平成30年度さやま市民大学公開講座 第2回講座
心 の 処 方 箋
~ 今こそ『論語』の名言に酔いしれる ~
取材:さやま市民大学 広報室長 草野喜実勝
✥開催日時:平成31年2月6日(水曜日) 午後7時~9時
✥場所:狭山市立中央公民館 第2ホール
✥講師:東京家政大学地域推進センター論語講師、大東文化大学地域連携センター論語講師 打越竜也氏
✥入場者:約80名
打越竜也氏プロフィール
大東文化大学大学院博士後期課程満期退学(文学修士)
専門は、中国哲学・近世日本儒学
現在、東京家政大 学地域推進センター、文京学院大学生涯学習センター講師他。
著書に『こど もと楽しむマンガ論語』『郭店楚簡の 研究』(共著)など
✥講演の概要:
◆これから『論語』と漢文を読むために
◎『論語』予備知識
『論語』は全20篇あり、今から2,500年以上前の乱世の中国で、人間どう生きていくべきなのかを問い続けた孔子(『こうし』本当の名前は丘(きゅう)。孔子(の子『し』は先生の意味。)と弟子たちとの言行録である。
◎「漢文の読み方」予備知識
かって日本人は、元々中国語であるこの漢文を、順序を変えて日本語の語順で読めるようにした「返り点」と、不足の語をカタカナで漢字の右下につけた「送り仮名」によって、日本語のように読めるようにしてくれた。
◎「返り点の基本」(省略)
本文①(原文は縦書きですが、横書きでレ点、返り点は省略します。)
樊 遅 問 知。
子 曰
務 民 之 義、敬 鬼 神 而 遠 之。
可 謂 知 。
問 仁。
曰、仁 者 先 難 而 後 獲。
可 謂 仁 矣。
<書き下し文>
「樊遅知を問う。子曰く、「民の義を務め、鬼神を敬して之を遠ざく。知と謂うべし」と。仁を問ふ。曰く、「仁者は難きを先にして獲るを後にす。仁と謂うべし」」と。(現在語訳は省略)
<書き下し文>
子曰く、「人遠き慮り(おもんばかり)無ければ、必ず近き憂いあり。」
本文③
子 在 川 上 曰、「逝 者 如 斯 夫。不 舎 昼 夜。」
<書き下し文>
子川上に在りて曰く、「逝く者は斯のごときかな。昼夜を舎(おか)ず。」
本文④
子 曰、「君 子 成 人 之 美、 不 成 人 之 悪。
小 人 反 是。」
<書き下し文>
子曰く、「君子は人の美を成し、人の悪を成さしめず。小人は是に反す、」
本文⑤
子 曰、「其 身 正、不 令 而 行。其 身 不 正、雖 令 不 従。」
<書き下し文>
子曰く、其の身正しければ、令せずして行わる。その身正しからずんば、令すと雖も従わず。」
本文⑥
伯 牛 有 疾。
子 問 之。
自 牖 執 其 手 曰、亡 之。
命 矣 夫。
斯 人 也 而 有 斯 疾 也。
斯 人 也 而有 斯 疾 也。
<書き下し文>
伯牛疾有り。子之を問う。牖(まど)より其の手を執りて曰く、之を亡えり。命なるかな。斯の人にして斯の疾有りや、斯の人にして斯の疾有りや。
以上のお話をホワイトボード2枚に大きな文字を速記者のような速さで書きながら、淀みなく、時にはユーモア溢れる語り口でお話し頂きました。
2,500年以上前に書かれた「論語」の中から打越講師が公開講座の来場者にとっても身近に感じられるテーマ、内容の部分を厳選して読み解いて頂いた2時間だったと思いました。「論語」は決して古くはない、と改めて感じたお話でした。
先生の講義の後、来場者のリクエストに応じて、何とテレサ・テンの名曲「月亮代表我的心」を歌うというハプニングもあり会場は大いに盛り上がりました。
その後お忙しい業務の合間を縫って駆けつけて頂いた小谷野狭山市長、市民大学小山学長からそれぞれお礼の言葉を頂き、第2回公開講座は盛況裡に終了しました。