市民大学サミットin狭山」は、盛況のうちに無事終了致しました。準備を重ねてきた関係者の皆様にもこの日の参加者数は想定外だったようで、用意されたプログラムや資料が足りなくなるというハプニングもありました。4時間を超える長丁場でしたが出席者の皆様はまだまだ語りつくせなかったことでしょう。参加者の皆様お疲れ様でした。