<伝えることの難しさ>
日々の活動の中で、大事なことを伝えなくてならない場面がよくある。会議の場で直接伝えたり、あるいは文書の作成を通して、分かって欲しいことを書き込むなどの努力を払っている。だが、果たしてどのくらい理解され、伝わったのかは定かではない。伝えただけでは、通じてないと考えることが現実的である。
<分かってもらえる情報>
物を売る場合でも、説明すれば買ってもらえるわけではない。買いたくなるような説明の仕方が大切である。対面販売で、説明付きで商品を売る小売店よりも、カタログやネットを通じてものを売っている無店舗販売の方が、顧客の好感が得られているのはなぜだろうか。アマゾンのようなネット通販が大型小売店を凌駕する時代になった理由も、「そうなんだ!」と思える情報の伝え方にその秘訣がありそうだ。
<納得できる情報が人を動かす>
『通販生活』というカタログ販売会社の創業者が私に教えてくれたことある。説明しただけでは購買者の気持ちは動かせない。顧客が納得できるような伝え方の工夫がないと物は売れない、と語ってくれたことが強く印象に残っている。確かに『通販生活』のカタログを見てみと、写真と記事と愛好者の推薦理由のバランスが良く取れていて、思わず買いたくなってしまう使用価値が伝わってくる、その情報の伝え方が異彩を放っている。「小売業はジャーナリズムである」、という情報伝達哲学を披露してくれた。納得できる情報伝達が重要である。
<伝わった>で変化が起こる
相手が納得してくれるような「情報の伝え方」にどのような注意を払ってきているだろうか。「伝えただけでは伝わっていない」という危機意識をもつことが大切のようだ。最近、ジャパネットたかたの創業者高田明氏が『私の履歴者』(日本経済新聞)のなかで伝える力の大切さを語っていた。「伝えたつもり」ではなく「伝わった」で初めて変化を起こしていけると述べている。独特の話術、説得力で商品の良さを伝える力で、小さな通信販売をビッグビジネスに引き上げることに成功した経営者の発言だけに、重みがある。
<そうだったのか!>
狭山には素敵なモノやヒト、コト、自然、文化、歴史などがいっぱいある。私たちの市民大学も他市にはない学びの場と人づくりの場を創り出している。伝え方ひとつで、輝き出し、関わってきた人の苦労や努力に報いることができる。「そうだったのか!」と思える共感力のある伝え方に知恵を絞ろう。(了)
平成30年度さやま市民大学第5回体育祭より
(平成30年6月23日)