「ナイトバザール」から始まった「まちづくり」
久しぶりに秩父市の「みやのかわ商店街」を視察してきました。振興組合の島田憲一前理事長にお話を伺い、昼間の時間帯ですが、商店街をぶらぶら歩いて、現在の様子を感じ取ってきました。古い建物を活かした拠点づくりも上手く行っているようですし、若者が楽しめるおしゃれな店も増えてきているように感じました。
市民大学の「まちづくり担い手養成講座」の現地視察講座として出掛けたわけですが、まちづくりに掛けた熱い想いがよく伝わってきました。みやのかわ商店街というと、信じられないくらいに大勢の住民を集める「ナイトバザール(夜市)~あそびにおいでよ」というイベントが有名です。このイベントが彼らを強く、たくましく育てたことを再確認しました。「何かに夢中で取り組むこと」の成果が如何に大きいかを思い知りました。
継続が最大の力
私が初めてみやのかわのナイトバザールを見にいったのは20年くらい前になります。第三土曜日の夜7時頃から続々と住民が集まり出し、間もなく広い通りが人でいっぱいになりました。月に一度のバザールとはいえ、人口7万弱のまちで2万人を集める商店街のイベントなんて見たことがなかったので、その印象は強烈なものがありました。その後も何度か視察を続けてきました。
子供たちを夢中にさせる、一つ一つの遊びの仕掛けはそれほど奇抜なものではなく、下駄を遠くまで飛ばしっこする遊びとか、新聞紙の紙きりで一番長く切り合うのを競うとかのイベントでしたが、小さな子供たちが目を輝かせて参加している姿が今でも目に焼き付いています。「二度と同じ遊びの仕掛けを絶対に繰り返さない」と決めたことなど、今回も島田さんからイベントの極意を伺ってきましたが、毎回、自分たちで考え、ひねり出した遊び事を約30年にわたって続けてきたその強固な意志と遊び心が日本有数の商店街に育て上げたことを再確認しました。
福祉のまちづくりにも活路あり
最近は年5回の開催に変わったそうですが、これまでに222回のナイトバザールを継続実行し、毎回趣向を変えた遊びのアイディアの数は約800になったそうです。すべてが成功ではなかったとは思いますが、知恵を絞り、「ワクワクさせよう」と努力したその継続的取組みには頭が下がります。バザールの成功がまちづくりにつながり、歩道の整備、電線の地中化、ガス灯風の街路灯,開運案内板の設置などにより、まち全体が明るく、おしゃれなまちに変わってきていました。
いま力を入れているのが「福祉のまちづくり」への取り組みです。買い物難民に対応して「出張商店街 楽楽屋」の事業化や、買い物代行、庭の手入れ、散歩・外出等の支援、送迎等々の「おたすけ隊事業」にも熱心に取り組んでいます。築128年の明治の商人宿が「ほっとすぽっと秩父館」に生まれ変わり、街中の新名所も誕生していました。
「志(方向性)」と「やる気(継続性)」と「知恵(アイディア)」を出せば、「まち自慢できる」まちが実現できることを教えてくれました。