所沢キャンパスの校舎が建つ丘陵のトウネズミモチの雑木林と校内遊歩道の雑木林のハナミズキ
「トウネズミモチ」
モクセイ科常緑樹、中国原産の帰化植物、公害に強く公園緑化樹に利用される。(関紀文撮影)
「ハナミズキ」
ミズキ科落葉樹、白やピンクの花をつけ秋に紅葉する。北アメリカ原産、ワシントンに桜を贈った返礼として贈られたエピソードがある。(関紀文撮影)
講座実施報告
① 6月 4日(土)講座報告「生きがいとしての余暇」 講師:早稲田大学 臼井 恒夫教授
② 7月16日(土)講座報告「生涯学習と社会参加」 講師:早稲田大学 臼井 恒夫教授
6月4日(土)講座報告「生きがいとしての余暇」講師:早稲田大学 臼井 恒夫教授
1.元気で暇な長い老後を、生きがいを持って過ごすかは、重要な問題である。日本は100年間で平均寿命が40年延びている。活動的平均余命の概念が余暇活動の在り方を変える。
2.人生80年時代の生涯生活時間。21~60歳までの仕事時間と、60~80歳の余暇時間は同じ10万時間。いかに充実して過ごすかが重要な課題である。
3.事例紹介
入学から11年かけて今年卒業した96歳の世界最高齢の大学卒業生。興味を持ったらとことん追求し、充実した人生を送っている人達。
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1.退職後の余暇時間の過ごし方、日ごろ「バクゼン」と考えて過ごしてきましたが、今回余暇の課題の講義を受け、あらためて余暇の目標・設定の大切さがわかりました。
2. 仕事時間と余暇時間がほぼ一致するというのには驚いた。余暇時間を充実させていくにはどんな心がけが必要か?考えていきたいと思う。余暇歴の不足している者の生き方はどういう意識で過ごしたら良いのか。
3. 社会(コミュニティ)のかかわりを作り出すのが難しい。行政も含めみんなでその仕組みを考えるべきであろう(情報不足)
4. 定年退職後も働き続ける人を見て「残りの人生が少ないのだから、人生をもっと楽しめばいいのに」と思っていました。今回の学習で仕事時間と退職後の余暇時間が同じ10万時間だと知りビックリしました。「若い時期から学習・訓練・素養を必要とする」との言葉にはハッとさせられました。私の周りにも「何もすることがない」と言う人がいます。高齢になってから新しいことに飛び込むのはかなり難しい様です。段階的退職制度について具体的な例を挙げて頂ければありがたいのですが。国名、回数、時間数「引退生活を疑似体験させ」とありますがピンとこないのです。
5. 退職後同じ職場で引き続きパートで働いています。お世話をする方や指導をしている方の笑顔・感謝の言葉が生きがいになっています。今行っているサークル活動も維持し、余暇をどう生きていくかを、今日の講義を参考に生きがいのある余暇活動を見つけて深めていきたいと思います。
6. 高齢社会に伴い退職後に生まれた自由時間をいかに過ごすかが重要な問題となっている。その中に置かれている自分にとって生きがいある余暇をいかに見つけ出せ、生きていく中で必要なことであるかが痛感された講義であった。刹那的な楽しみだけでなく、継続して続けられる楽しみ、喜びをこの一年間通して見つけ出したいと思う。健康であることが前提である事は言うまでもないが。
7. 意地悪いですが、易しいことを難しく分析する、これが学問でしょうか?時間外の応答が良かったです。年代的にもこの問題は我々高齢者より40~50歳代の方々から勉強していただきたいですし、積極的に政治家に考えていただきたい問題です。
8. 生きがいとしての余暇の過ごし方は、社会的な存在感が得られるような活動を熱意・気力・意欲をもって対応すること、との事ですがそのように出来る人はどっれくらいいるのか。余暇についての考え方、過ごし方は年代、経験、財力、体力の違い等々で大きな差があるのではないか。ただ、産業政策や、社会福祉の面からでは講義された通り、各種の問題があると共感しました。
9. 生きがいの意味を深く考えず毎日の生活が淡々と続いています。今までの趣味を続け、継続は力なりを信じて続けています。いろんな講座で高齢化の問題を勉強してきましたが、現在を大切にしていきたいと思います。自分の残された時間を悔いないように生きられたらと思います。
10.余暇活動の必要はわかるが現実はどうなのか、1人で行うもの、多数で行うものとあればいいと考えてきたけれど、学問的には少し浅かったかなと思う。労働時間と経済的収入のバランス、物価の違いなどの比較により、日本としてどうするべきか策を考えるべきと思う。高齢破産、生活保護受給者の増加で他人に頼りたいという状況は防ぎたい。どうすれば良いか?
11.受講するまでは「生きがいとしての余暇」は個人レベルの自己完結的な余暇を過ごすことだと思っていましたが、そうではないという事を学びました。友人、地域社会の人々とのつながりを密にして、本来の生きがいとしての余暇を見つけたいと思います。
12.背伸びを少しだけして、エネルギーを集中、効率よく前に進んでいきたいです。
13.今日の講義はまさしく退職後の自らの生き方についてで、とても勉強になりました。今後余暇についてもっと掘り下げて突き詰めて人生が送られたらと思います。とても話し方がゆっくりで聞きやすかったです。
14.「平均寿命が男性で80歳、健康寿命が71歳」と聞いていることと、「活動的平均余命が16年(92.8%)」という事の違いはどのように理解したらよいのか教えてください。今後どのくらい健康で活動的に生きられるのか関心があるため。
15.退職した夫をよく「濡れ落ち葉」と言っていましたが、趣味を持ち、地域の人々とコミュニケーションを図ることがいかに大事かわかりました。今から子供たちに余暇を大事に使い、物事に(多く)興味を持つよう伝えていきたいと思いました。
16.最近、余暇による生きがいについて少し悩んでいたところです。今日の講義と資料を読み直してみたいと思います。日々の生活タイムテーブルを作って生活を見直していかに健康で長く充実した生活を送れるかを考えていきたいと思います。ありがとうございました。
17.私は退職して8年になります。5年ほど前から暇を持て余すようになり、何か地域貢献をと考えるようになりました。今日の授業で再確認(余暇利用方法)できました。
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☆ 臼井教授より受講生の皆様へ
高齢者の研究において「サード・エイジ」という概念がしばしば用いられています。
人間の一生を大きく区切れば、「依存・未熟・教育の時期」である第1期(ファースト・エイジ)、「自立・成熟・責任の時期」である第2期(セカンド・エイジ)、「完成の時期」である第3期(サード・エイジ)、「依存・老衰・死の時期」である第4期(フォース・エイジ)に分けることができます。
この区分を提唱したラスレットは、中高年期に当たるサード・エイジを個人的にも社会的にも充実させることが、高齢者の否定的なイメージを払拭して、より肯定的なイメージを構築することになると考えたわけです。
サード・エイジにおいては、セカンド・エイジにおける仕事(職業役割)のような種々の社会的強制力は弱まることになりますから、その分、行動や思考、生活様式がより自己管理的であることが求められるようになります。
サード・エイジにおいては、個人的資源を効果的に活用できるか否か、それらをさらに洗練したり新たに獲得できるかどうかが重要な問題となります。自ら設定した目標を実現したり、日々の生活課題を処理する上で必要な個人的資源としてのライフスキルを開発・洗練することが、サクセスフル・エイジングに向けたサード・エイジの大きな課題になります。
寿命の伸びとともに、中高年期は人生の大きな転換期としての、また新しい出発の時期としての性格が強くなってきたといえます。余暇活動も、サード・エイジにおける生きがいの形成と日々の生活の充実のために欠かすことのできないものとなっていると考えられます。簡単のコメントで恐縮ですが、少しでも参考にしていただければ幸いです。
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7月16日(土)講座報告「生涯学習と社会参加」講師:早稲田大学 臼井 恒夫教授
1. 発達と学習
学習とは「地域・経験による人間の行動の変容」の意味を持つ。
2.高齢者特有のニーズ
3.高齢者教育の変遷
4.生涯学習の理念
5.地域社会の支え手としての高齢者
6.高齢者の社会参加と学習活動
7.サードエイジの生き方と人間関係
高齢社会においては、生涯に渡る学習の機会を持つことが、社会の一員としての地位や役割を持ち続けるために必要となる。
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1. 高齢者教育が行われてきたのは歴史的に浅く、いろんな学習活動パターンがあることを学びました。「自らがデザインし、自らが学ぶ」学んだことを活かされるよう活かされるよう努力していきたいと思っています。
2. 高齢社会になっていくなかで、自分自身を振り返って生活が満足できるように積極的に社会参加をして、満足できる一日一日を過ごしていけたら良いかなと思っております。
3. サードエイジを、より積極的に生きていく具体的な方法を更に知りたいと思う。
4. 学問的に生涯学習とはどういうものなのか、という事が解った。高齢化に伴い自分の立ち位置を自覚し、社会に対する参画ができるよう学習し、何かを発揮できる事を見つけようと思う。実現可能なことを探す。
5. 高齢者の社会参加活動と学習活動の関連について、いろいろな例示がありよく理解できた。サードエイジの社会参加活動はリターンを求めない態度が求められると思う。親和的ニーズに移行するのが自然と考える。
6. 40~50年前は今の我々の年齢の人々は老人として扱い、個人の意欲を押抑えていたのではと感じました。現代は(老人が多くなったせいだけでなく)高齢者を認め、社会に参加できる機会が多くなり喜ばしく思います。身体に気を付け元気で頑張っていきたいと思います。私より高齢の方々には自分に無い経験を尊重し、先輩とし友人として関わっていきたいと思います。
7. さやま市民大学のシステムが高齢者の社会参加ということで、素晴らしいところで学ばせていただき、更に社会参加の道も開ける場でもあり、改めていい大学に参加させて頂けていると感じました。
8. 学習することの重要性を知る講座であった。また生涯学習の必要性が生まれてきた背景に高齢化問題が隠されていることを知ることができた。今後の高齢化社会を考えた場合「学習」という事を通じ、高齢者の参加3っつのパターンのどれかに参加し行動することを自分なりに考えて、生きていけばいいのかなと思った次第です。
9. 今日の生涯学習講義、私自身社会参加、学習活動をどのように活動参加しているか、改めて考えてみました。非常に興味深く受けさせていただきました。
10. 私がこの大学、この講座を受講した目的は正に本人のテーマ、学習活動に付随する人間的交流、人間関係の充実を目的としてであったが、前期授業が終了しかけているこの時期においてもその目的は今一つ果たされていないのが実情である。この講座の受講生自体すでに顔なじみの人が多く、高齢期からの学習活動→社会参加活動はなかなか難しいものだと感じています。
11. 私の行動が、今日学んだ社会参加活動への準備としての学習活動であったのだと確認いたしました。役に立てる道を生きたいと思っています。
12. 高齢社会における多くの問題があり、これからの表現的ニーズ、貢献的ニーズ、影響的ニーズなど具体的に内容が解りました。また、これからの自分の学び方や、どう貢献できるか真剣に考える必要性を感じた。講義ありがとうございました。
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☆ 臼井教授からのコメント
今回の授業の要点を十分にご理解いただいた様子が伺え、ありがたく存じております。
授業の要点は、サードエイジに移行するためにはその準備として、価値観を共有する新たな仲間づくりの機会が必要であること、市民大学のような生涯学習の場がその機会を提供する上で大きな力を発揮しえることなどです。
高齢社会では、高齢期において新しい価値観を共有した仲間づくりを支援する場をつくり、そこで育った人たちの力を社会で発揮してもらうことで、社会と当事者の両者が豊かさを実現することができると考えられます。人は自分が幸せになる権利と他者を幸せにする機会をもつことで、生きがいをもって豊かに生きることができるといえます。今後、皆さん方受講生のなかから、新たな高齢者の生き方を提示してくれる人たちが沢山あらわれることを期待しています。
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