新規講座も順調にスタート
令和元年の市民大学講座が順調にすべり出した。今年は、10日間という大型連休が挟まったため、5月の連休明けから本格的な授業が始まった。
自主企画の全12講座のうち、今年は新規講座が2つあり、講座の雰囲気が気になるので、受講者の立場で授業に参加している。一つは「狭山の魅力を伝える案内人養成講座~観光資源としてみる入間川を学ぶ」、もう一つは「暮らしの総点検と生活力アップ講座~男女でチャレンジ,いきがい作りを考えましょう」。
さやま市民大学学長の「まちづくり講座」 狭山の魅力を伝える案内人養成講座
講座タイトルと受講動機の関係
何が学べる講座かというカリキュラムづくりが重要なのは当然ですが、受講者の受講動機に触れることも欠かせない。受講動機を捉えた講座名になっていたかどうかが気になります。したがって受講者の受講動機を聞くのは楽しみです。講座企画者の企画意図と受講動機が合致した時に、何かが生まれる創造的な学びの世界が拡がっていく。
「暮らしの総点検と生活力アップ講座」は、課題発見のための「暮らしの総点検」と、解決方法としての「生活力アップ」とを一緒にした講座名になっている。企画者の立場では後者に受講者の関心が高いと予測していたが、課題発見の「暮らしの総点検」に関心を持ったという受講者の声が聞けた。
私たちは、この講座は生活力アップに興味ある男性向けの講座と考えていたが、暮らしの総点検に興味のある女性の比率が高いという結果になった。
「暮らし総点検」が必要な時代
団塊の世代すべてが後期高齢者に達する2025年問題が迫っている。必要な介護が受けられない「介護難民」が急増する恐れがある。「認知症」の人の数も700万人を越すという大変な事態が迫っている。遅すぎるかもしれないが、「暮らし総点検」が喫緊の生活課題になっている。誰しも人生の最後は「おひとりさま」の生活力が問われることになる。家族という言葉が共通概念にならない時代にどう向き合うかが問われている。
とくに問題なのは、家事とは無縁に生きてこられた団塊世代の男性群である。男性は「家庭科教育」を学校では殆ど受けてこなかった。「自立・自活」できる「生活力」の初めの一歩を踏み出さねばならない。
新設講座の専任講師をお願いした小平陽一先生は、高校の化学科の教員を長く務めた後、志を立てて家庭科の教員免許を取得し、男子生徒にも家庭科を16年間教えてきたという異色の経歴を持つ。男女に共通した生きる課題として、長寿社会の「生活学」の必要性を早くから見抜いていた。
総点検から何が生れるか
点検すべき対象は、第二幕目、三幕目の人生につながる「生き方」、年をとっても働ける「生きがい就労の仕組み」、「地域とのつながり方」など、生活全般に及んでくる。新しいライフスタイルの創造は、市民大学の学びを通して生み出したい大きな目標の一つである。
連れ合いを亡くした一人暮らしの仲間同士が「没一(ボツイチ)の会」を立ち上げ、新たな生き方に挑戦する事例などが、授業の中で紹介された。暮らし総点検を学ぶ市民大学の有志によって「キラメク会」のようなつながり方が、ゆるやかな形で生まれることなども期待したい。
「日常生活がちょっと楽しくなる」ための「つながり方の創造」などをみんなで話し合っていくと、暮らし総点検の結果として色々な「コト起こし」が生れそうである。
「入間川の魅力を伝える案内人養成講座」もある種の「川の魅力総点検講座」とも呼べる。受講後、どのようなプロデュース案が生れるか、期待しながら見守っていきたい。