第4回 「狭山市から発信する詩集・童句の魅力―吉野弘と土家由岐雄の世界」
日程: 6月13日(月)
講師: 童句振興協会会長 広沢謙一 様
会場: 狭山元気プラザ 大会議室
受講生: 出席26名、欠席1名
1.『北入曽』の吉野弘
2.『童句の狭山』と土家由岐雄
狭山の歴史や文学に造詣の深い広沢謙一様に、狭山に居住し今は亡き吉野弘と土家由岐雄の世界を熱く語って頂きました。なお、広沢先生は市内で講演会や勉強会の活動をされており、市民の間に多くのファンがおります。
まず、高度成長期に狭山市に転入してきた著名な文化人を紹介して頂きました。水野地区には能狂言方山本則直や国文学者の宮地幸一、北入曽地区には仏像彫刻家小西竹太郎、入間川地区には土家由岐雄など多彩でした。
一部 吉野弘の作品については、代表作として『夕焼け』や『祝婚歌』を解説頂きました。また詩集『北入曽』の紹介では、まさに吉野弘が居住していた北入曽を詩集タイトルにしたことや、不老川わきの茶畑と若旦那の詩から、吉野弘の北入曽への想いを知る機会を頂きました。ただし、残念なことに詩集『北入曽』は発行部数が少く、手元にはないとのことです。
二部 後半に紹介して頂いた土家由岐雄は、童話作家で童句創始者、童謡詩人でした。有名な作品『かわいそうなぞう』を秋山ちえ子がラジオ朗読した音声を流して頂きました。土家由岐雄は動物や児童を詠んで、童話から童句の創作に広がったのでしょう。童句では少年少女の純真な心を詠んでいます。一方、日常の楽しみをよんだ随筆『酒の秋』があります。土家由岐雄の世界は智光山公園に5選を刻んだ童句碑として、また狭山中央通り商店街の街路灯に掲げられた童句100選として記録されています。
穏やかで優しい詩集や童句の世界は、子供たちのために永く残したい世界ではないでしょうか。
なお、講義録は冊子「語り継ぎたい狭山の魅力」としてまとめる予定です。