正しく選ぼう!健康食品
日 時:7月2日(土)10:40~12:10
講 師:早稲田大学非常勤講師 大阪公立大学大学院医学研究科 亀本佳世子先生
受講生:出席7名(欠席1名)
4月から人生初めての関西進出で、ドキドキしながら楽しい大阪生活をしているという亀本先生。3月までは早稲田の研究室にいたのだそうです。まさにオンラインの強み、今回は大阪からの講義です。
まず始めに「健康食品を摂っている人」との質問がありました。手を挙げたのは二人。「講義を聞いた後、増えるかも……」との先生のお話に半信半疑の受講生。「健康食品とは健康に良いことをうたった食品全般のことを言います。最近改定された健康食品に関する法律を知っていただいたうえで、健康食品を使う時の注意点をお話しします」と講義が始まりました。
栄養成分表示を見よう
2020年から、加工食品には栄養成分表示が義務になり、まずその見方について詳しく教えていただきました。始めは基本の基、エネルギー(カロリー)についての話です。エネルギーを持つ栄養素はたんぱく質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)の3つですが、それぞれ1gで4、9、4kcalの熱量を持ちます。各栄養素が全体のエネルギーに占める割合をPFC比率と言うそうですが、その割合が大事なのだそうです。脂質の目標量はカロリーの20~30%。試しに卵ハムサンドとハムカツサンドの脂質割合を比較してみると、卵ハムは29%、ハムカツは44%との結果になり、受講生も思わず「・・・」。ハムカツの方が当然カロリーが高いのですが、その半分近くが脂質とは……。あるスーパーのお惣菜のポテトサラダは脂質64%ほどのものもあるそうで、「サラダ=ヘルシー」ではないことも知りました。良い食品選びの第1歩はカロリーだけでなく、たんぱく質、脂質、炭水化物のバランスと食塩相当量の確認をすることだと分かりました。
「カロリー0」は本当にゼロ?
スーパーでよく見かける「カルシウムたっぷり」「減塩」「糖類ゼロ」等の栄養強調表示。これらにもきちんと法律があり、基準値が決められていました。驚いたのは、「無〇〇」「〇〇ゼロ」の表示です。基準値未満であることが条件ということで、カロリーは100g当たり5kcal未満、糖類は100g当たり0.5g未満であれば「0」と表示して良いのだそうです。すっかり「0」だと信じ込んで買っていました。「糖類ゼロ」については人工甘味料ということだろうとは思っていましたが、その中に「キシリトール」がありました。なんと、キシリトールも人工甘味料だったのです。皆さん、ご存じでしたか?
健康食品について
保健機能食品とは、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品のことです。国が製品としての有効性や安全性を評価し、承認しているもので、トクホマークが付いています。一日の摂取目安量や注意事項が書かれており、正しく理解して摂ることが大事です。これらには必ず「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを」等と書かなければならないそうで、トクホを摂る前に食生活や運動習慣を見直すことが先決だと言えます。栄養機能食品、機能性表示食品とは、トクホマークの付いていない栄養や機能を強調している食品で、国が定めた規格基準を満たしているものです。
さてその他の健康食品、すぐに思い浮かぶのはサプリメントでしょうか。国が定めた基準を満たしていない食品で、栄養補助食品、健康補助食品等と記載されたもの、また、自然食品なども含まれます。中でも錠剤、カプセル状等の健康食品にはとりわけ注意が必要だとのことでした。
健康食品、どんな使い方をしたら良いの?
健康食品には医薬品との誤認を避けるため、「治る」などの表示は出来ません。良く見かける「〇〇に効く」「○○が治る」「医薬成分〇〇配合」等と書いてあるものは違法だそうです。また、「大学教授絶賛!」「有名人も愛用」等のうたい文句、親しい人の勧めを鵜呑みにしないようにとの注意も……。健康食品は医薬品と違い消費者の自己判断で使うので、危険な使い方になる場合もあります。服薬中は薬の効果を減らしてしまうこともあるので、基本的に錠剤やカプセル状のサプリメントの摂取は控えましょう。きちんとしたものには必ず「成分含有量」「問い合わせ先」の表示があるので、何かあった時の為にそれらを記録しておくようにとの話がありました。異変を感じたらすぐ止める、医療機関で見てもらう、最寄りの保健所に連絡することなどが必要です。
健康食品の安全性や有効性の情報は以下のURLでも見られますのでご参考まで。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
https://hfnet.nibiohn.go.jp
質疑応答
「自然食品とは何ですか」
→特に定義はありません。いわゆる「オーガニック」食品などをそのように謳って販売することが多い様です。
受講生感想
◆ 本日の内容の「健康食品」の意味、自分は根本から間違って思い込んでいたことに気付かされました。てっきりサプリメントの様な商品の事と思っており、自らは「取っていない」と思っていましたが、「健康に良いことをうたった食品全般のこと」と聞き唖然としました。また日常生活では塩分・糖分・脂肪やカロリーの取り過ぎには気を付けているつもりでしたが、それも浅はかな考えと知りました。今回、商品の栄養成分表示の読み取り方という内容に触れ、自分がしっかり理解することが大事と分りました。今まで注意喚起事項などあまり詳しく読んでいませんでしたが、今後はしっかり表示を読んでみようと思います。なかなか触れる事の出来ない深い内容の講義、ありがとうございました。
◆ 70代になり、健康は最大の関心事です。現在2種類の機能性食品を利用しています。それに頼らず、運動・栄養・睡眠の実践を心掛ける必要性を改めて考えていますが、睡眠が思うようになりません。先生の講義を受けて、健康のためと思って行っていたことが本当にそうなのか疑問を持ちました。薬と同じように考えていましたので、違いを認識してさらに使用について考えるきっかけになりました。何気なく口にしていた健康食品、身体に良いものとして頼っていた感がありましたので、今回の講義はとても勉強になりました。
◆ 私も70代なので栄養保持は健康食品です。亀本先生のお言葉通り正しく選びたいと思いました。我が家には「日本歯科医師会推薦 初期むし歯対策ガム」と「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」の二つの特定保健用食品(トクホ))がありますが、どちらにも「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」と書いてありました。今のところサプリメントは飲んでいませmmが健康被害のお話はとても参考になりました。健康の基本は栄養・運動・休養だということを忘れずに、自分や家族の健康食品を用意したいと思いました。