第6回 史跡・文化財めぐり「笹井・根岸地区」
実施日:令和5年11月2日(木) 8時20分集合~12時50分現地解散
天 候:晴 25度 風なし 朝方低かった気温も徐々に上がり、季節外れの夏日となりました。
地 区:笹井・根岸地区 コース距離 約5㎞
コース:狭山市駅西口広場→グリーンハイツバス停…笹井ダムサイド…笹井白鬚神社…宮地遺跡…滝不動…宗源寺…水富公民館(休憩)…明光寺(現地解散)→狭山市駅
参加者:髙橋先生 受講生20名 スッタフ6名 狭山歴史ガイドの会6名 総勢33名
◇今回訪れた「笹井・根岸地区」の特徴
当地区は水が豊かな地域で、市街地の中に湧水が流れ落ちる滝があり、笹井ダムの周辺ではアケボノゾウやメタセコイアの化石が発掘されています。また、埼玉県選定の重要遺跡や、当地出身者が創作した笹井豊年足踊り、江戸時代の古道・日光脇街道跡などにも出会えます。今回はその中で旧笹井村総鎮守の「笹井白鬚神社」と石仏2点「滝不動」「阿弥陀如来立像」をご紹介します。
ϴϴ お勧めスポット① 笹井白鬚神社 所在地:狭山市笹井1962付近
・当神社の創建については、古い記録が失われているため不詳ですが、古くから笹井村の氏神として崇敬されてきたといわれています。文明19年(1487)に聖護院第29世門跡道興准后が関東方面を巡錫した際、当神社に参拝してご神木の銀杏を手植えされたとの記録があるので、それ以前に鎮座していたと思われます。祭神は猿田彦命(さるたひこのみこと)と武内宿禰(たけのうちのすくね)です。
・当神社を含む笹井地区が爆撃を受けたのは、太平洋戦争末期の昭和20年(1945)5月25日夜半のことです。東京の山手地区を爆撃した際のB29爆撃機の大編隊の内1機が迷って笹井地区に向かい飛んできて、笹井ダムを挟んだ黒須地区と笹井地区に焼夷弾1,520発を投下しました。笹井ダムから白鬚神社にかけての一帯は火の海となり焼失家屋や罹災者は多数を数え、死者13人、被災世帯69戸に達しました。当神社も拝殿と社務所を焼失しましたが、本殿は無事で奏上門の破風を焦がしただけで類焼を免れました。
・当神社の笹井豊年足踊りは、明治から大正にかけて当地出身の桜井藤太郎が苦心を重ねて創作したもので、昭和52年(1977)に狭山市指定文化財・無形文化財に指定されています。
ϴϴ お勧めスポット② 笹井・根岸地区の石仏2点
★ 滝不動(不動明王) 所在地:狭山市笹井40-32付近
お堂の中の不動明王は、入間川左岸段丘から湧き出す水が、滝となって流れ落ちるところに祀られたことから「滝不動」と名づけられました。本尊の不動明王は、右手に宝剣、左手に羂索を持った舟形光背の浮彫立像で創建は不明です。不動明王は修験者の行場には大変よく見られます。
修験道の開祖である役小角(えんのおづぬ)が諸山を修行中にこの滝の水音を聞き、この地に霊場を開き、不動明王を彫刻して安置したといわれています。
★ 阿弥陀如来立像 所在地:狭山市笹井2丁目17-8付近 (宗源寺境内)
市内には石仏の阿弥陀如来像が3基ありますが、そのうちの1基がこの阿弥陀如来立像で、建てられたのは寛文13年(1673)で市内の如来像の中では最も古いものです。全87㎝、台座高は5㎝です。銘文は上部に「奉造立」、向かって右に「南無西方極楽世界阿弥陀仏」と刻まれ、台座には10名の願主が刻まれているので、彼らが極楽往生を願って建てたものであることが分かります。
◇おわりに
今回は太古のロマンを感じるアケボノゾウ・メタセコイアの化石発掘場所や、縄文時代並びに奈良・平安時代の集落遺跡を辿る中で、水の豊富な地域に相応しい「滝不動」を始め、戦争の爪痕が残る「笹井白鬚神社」、「ほほ笑みを浮かべる釈迦如来像」、本格的仏画「地蔵十王図」など、校外学習最終回に相応しく他の地区では見られない珍しい史跡や文化財に出会うことができました。
◇ 令和5年度「狭山の歴史講座」校外学習(史跡・文化財めぐり)を終えて ◇
機関誌・広報担当スタッフ 青山 泰夫
今回を持ちまして、令和5年度「狭山の歴史講座」『校外学習(史跡・文化財めぐり)全6回』を終了しました。本年度はコロナ禍のため4年ぶりの再開となった校外学習でした。その中で、改めて郷土に残る貴重な史跡・文化財の魅力を広く皆様にお伝えしたいと思い、各コース毎に誰でも気軽に見学できるお勧めスポット1か所と貴重な石仏2点を取り上げご紹介してきました。
私たちの郷土である狭山市には、日々の暮らし中で見過ごしがちな道端にひっそり佇む石仏や、歴史を刻む神社仏閣、昔ながらの形態で執り行われる祭事、古代の井戸跡や街道跡など、多岐にわたる魅力的な史跡・文化財が数多くあります。是非その魅力の一端に触れて頂ければと思います。
本講座では、私たちのふるさと“さやま”の歴史を、古代から現代まで「通史」として学べます。そして、本投稿記事のテーマである『史跡・文化財めぐり』では、狭山歴史ガイドの会による分かり易いガイドと、髙橋講師(狭山市文化財保護審議委員会委員長)による専門的見地からの補完説明があり、郷土に受け継がれてきた本物の魅力を受講生一人ひとりが肌で感じることができます。
本講座にご関心・ご興味のある方は、さやま市民大学「狭山の歴史講座」の受講をお待ちしております。7か月間にわたりご高覧いただきまして有難うございました。
☆ 本年度の史跡・文化財めぐり「各地区お勧めスポット」の振り返り ☆
(文責:機関誌・広報担当スタッフ 青山 泰夫)