第5回 「武蔵野の原風景―水野の新田開発―」
日程: 6月27日(月)
講師: 狭山市文化財保護審議委員 権田恒夫 様
会場: 狭山元気プラザ 大会議室
受講生: 出席25名、欠席2名
Ⅰ.武蔵野の原風景
Ⅱ.水野の新田開発
古文書と歴史、文化財に造詣のある権田恒夫様に、日本の原風景水田と『里山』に対比して、武蔵野の原風景野原を『平地林と畑作農業』に開発した経緯や経過について、熱く語って頂きました。
武蔵野の原風景は国木田独歩『武蔵野』によって広く知られるようになりましたが、荒れ地であった野原、草地が平地林のある畑に開発されたのです。江戸時代に川越藩5代藩主松平信綱は今福村、中福村、堀金村、野火止村を開発し、6代藩主松平輝綱は水野村を、8代藩主柳沢吉保は三富を開発しています。乏水地帯であるが故に取り残されていた原野を開発した先人達の汗まみれの努力に頭がさがりますが、本年水野村の新田開発350年を迎えたこともあって、権田様の講義にも熱がこもっていました。
水野の新田開発を推進した牛久保家は、三河国牛久保村の出身です。今福村や堀金村、水野村などの名主として陣頭指揮を執ってきました。鷹狩場の負担や入会地紛争など難問を乗り越えて、開発の記録は居宅や近在に残っています。
一方、循環型農業の基礎をなす平地林は消滅の危機にあることを残念に想い、現在の狭山市に大きな影響を与えた新田開発の痕跡を、後世に向けた狭山遺産として継承したいと提案されました。
なお、講義録は冊子「語り継ぎたい狭山の魅力」としてまとめる予定です。