入間川の野鳥
日時:2019年6月12日(水)13:30~15:30
場所:狭山元気プラザ大会議室
講師:(公益財団法人)埼玉県生態系保護協会 狭山支部長 津森義則
津森さんは、「入間野鳥の会」の方です。鳥を見るということは、自然を見ることだそうです。自然を調べる方法はいろいろありますが、昆虫や植物は種類がとても多く、水質を調べるには道具が必要です。しかし、鳥の観察することは、種類も多くなく、環境の変化に直ちに対応し、道具もたいして要らないのでとても手軽だということでした。
生態系保護協会狭山支部では、いつ、どんな鳥がどれだけ見られたかをレポートするそうですが、この狭山市が県内で一番レポート確認数が多かったそうです。この辺りは、水辺、畑、雑木林、宅地と、いろいろな環境があり、鳥の種類がとても多いのだということです。「あ、カルガモが飛んでいます」「スズメが大きな虫をくわえていました」と話の途中で窓の外を指さしながら、野鳥に関するお話をしていただきました。
野鳥とは
野鳥の特徴は羽毛があることです。他の動物にはありません。羽毛には空気が入りますが、卵を温める時は、羽毛を抜いて肌で温めます。野鳥がどの位の寿命なのかは今のところ分かりません。メジロなどでは足環をつけても次年度見つかることがほとんど無いので、大概一年未満で死んでしまっているのではないかと思われます。野鳥は飼ってはいけない、獲ってもいけないものです。
野鳥と環境
カルガモが飛んでいるということは、近くに水辺があるということです。また、ドバトがいるということは、近くにコンクリートの建物や砂利があるということです。コンクリートはドバトにとっては岩山に見えます。砂利は砂漠に見えます。鳥を見るとそこがどんな所であるのかが分かります。
鳥は環境を見る指標、バロメーターになります。ある時期は農薬がたくさん使われていたので、野鳥があまり見られませんでしたが、現在サギの仲間は増えています。農薬が少なくなり、カエル等の食べ物があるからです。カワセミが見られるということは、水が奇麗になり小魚がいるということです。逆に、アマサギは減りました。牧場のようなところが好きな鳥なのですが、牛を放牧するような場所が無くなったからです。コチドリも減りました。コチドリは砂利が好きですが、今の入間川はあまり氾濫しないので、草が生えてしまい住みにくいのです。
これだけ覚えれば狭山で飛んでいる鳥の名前は当てられる!
25種類ぐらい野鳥の名前を覚えていると、入間川近辺を歩いてもだいたい鳥の名前が分かります。飛び方にもそれぞれに個性があり、トビなどは滑空、カワセミは直線に飛び、ヒヨドリは波型に飛びます。歩き方も、スズメは両足でぴょんぴょん、セキレイは左右の足で、カラスはそのどちらもできます。頭の掻き方も、鳥によって羽根の下から足を通すか、上から通すか決まっています。エサの探し方も、上空から見て、地上を歩いて、くちばしを差し込んで等の方法があります。ウグイスがホーホケキョと鳴くのは繁殖期のみ。他の時期はチャツチャツのように鳴きます。コジュケイは「チョットコイ、チョットコイ」と鳴き、それぞれの鳥は個性ある鳴き方をします。このように鳥の大きさ、飛び方、動き、いる環境、鳴き声等で、何という鳥かが分かってきます。
※ 以下が、覚えれば鳥の名前が言い当てられるという鳥です。津森さんは25種と言っておられましたが、名前を挙げているうちに35種になってしまいました。こんな所にも野鳥愛を感じました。みなさんは、いくつ分かりますか?
キジ・マガモ・カルガモ・コガモ・カイツブリ・キジバト・カワウ・アオサギ・ダイサギ・コサギ・オオバン・イルカチドリ・コチドリ・トビ・カワセミ・コゲラ・モズ・オナガ・ハシボソガラス・ハシブトガラス・シジュウカラ・ツバメ・ヒヨドリ・メジロ・オオヨシキリ・ムクドリ・ツグミ・スズメ・ハクセキレイ・セグロセキレイ・カワラヒワ・ホオジロ・アオジ・カワラバト・ガビチョウ
「良い環境とは、いろいろな生物が共生できる環境であると思います。Think Globally,Act Locally。考えは世界レベルで、行動は身近で……」そう語って講義は終わりました。
(野鳥トリビアクイズの答え)
① 鳥は頭が動いている時は周りを見ることが出来ないので、クッと頭が止まった瞬間、周囲を観察し、危険を確かめている。
② 狭山市でも何十年に1回しか見られない鳥の名前。こんな鳥も観察されたことがある。
③ 中の穴に野鳥の死骸がたくさんあり、穴をふさぐために屋根を付けた。スズメなどはは穴に巣を作る習性があり、一方通行で中に入ると出て来られない。
④ 日本のオナガの長い尾羽根は青灰色で先端が白い。対してイベリア半島のオナガは尾羽の先の白斑がない。
⑤ 他の鳥は親鳥がヒナの糞を遠くに捨てに行くため、巣の下が糞だらけなどということは無い。ツバメは人間に頼り切って生活してきたため、糞を処理する能力を失ってしまい、すぐ下に捨ててしまう。だから、ツバメの巣の下は糞だらけになる。