開催日時:平成28年12月16日(金)13:30-15:30
場 所 :元気プラザ大会議室
受講生 :受講者数 11名 出席者8名 欠席者3名、聴講者 1名
第6回講座はソーシャルビジネス育成講座 事例研究②~子育て支援~と題して2名の講師をお迎えいたしました。
1.NPO法人けやの森自然塾 理事長 佐藤朝代氏 「けやの森自然塾はみなさんのNPO立ち上げを応援します」
団体の活動概要
設立年月日:平成4年5月
会員数 :130家庭
設立趣旨 :1978年、母体であるけやの森学園幼稚舎開設。理念を「生きる力を育む自然の教育」とする。卒園した父母からの要望で、1992年5月に自然塾を設立。自然体験活動、学習活動、環境教育の交流活動、調査研究活動、子育て事業の5つの主たる事業を通して、子供の生きる力を育む。
活動の状況
支援が必要な項目
・自然体育活動―安全管理、または専門的技術や知識
・学習活動(学童保育室)-夏休みの課題挑戦や学習支援
・園芸(学習保育室)-草花の管理、サツマイモの栽培
・林の管理ーチェンソー、草刈機で林(平地林)の整備
3つのキーワード
①生活:ルールやマナーをキャンプで身に着けよう。
②コミュニケーション:不思議に思ったことや学んだことを伝え合おう。
③表現:俳句にしたり絵にしたり、歌にして表そう。
この3つのキーワードを自然体験を通じて学ぼう。
NPO けやの森自然塾では、自然体験こそ豊かな人間育成に重要な役割を果たすものと考え、子供たちの自然体験を実施。自然活動は危険や困難が伴うものです。しかしすべての危険を子供から遠ざけることはしません。安全を確保しながらも、子供たちが力を合わせて困難を克服できる状況を作り出し、自分の責任で行動できる力を養います。
主な活動
・源流キャンプ;入間川の源流キャンプ、源流ならではの水生昆虫探しや観察などを通じて、水と山の関係や、森林の役割などを考える「科学的学習」も行う。
・入間川チャレンジカヌー:週末にカヌーの練習をし、入間川で川の活動を通して「もっときれいな川にしたい」という、自然を守る気持ちを育てます。
・カヌーボロ:カヌーボロという競技に挑戦チームを作って仲間と切磋琢磨し大会出場を目指す。
・スノーキャンプ:黒姫高原で雪遊びを楽しむ。
・登山キャンプ:本格的な登山をし。壮大で美しい自然を感じながら、登る苦しさと頂上についた時の達成感を味わいます。富士登山では、頂上に達することだけが目的でなく、先に進むか途中でとどまるかの判断を自分で下します。
・小坊主修行体験:夏と冬に各1回お寺のお坊さんの説法を聞き座禅をします。
・林の管理活動:日高市の中沢にある私有林をお借りし維持管理を行っている。間伐や下草刈り、動植物などの観察を行い、幼児や学童の自然体験として活用
・フラワースポット:入間川の河川敷(広瀬橋、本富士見橋の間(ヤオコーの裏手)を花壇として維持管理活動を行っている。
・自然の遊び研修会:平成22年から不定期で行っていた、林での研修会を平成24年から年2回(春秋)定期的に開催。幼稚園、小学校の教諭をはじめ保育士、学童支援員等を対象に,自然の中での遊びの指導案作りや講師の先生の講義、グループディスカッション、林遊びなど実践を交え楽しく遊びます。興味のある方はお問い合わせください。
けやの森学園とフレネ学校(フランス、セレスタン・フレネの人間教育を基にした学校)の親和性
けやの森学園もフレネ学校も自然の教育方法を生かしながら、「知識を得ることより個を育てること」「技術を高めるより人格を磨くこと」「生活を整え、他者と関わりバランスを保つこと」「個々が幸せに向かってよりよく生きること」など子供の生活の中で一つひとつ体験させながら人、物、事と真摯に向き合い、とにかく人間として育て上げることを何よりも重要視している。そして、けやの森がフレネ学校に最も引き付けられ敬意を表することは、子供一人ひとりに焦点を当て現状をとらえ、主体性を尊重し、成長に必要な手法を編み出すという丁寧な関わり、つまり人間尊重に徹した教師の教育観にあると思っています。と佐藤理事長は述べておられます。
2.NPO法人さやま保育サポートの会 講師 代表理事 諏訪きぬ氏
さやまのまちに”子育て支援ネットワークを ” ~NPO法人さやま保育サポートのこれまでとこれから~
★ 創立10周年を迎えたいま5つの部門が活動を行っている。
1. 保育サポート事業 よつばのおうち
2. 子育てサポート事業 子育てプレイス奥富
3. 保育サポート研修事業 保育サポート研究所
4. 子育てサポート事業 ホームスタートさやま
5. 保育サポート事業 学童保育室
★ NPO法人さやま保育サポートの会の目的(定款)
① 子育て・保育サポートを中心とした福祉事業
② 健やかな生活を送るための学習会・講演会・イベント等啓蒙普及事業
③ 地域のふれあい促進・次世代育成への情報提供事業
さやま子育て支援ネットワーク事業
↡
2012年5月26日 さやま子育て支援ネットワーク事業
④ 次世代サポーターの養成を中心とした事業
さやま市民大学パパママお助け隊養成講座 幼児期、学童期
★ NPO法人さやま保育サポートの会
設立:2006年(平成18年)1月10日NPO認定
事業:2006年3月18日保育室“よつばのおうち”開設
保育に困った親たちの駆け込み寺として保育事業開始
展開:
① 2006年秋 広場事業開始(地域子育て支援)
② 2007年3月1日 障害児生活サポート事業団認定
③ 2007年度 狭山市家庭保育室認定➡9名
「駆け込み寺保育のこれまでとこれから」
障害児を持つ子と親への支援、うつ状態の親への支援、早朝から夜遅くまで頑張る。困難な支援は園長が引き受ける。駆け込み寺はかけこんで来た親子の状況に合わせて対応する以外に支援方法はない。
役所と協働で子育てをする
(1)子育てプレイス奥富の受託(2008年10月1日)これによりNPO発展の糸口ができた。2010年、200万円の助成金を得る。これによりさやまの子育て支援ネットつくりを始める。
子育て支援の拡大.支援者の育成 役所と協働で子育てをする。
(2)パパママ講座・ホームスタート・学童保育の取組
★ 保育サポート研究所
設立:2010年の理事会・総会で設置を承認
役割:①保育研修の実施(保育者の資質向上に関する研修等の実施)
・・・②保育研究会の主催(保育の感情労働研究会)
2010年5月保育サポート研究所の設置
2011年度からさやま市民大学講座、パパママお助け隊養成講座
2014年5月家庭訪問型事業着手、平成26年度市民提案型協働事業助成を受ける。
平27年度市民提案型協働事業、6月ホームスタートさやま立ち上げ
2015年4月 よつばのおうち地域保育事業の「小規模保育A型19名」として認可
2015年4月奥富学童保育室、柏原小学児童事業保育室の指定管理をさやま市から受託
学童保育の運営
奥富学童保育室:食育、子供の活力と・主体性を育てる。奥富学童レストラン
食育の実際:栽培活動、調理活動、手作りおやつが行われている。
柏原小学児童保育室 生活と文化、ニコニコ花束集会:おじーちゃんおばーちゃん有難う~
*NPOのこれから
ちっぽけな“よつばのおうち”から大きく育ってきたNPO これからのあり方についてどう考えていますか
1.子育てネットワークを張り巡らせる
さらに10年さやま子育て支援ネットワークづくりの拡大を目指す。
2.他団体との協働
・ホームスタートジャパン・埼玉HS協議会
・行政機関との協働
・NPO法人さやま保育サポートの会
・学童保育のネットワークづくり
・さやま子育て支援ネットワーク31団体
3.HS事業2016の展望 2015年度埼玉県委託事業訪問型子育て支援:ボランティア普及促進事業(福祉部少子政策課)
4.児童虐待予防ネットワークの構築
・学務課・保育課・こども課・健康推進課
・プレイス奥富、プレイス広瀬、プレイス水冨、プレイス稲荷山、プレイス新狭山、さやま子育て支援センター
5.学童保育ネットの構築
NPO保育サポートの会を中心として
・学務課、こども課
・奥富学童保育室、さやま市立学童保育室、柏原小学校保育室、新狭山小学校保育室、御狩場小学校保育室
民営化の学童保育室をネットワーク化する。
6.グループワーク
保育の向上はスタッフ研修から
・ロールプレーイング 研修テーマはスタッフ間の連携
~~ 受講生からの感想 ~~
けやの森自然塾
・幼児が成人でさえも過酷な登山・カヌーに挑戦しており驚きでした。子供たちがそれぞれの意見を持ちそれを発表できることは、それを育成した教育方針とその先見性に素晴らしさを感ずる。
・生きる力を自然体験からという理念、昔の子供のあそび、体験、素晴らしい体験学習ですね。感動いたしました。
・遊び心を中心にした子供たちの育成は大事ですが、森や、雑木林は農家にとって大事な生活の場であることも教えてほしいと思いました。
さやま保育サポートの会
・子育て支援事業は経済的に大変な苦労をされていることで、生半可な気もちで事業を継続することは無理と知らされた。
・保育サポートの会はけやの森自然塾と同様に立ち上げる人のパワーがすごいと思います。事業を継続していくためには、ボランティアに対し額は少なくても有料でないと長続きがしないことがわかりました。
・保育サポートの会の組織の出発から今までの経緯など、よく理解できました。諏訪先生のお話、思いやり、考えが理解できました。
・5つの部門(保育サポート、子育てサポート、保育サポート研修事業、子育てサポート事業、保育サポート事業)がそれぞれの機能を生かしながら活動している様子。大変参考になりました。
・ソーシャルビジネスの課題として、資金の裏付けと専門的な人材の確保が必要ということをお二人の講師からお聞きし活動を継続していく大変さを感じた。子供の教育に対する熱意の高さに頭が下がった。
~~ 講座リーダーのコメント ~~
お二人の講師の次世代サポーターのはなしを聞いている間その情熱と、事業を継続する意志の強さに感動いたしました。
・けやの森自然塾に関しては、子供の冒険心、カヌーでの激流の戦い、急な坂がある入間川源流への挑戦など、これだけのスポーツに挑戦させる勇気は大変なものだと感じました。危険に対する安全対策は十分に行ったうえで実施されていることと思いますが、NPOのスタッフの熱意が子供たちの両親にも賛同を呼び安心と信頼感が醸成されていると感じた。最近の風潮として安全第一がまず唱えられるが、長い人生においては多くの危険な場面に遭遇することは必至、危険を乗り越え無事に障害を克服したときの達成感は何にも代えられないものだということを感じることは子供たちにとって貴重な経験を残すことになる。
・小さな駆け込み寺の保育室からスタートしたNPO法人さやま保育サポートの会が多くの困難を乗り越え、また諏訪代表を中心とするスタッフの皆さんの献身的な努力により、大きな発展を遂げていることは素晴らしいことと思います。長年の努力が実り、市民提案型協働事業において行政との協働が大きな発展に結び付いている現実を本講座により知りました。資金不足があってもあきらめず、諏訪代表の愛と情熱により駆け込み寺の保育室が維持されたことなど頭が下がる思いです。諏訪代表の言葉の中に、次世代サポーターの養成講座さやま市民大学のパパママお助け隊養成講座の受講料が15000円を超え、子育て中の母親にとって大きな負担となっているので来年は受講回数を減じても、受講料を1万円程度に抑えてこの講座を続け、より多くのサポーターの参加を呼びかけたいとの発言がありました。 (講座リーダー 江頭誠治)