★日時:平成 30年 5月 25日(金) 13:30~15:30
★場所:狭山元気プラザ B棟2階 大会議室
★担当講師:東京大学高齢社会総合研究機構 客員研究員 木村清一
★コーディネーター:小山周三 講座リーダー:草野 喜実勝 スタッフ: 山影昶、江頭誠治、有賀富士子
★テーマ:「Aging in Placeをめざしたまちづくり」
〜「ニュータウン」から「オールドタウン」そして「コミュニティタウン」へ〜
1. 超高齢社会の現状と課題
1) 柏市高齢者の現状と課題
*2010年から20年間の高齢者比率(75歳以上)2.17倍(全国1.61倍)
*要介護認定者数:1.8倍
2)地域に戻ってきた“団塊世代”は?
*自由を手にしたものの、何をしようか・・・
*地域の集まりは行きづらいなあ・・・
*活躍できる場がない、参加したいところがない
*TVばかり見てしまう、間を持てあますなあ・・・8
★そこで、柏市では「地域包括ケアシステムづくり」と「高齢者の生きがい就労の実現」に取り組み始めた。
(1) 柏市役所+UR都市機構+東京大学の三者で研究会スタート
(2) 柏プロジェクトのモデル地域として豊四季台団地を選ぶ
(3) プロジェクトの意義:「住み慣れた場所で自分らしく老いることのできるまちづくり:Aging in Place」
の提案と実践
(4) 三者の目指すところ
◎柏市:都市部においてすすむ超高齢化の中でまちづくりの在り方の検証
◎東大:人口の超高齢化に対応する社会、システム、技術の提案
◎UR:今後の超高齢化を迎える団地の在り方及びそのまちづくりの検証
5) 柏市が目指すまちの姿について
☆地域包括ケアシステムを実現させるために・・
①在宅医療を推進するシステムの構築
②訪問看護の充実(24時間訪問看護の体制整備)
③介護サービスの充実(24時間短時間、巡回型介護の体制整備)
④サービス付き高齢者向け住宅の整備
☆高齢者の生きがい就労を実現させるために・・・
①休耕地農業、ミニ野菜工場、屋上庭園
②保育サービスの向上、子育て支援センターの創設、子供の居場所ン確保
③生活支援サービス
④コミュニティ食堂及び配食サービスの実施といった地域の食を支えるサービス
6) これまでの取り組みの成果
① 地域医療連携センター相談:2712名(H26年〜30年)
② 情報共有システム運営:1272名
③ 顔の見える関係会議:通算23回、4762名参加
④ 在宅医療多職種研修:通算9回(医師65名、多職種490名
⑤ 在宅診療を行う医師:15名⇒32名
⑥ 訪問看護ステーション数:12か所⇒24か所
⑦ 在宅医師による看取り数:53件⇒204件
2. 高齢者が生きがいをもって活躍できるまちづくり
☆「働く」+「生きがい」=生きがい就労
☆「やりがい」+「役立ち」=役立ちがい
1)生きがい就労を実現する事業
☆農:休耕地を利用した都市型農業事業
:団地敷地内を利用したミニ野菜工場事業
:建て替え後リニューアル団地における屋上農園事業
☆食:コミュニティ食堂
:移動販売、配食サービス
☆保育:保育・子育て支援事業
☆支援:生活支援・生活充実事業
☆福祉:福祉サービス事業
3.就労セミナー修了生による社団設立
〜(一社)セカンドライフファクトリー〜
*セミナー修了生557名のうち350名が法人設立に参加。
*グループ活動、プロジェクト設置、研修会、セミナー事業、委託受託事業
4.まちづくりの基本的な手法を考える
〜まちづくりのための合意形成や体制づくりの為に〜
<第一段階>イベント型
*講演会・シンポジウム・展示会・博覧会・おまつり等の催し
<第二段階>プロジェクト型
*施設整備・公園整備・商店街整備・居住環境整備などのプロジェクト
<第三段階>
*市民参加の仕組みづくり・環境整備や土地利用の在り方とルール化
*医療や介護の地域システム・まちづくり条例化など
5.壮大な協働・連携を創りだす力
①常に「信頼関係」を醸成する努力を行う
②何度でも「繰り返し」一貫して呼びかける。
③団体期間の間柄を捉えた対応をおこなう
④あらゆる場面を利用して親交を深める
⑤行政は取り組みを陰で支える真のプロデューサーになり事
(参考)
元気な高齢者が多い地域に共通していること、それは「人と人とのつながり」である
<つながりを創る5つのキーワード>
① 外に出ていく機会が多い
② 多くの人が自然環境と関わる
③ ボランティア活動が盛んである
④ 無理なく、楽しく働いている
⑤ 地域に自分の役割があり、貢献している
以上
<受講生の意見・感想><
*エネルギッシュな講義を久しぶりに聞き、楽しい90分でした。
*まちづくりには方向を目指した強力なリーダーシップが必要だと思いました。
*どこの地域にも高齢者問題があり、安心して暮らせるまちづくりはとても大変な事だと思いました。
*素晴らしいプロジェクトだと思った。東大・UR・行政と役者が揃った感じがする。
*狭山のまちづくりに大きなヒントを頂いたような気がします。
*柏市の成功例と課題のお話はこれから狭山市のまちづくりを考えるときの自分の視野を広めるのに大いに役立った。
*豊四季、柏の葉近くに3年住みました。とても有意義な時間でした。
*木村先生のエネルギーに満ちた講義に関心しました。行政との対応、参考になりました。
*要は人と人との接触(繋がる)する場を作ることが最も必要であることが理解できた。
*話だけでは何も前に進まない。どこか一点からでも崩していくようにしていきたい。このクラスに役人も参加して欲しい。
<講座リーダーのコメント>(記入者)草野 喜実勝
*今回の木村先生も非常にエネルギッシュに90分休みなく熱弁を振るわれ、受講生も思わず引き込まれる講義と なった。
*今回のテーマは、柏市同様に大型団地を幾つも抱える狭山市にとっても他人ごとではない問題であり、非常に身近にとらえられたたのではないだろうか。
*このような大きなプロジェクトには、行政と民間との緊密な連携が不可欠でsり、正に「協働のまちづくり」のお手本のように感じられた。
*振り返って狭山市でこの種のプロジェクトを立ちあげるための第一歩を誰がどのように踏み出すのか、自らの問題として受け止めなければならないと思う。