1.開催日時:平成29年6月9日(金)13:30~16:00
2.場 所 :狭山元気プラザ 大会議室
3.講座名 :「さやま市民大学総合講座」
4.受講生 :受講者数15名 出席者 15名 欠席者 0名
5. 第4回講座報告:
「地域への眼差しと構想力の磨き方」 ― 「お茶文化都市さやま」の都市構想 ―
講師:構想博物館館長:望月照彦
第1章 地域への眼差しの深さが、未来を決める
1.地方都市でよく聞く話・・・この町は何にもない町!
2. 人々が生活し、歴史が流れ、風土がある限り、魅力も何にもない町はない
3. 市民の眼差しに、「愛情」と「矜恃」さえあれば
4. 社会叡智(ソーシャル・ウイズダム)が、要となる
第2章 鳥瞰図、虫瞰図、そして人瞰図の視点
1. まず鳥の目で見てみよう・・・地勢、風土、歴史とダイナミズム
2. 虫の目も大切に・・・地域に隠されたもの、シャドーデータ(ディレール)の掘り起こし
3. しかし人瞰図こそが重要・・・等身大(庶民・市民)の生活や文化、世界遺産ではなく「世間遺産」が面白い
4. ブローデルのアナール学派の眼差しを、生かしたい・・・地域や生活史を
第3章 地域資源の活用と物語性、そして不在資源の新結合が鍵となる
1.時間、空間、人間、そして暮らしの営みが地域資源の「苗床」となる
2.民俗学、民族誌、そして説話や昔話など歴史風土を大切に彫塑する
3.物語には、事実とその繋がり(コンテキスト)、そして構想力(イマージニアリング)が求められる
4.しかし、もっとも大切なものはここに無いもの(不在資源)の発見と既存資源との新結合(ニューコンビネーション)が鍵となる
第4章 小千谷市の「旅の駅構想」・・・旅人に地域への共感と理解を
1.初めての、あるいは何度も街を訪れる外国人観光客にとって、心強い味方は何か
2.地域コミュニティの人々と、友達になりたいという願望
3.「道の駅」や「まちの駅」があるのに、なぜ「旅人の駅」がないのか(訪れる人々が舞台の主役になる)
4.新しい観光のスタイルを支える「プラットフォーム」への試み・ヨーロッパ中世の旅人のためにホテル、ホスピタル、そしてホスピタリティが誕生した
第5章 吉祥寺の「外国人起業特区構想」・・外国人起業家が自国の人々を招く
1. 武蔵野市吉祥寺は、なぜ外国人に人気の都市か
2.「中道通り」に行ってみると、その理由が分かる
3.お店のオーナーの多くが、外国人・・日本の観光案内も、商品販売もお得意(出身国の観光客を 集客)
4.外国人(特に欧米人)の起業を支援する「事業創造特区」が観光立国の要となる時代がきた
第6章 深谷市の「渋沢栄一深谷塾」が世界中の社会起業家を生み出す(省略)
第7章 創造する街:サン・セバスチャンの「美食都市構想」へのタウンイノベーション
1.スペイン・バスク地方のかつてのリゾート都市、歴史的商店街を活用した「美食都市」への挑戦
2.2005年のマルティンシェフの「金の太鼓賞」受賞日、市長は「この街では、星は天上ではなく 地上に輝く」と讃えた
3.人口18万人にミシュランは17星、観光客650万人来訪、バル、ヌエバ・コッシーナ、チャコ リ、ピンチョス、美食倶楽部
4.タウンイノベーションの極意は、食文化の極地化、技術の共創、富遊層の発見、バスク都市の回遊 (ビルバオ等)
提案章 「お茶文化都市」の街茶会(タウンティパーティ)と「IT(愛茶)都市」構想
1.「百万人のティパーティ」構想を、以前から温めていた
2.狭山に来ると、世界中のあらゆるお茶が楽しめ、ティ-サロンがお客様をお招きする(お茶の交流 文化創造)
3.イギリス、ピーターラビット(ビアトリクス・ポター)の丘の町の「ティショップツアー」に感動
4.「ティ-サロン+お花屋さん」、「カフェ+古書店」、「ティショップ+ファッションブティク」など、 新街産業が多様な<オーチャード(お茶の)ストリート>として、展開されている 。
<受講生からの 意見・感想>
*今まで何となく狭山を見ていたが今後は改めて色々な目で見、聞きし、もっともっと狭山の良 さを発見したい。
*長浜市、サン・セバスチャン市(スペイン)の話が印象に残った。
*「不在資源」=日頃気づくことがないものに着目して既存資源と結びつける構想力の大切さを 理解できた。
*最も大切なのはここに無いもの(不在資源)の発見と、既存資源との新結合である,というこ と。
*狭山でも新まち産業が出来ないか。ティーサロンと花屋,本屋とのタイアップなら実現可能か?
*「地域への眼差しの深さが未来を決める」という言葉。
*仕事以外は全く狭山市の事を知らないことがはっきりしました。まず(狭山の)勉強からスタ ートします。
*「IT(愛茶)都市構想という先生の話を聞いて、明日にも出来るような気がしました。すご い構想力だと思いました。
*「構想する力」は小さなことからコツコツ考え、グループを作りそれぞれの考えを纏める方法 しかないと思います。
*元気なまち狭山も「愛茶都市構想」から生まれるという夢を実現させたいという想いが膨らん できました。
*狭山でも情熱を持った人がいれば、人気のあるまちに出来る様な気になった。
*鳥瞰図、虫観図、人観図という視点を持つこと、大変勉強になりました。
<講座リーダーのコメント>草野 喜実勝
*今回は市の職員の方3名を含め計5名の聴講生が参加し、大変熱気の有る講座となった。
*望月先生の講座テーマが「地域への眼差しと構想力の磨き方」という日頃聞き慣れないタイト ルであったが、内容は具体的な事例を使って分かり易く話され、皆よく理解できたという反応 であった。
*振り返って、狭山市自身の課題に置き換えてどうするか、何をすべきか、という問題提起、興味を引き出すことに結び付いたことと思われる。
*本講座の受講生が非常に積極的に講座に参加していることは「振り返りシート」の記述を見ても如実に表れていると感じる。今後の講座への期待が益々膨らんでくる。