☆講座日時 :平成 30年 7月6日(金) 時間 13:30~15:30
☆場 所 : 狭山元気プラザ B棟2階 大会議室
☆担当講師 :さやま市民大学学長 小山周三 、小川農園 代表 小川洋之
☆ 講座テーマ:「食」と「農」を活かしたまちづくり
第一部:①「私の「食・農研究」との関わり~さやま市民大学学長 小山周三
★「優良経営食料品小売店コンクール」審査委員長として
~「地域の誇り」としての優良店を表彰(全国約600店)
★「食・農のコミュニティ・ビジネス講座」コーディネーター
~さやま市民大学で市民起業家の育成
★「食品流通」の研究者として~農水省食品流通審議委員歴任
★「趣味の手打ちそば」を通じての地域振興~そばで地域おこし、「さやま茶里ティ
-そば祭り」の開催
②食と農を活かした狭山のまちづくり
★狭山市の都市魅力の多面性
・住宅都市:狭山台団地、狭山ニュータウン他
・工業都市:工業製品の出荷額が県内第二位
・商業都市:大型スーパー多数
・農業都市:古くから農業合併で発展
・観光都市:観光資源の見直し、掘り起こし
★「食」と「農」をめぐるまちづくりの課題
「食」:どのような食べもの屋さんがあるのか? 都市の魅力
:突出した名店、郷土料理、“わざわざ行きたくなるレストラン”、B級グルメ(さといもコロッケの他に?)、農産物直売所(あぐれっしゅげんき村)の等。
:狭山の郷土野菜を食べられるレストランは有るか?
:さやまブランドをどのように作るか?
「農業」:休耕地の活用、転用
:市民菜園の活用
:狭山ローカルブランドの活用
:6次産業化~ブランド開発
:農・福祉の連携~福祉ファームなど
③地域を元気にするローカルブランドの構築の仕方
★地元・地域をブランド価値に育てる~例=京野菜、江戸野菜、嬬恋野菜、狭山茶、深谷ネギ・・・
★ブランド構築に必要なものは
・想い(ミッション)の明確化とその物語(ストーリー)化
・社会性の追求も物語の大事な要素
・生産・加工・販売の連携と一貫性
・地元消費者がサポーターになる~市民・住民が応援団
★価値を共有する「エリア・コミュニティ」の構築
・小布施、湯布院、川越、秩父・・・・
★郷土愛:歴史、自然、風土、人物・・・などを商品価値に創り込む
第二部:「農」を活かしたまちづくりの魅力~小川農園 小川洋之
1. 農業への取り組み~背景とテーマ
① 受け継いだ農地を活かすこと
② 畑を草にしないこと
③ おいしい野菜をつくり、販売すること
④ 地域の農と食文化を楽しく継承し、多少とも地域に役立っていくこと
そこで生まれたテーマ:
① 地域の豊かさと多様性を知る、食農体験
② 地域のもので作る食文化の伝承
③ 自然との触れ合った楽しい働き場の創出
④ 豊かな地域景観をつくり出し、保全する
2. そこでまず始めたこと・・・
① 素人農家ができることは何か?
・栽培期間が長く、加工性の高い作物を選ぼう
・プロの専業農家が余りやらない作物をつくろう
・農業は文化という視点で取り組もう
・地域の仲間や志しを同じくする地域のNPOや地域団体、個人との連携を組もう
3. そこでまず始めたこと
・蕎麦、小麦、大豆の栽培⇒利用する土地が広いこと、ゆっくりと栽培が出来ること、収穫後に加工ができる事
・自分に合った野菜作り⇒有機野菜、減農薬、無農薬、栽培が容易で楽しい野菜作り、新しく話題性のある野菜を栽培
③ 都市農業の多面的機能
◎農産物生産機能:食料生産という農業の基本的機能
◎防災機能:災害避難場所、延焼の遮断、仮設住宅用地の提供など
◎交流・レクレーション機能:農園での市民交流会、コミュニケーションの場
◎教育・学習・体験機能:自然や農業を通じて情操教育や環境教育など
◎ヒートアイランド現象の緩和:農地や水路などの水の散布による
◎癒し、リフレッシュ機能:農作業などを通じた老化防止、園芸療法によるリハビリテーション効果
◎景観形成機能:潤いのある風景、季節の変化を感じる景観
◎リサイクル機能:有機資源利用の循環保全型農業の実現
◎自然環境保全機能:大気や水資源の保全、生態系維持機能
3.小川農園の「ファーム&ガーデン構想について
①目的の明確化:農地の保全と活用、おいしい野菜を食べる事、おいしい野菜を提供すること、地域コミュニティに役立つこと、地域の景観づ作りに役立つこと
②そのための取り組み:〇野菜作りと販売、〇農と食の体験 〇コミュニティづくり,〇作業受託
4.今後の課題と解決策
①地域の理解と栽培技術⇒地元農業者の参加と指導を得る。
② 販路の確保⇒直売所や環境・福祉関連NPO等との連携
③ 初期投資額が大きい⇒手持ちの機械や機材の有効活用と補助制度の導入
④ 事業の採算性と人件費⇒低い賃金だけど豊かさと満足感がある手法の研究
⑤ 運営組織の確立と人材の確保⇒この指とまれ、方式。生き甲斐雇用の導入
5.まとめ:この「ファーム&ガーデン構想」は畑という地域資源を活用し、そこに生まれるモノを使って、この地域に根差した持続できる農業経営を目指したいとの思いからの取り組みです。
:それによって一つの農業経営ではありますが、そこから「農」を基軸にした「新たな農のテーマコ ミュニティ」が生まれれば良いなと思っています。
以上
<受講生の意見・感想>
*「畑に居る時が一番落ち着くんだ」という小川さんの言葉の意味が分かったような気がする。
*まだまだ赤字です、といいながら地元で食と農を活かしたまちづくりに取り組みをされていることはとても素晴らしいと思います。
*食・農に興味がありながら、知らないことが沢山ありました。もっとアンテナを立ててイベントに触れられるよう努力したいです。
*狭山市以外へのアピール方法が課題だと思う。
*入曽には「入曽を食の街にして活性化を」の声もあり、周辺農家の協力が欠かせないと考えます。
*個人が農を点で遣るより組合(組織)を作って線から面にしていかないと・・・
*農業の多面的機能をきちっと意識した上で農業を進めておられ、感心致しました。
*小川さんは多くのコミュニティと色々な方との関わりをお持ちですが今後の高齢化、後継者作りについては大きな課題だと思いました。
*「農」だけではなかなか「まちづくり」とは結び付きにくいので、「食」とどう関わるかが大事だろうと感じた。
<講座リーダーのコメント>(記入者)草野 喜実勝
*市役所を退職してから広い農地を引き継ぎ、専業農家ではない形で自分の広い農地をどう活用し、地域のために役立つ「農」の在り方を追求し続けてこられた小川さんの「中間成果発表」のような講義であった。
*小川さんの優しく穏やかな人柄そのものの「農」への取り組み、「食」への強い拘りがそのまま形になっている素晴らしい「畑」とその「作物」が紹介されました。
*これだけ懸命に「農」に取り組みながらいまだに「赤字です」と素直にお話視される小川さんには、受講生も思わず何とか応援してあげたいと感じたのではないだろうか。