世界の紅茶と日本の紅茶 その歴史と現在
日時: 平成29年10月3日(火) 場所:大会議室 時間:13:30~16:00
講師: ティーインストラクター 宝迫 典子氏
テーマ: 世界の紅茶と日本の紅茶 ~その歴史と現在~
紅茶の主要生産国
第1位 インド
インドは世界最大の紅茶生産国で、生産量の多い地域はインド北東部、アッサム,カチャール、ダージリン、ドアーズ地方がその代表。南インドでは高地に位置するニルギリ地方を中心として、薫り高い良質の紅茶が生産されている。
第2位 ケニア
ケニアでの紅茶生産が開始されたのは20世紀になってからで、イギリス資本で作られ、ウガンダ、タンザニア地方で主として生産され、世界第2位の生産量を誇る。茶園の標高は平均2000m、インド洋に面する赤道直下の高原国、熱帯性気候で、年間雨量が1500mm以上ありお茶の栽培に適している。紅茶の種類はほとんどがCTC紅茶、ミルクティーなどどんな飲み方にも合う。
第3位 スリランカ(セイロン)
スリランカ旧名セイロンは紅茶の代名詞。生産量はインド、ケニア、に次いで世界第3位。主な産地は中央の山岳地帯を挟んで南東側のウバ地区と西側のディンプラ、ヌワラエリア地区に分かれる.1867年に茶業が始まり150年間お茶の生産が行われている。標高1300m以上はハイグロンティ―が作られ、ウバ、ヌワラエリア、ディンプラはこの地帯に含まれる。標高670m~1300mミディアムグロンティ―が作られ、0~670mではローグロンティーが作られる。
第4位 インドネシア
インドネシアは第2次世界大戦前までは、旧オランダ領東インド諸島として、インド、セイロンと並んで紅茶の一大生産国であったが、戦争のため茶園は荒廃し生産量は減少した。1890年以降ジャワ島、スマトラ島を中心に生産量が増え世界第4位になっている。味はややコクが不足しているため、主としてブレンド用や増量用に使用されている。渋みが少ないのでアイスティーに向いている。
別格 中国
華南、江南の南側が紅茶の産地、生産量は湖南省が最大、以下順に広東、雲南、江西、安徽,広西、貴州、海南島があげられる。安徽省で生産される「キーモン」は世界3大紅茶の一つに数えられ独特の風味が東洋的であるとヨーロッパで珍重された。 (お茶の産地/お茶百科を参照)
日本の紅茶の歴史
日本の紅茶の始まりは明治時代
1899年 三井物産合名会社 台湾で茶園を開始 1947年 原種農場が静岡、奈良、鹿児島に導入
1905年 日英両国間の文化交流 1971年 外国産紅茶輸入の完全自由化
1906年 リプトン紅茶が輸入 2002年 全国地紅茶サミット開始、現在まで16回行われている。
1922年 インドアッサム種を台湾に導入
1930年 日東紅茶が誕生
1937年 国産紅茶輸出量がピーク
日本の地紅茶の生産の現状
45都府県629か所で地紅茶が作られている。
主な生産地
新潟県 雪国紅茶、村上紅茶 茨城県 Sashima Black –Tea
東京都 ひのはら紅茶、東京紅茶」
埼玉県 塾果紅茶、サヤマ・コング―・ブラックティー,茜紅茶、狭山地紅茶
岐阜県 和歌葉、 飛騨紅茶 福岡県 奥八女紅茶、
静岡県 開国下田紅茶、丸子紅茶、紅茶つゆひかり、菊川紅茶、大井川紅茶 牧之原山本和紅茶、蜜紅茶、燻製紅茶
佐賀県 うれしの紅茶
熊本県 ゆのつる紅茶,天の紅茶、さくら紅茶
京都 和京紅茶 宮崎県 みやざき紅茶、都城紅茶
奈良県 自然農法大和紅茶、ムーンクロック,大和の高原紅茶 鹿児島県 夢ふうき、林さん家の手作り紅茶
石川県 加賀の紅茶 岡山県 ももたろう紅茶 長崎県 対馬紅茶
紅茶の入れ方
受講生にオブザーバー、およびスタッフも参加して4グループに分かれて紅茶の入れ方を宝迫氏より指導を受けて試飲を行った。
茶葉の量
1人分は2gから3g。茶葉がこまかいならば、ティスプーン1杯、中程度ならば中盛1杯。
茶葉が大きい場合は山盛り1杯
お湯の温度 沸騰したものが好ましい、90-95度C
お湯を注いで30秒~2分間待つ(茶葉の状態による)
ティーバッグ 1分、茶葉がこまかいときは1分、茶葉が中程度 1分半茶葉が大 2分
中秋の名月を数日後に控えて、月餅を皆でお茶の友に食しました。
~~~~~~~~~~~~~ 受講生の感想 ~~~~~~~~~~~~~
・日本紅茶について印象に残ったこと
1.日本に紅茶がこんなにたくさんあったことに驚いた。そして世界で一番飲まれていることも驚き。
2.日本紅茶の歴史国際交流が進むにつれ紅茶が普及してきたこと。日東紅茶誕生から90年結構歴史がある。
・紅茶を入れる実習はいかがでしたか
1.わずかな香りの違い、渋みのあるなし等感じることができた。テーブルに砂時計があったらもっとよく楽しめたかな?
2.静岡産べにふうき紅茶が印象的でした。
3.京都和紅茶ちょっと渋い。南さやま手摘み紅茶 飲みやすい、風味がある
さやま緑紅茶(埼玉県) 味が軽い.ゆたかみどり 味が濃い
4.いろいろな紅茶が飲み比べられてよかった。月餅もおいしかった。
・お茶についてのイメージは変わりましたか?
1.同じお茶の木から味が全く違う緑茶、紅茶、ウーロン茶などができるのがとても面白いと思う。
2.紅茶を毎日飲んでいますが、和紅茶のイメージは異質なものに感じました。
3.日本茶の飲み方は60℃くらいでカテキン、渋み、カフェイン等が溶け出さない状態で飲むが、和紅茶はむしろ沸騰したお湯ですべてを楽しむ。楽しい経験ができた。
4.お茶の種類の多さ、また文化が関わり生産者の思いが伝わるようでした。
5.お茶のとれる産地によって、軟水,硬水の使いわけが重要、味風味に変化をもたらす。
6.日本産の和紅茶は味もさっぱりしており、マイルドな感じ。ブラックで飲むには適していると感じた。
~~~~~~~~~~~~~ 講座リーダーの感想 江頭誠治 ~~~~~~~~~~~~~
紅茶はインド原産のダージリンやイギリスの紅茶を飲んでいたので、今回初めて日本産の和紅茶に接し日本茶由来の茶葉を発酵させ作られた紅茶が、緑茶にない味わい、香り、を経験して、優しい風味を持ったまろやかさに好感が持てた。沸騰したお湯ですべての成分を抽出して飲む割には、インド産の紅茶に見られる重々しさは全く感じられなかった。和紅茶に合うお菓子も、和菓子や月餅のようなアジアで作られた菓子類が合うように感じた。午後3時ごろに味あうアフタヌーンティーなどを楽しむ習慣があるヨーロッパやシンガポール、香港などでも日本の和紅茶が普及し楽しまれる名ブランド商品ができることを期待したい。