開催日時: 平成28年12月2日(金)13:30~15:30
場 所: 元気プラザ大会議室
受講生 : 受講者数 11名 出席者9名、欠席者:2名
第5回講座テーマ
1.講師:狭山元気ファーム代表理事 坪井 幸男氏 《 狭山元気ファームの「食と農」を考える 》
概要:2013年4月に狭山元気大学畑コース1・2期の修了生を中心として狭山元気ファームを設立。会員数19名で活動中
活動趣旨
1.楽しい野菜作りを通し、友達の輪を広げる。
2.多くの野菜つくり経験者を確保し,援農支援ができるようにする。
3.お互いに切磋琢磨し、野菜つくりの技術向上を目指す。
4.社会支援:軽度の障がい者児童を野菜つくり作業に参加させて、知識と経験を高める。働けない高齢者に安価な野菜を提供する。
5.子供学習支援;野菜つくりをとおして、ものつくりの大切さを教える。
活動場所
狭山市堀兼富士隠れ地内(堀兼神社近く)の農地を借地
活動状況
畑作業:毎週水曜日、日曜日に行っている。必要に応じて作業日を追加。1500m2の畑、ビニールハウス、露地栽培1年を通して野菜つくりを行っている。約30品種
販売活動
毎週月、水(元気プラザコミカフェ)、金曜日(エントランスホールで直販)販売を行っている。
元気朝市、市民大学祭,大成病院尚壽市、新鮮で安い地場野菜として主婦の好評を得ている。
狭山市の農家事情
農業人口(平成22年)男750人、女740人 524世帯 計1490人
農産物生産状況(平成22年)
1.ほうれん草 169ha 2230ton
2.里芋 123ha 3160ton
3.冬にんじん 21ha 758ton
4.春大根 14ha 128ton
5.ネギ、はくさい、キャベツ等
出荷額:2574万円/年 1戸当たり490万円
現在の農業人口:240世帯 350人に減少している
狭山市の農地事情
・狭山市には農地の遊休土地はない。
・休耕地は増加している。(後継者不足と高齢化により、休耕を余儀なくされている)
休耕土地の活用
1.アマチュアは農地があっても専業農家にはなれない、(農業委員会の承認が必要)
2.地主名義で畑を借りる。ただし生産・販売名義人にはなれない。
3.専業農家の名義のもとで生産販売(小作人)
4.できた野菜は民間の直売所に出荷できる。
市民憩いの広場
狭山市には、商工業振興課管理運営の市民憩いの広場が存在する。現在6か所、計472区画1区画 =3mx5m=15m2 (4.5坪)希望者は無料で借用ができる。
休耕地の利用
市内の休耕地はたくさん存在するので、行政で借り受けて一般希望者に貸し出せば、利用者の楽しみは増加し、シニアの就労の機会も増加する(生きがい就労)
4年間の活動の範囲で、感じたことは農業社会の厳しい現状
1.労働力の確保:農業従事者の高齢化で、労働力を求めても確保が困難。農業支援者を育成し派遣する(援農支援)
2.休耕地の利用活用=地主名義の生産販売支援が必要。
~~ 演者より ~~
受講生の皆さんが講座を終了したときに、農業生産の仕組みを理解していただき、休耕地を利用できるようなビジネス面での援農支援計画と実行性を模索していただきたい。
2.講師:Vegetable Promotion 代表 豊泉 正人氏 《 野菜で元気に! 食コミュニティで元気なさやまを応援 》
豊泉氏の経歴:
1.昭和37年に秋田県に生まれ54歳
2.前職はマーケティング・リサーチの大手会社に勤務、システム設計開発、システム営業、マーケティング営業を担当する。
3.今年4月にVegetable Promotionを設立し野菜の生産(農業)、生産品の調理及びその調理品の移動販売(キッチンカー)を行っている。
Vegetable Promotion
設立:2016年4月 従業員2名の個人営業
一緒に事業を行っているのは、豊泉さんの奥さん、奥さんは昨年さやま市民大学後期講座「食と農」の受講生で、終了と同時に事業を立ち上げられた。
事業方針:地元狭山の農産物の生産・加工(調理)、販売をとおして、地産地消の促進、コミュニティの活性化を図ることにより地域貢献を目指す。
ミッション
・安心、安全な野菜の生産・販売(調理品を含む)を行う。
・地域イベント等、キッチンカーを利用し農産物調理品をとおして、地域コミュニティの活性化をおこない、同時に「さやま野菜」のブランド訴求を行う。
・元気プラザコミュニティカフェ(毎週金曜日担当、今年5月よりワンデーシェフとして一般社団法人街活さやまと契約)でさやま野菜ラーメンやとれたて野菜の販売をとおして「地産地消」を促進する。
起業の動機
・農業後継、親の高齢化
・恵まれた環境
・市民大学『食と農』の講座による後押し
・マーケティングの実践
・人との交流を深める
・元気なさやまを応援したい。
企業における考察(4P)
・Product (商品)
新鮮野菜だけでなく、調理品として付加価値のあるアイテム➡野菜を使ったオリジナル手作り商品
・Place(流通)
売れる場所へキッチンカーを使って移動できる。➡移動販売
売れる場所=人が多く集まる➡イベントでの出店
・Price(価格)
自生産野菜を食材とする。➡安価に提供できる。
・Promotion (宣伝)
目立つキッチンカー、オリジナル手作り商品
メインの食材をさやま産野菜とする。➡「さやま野菜」の訴求。
設備(開業のための設備、調理場)
キッチンカーだけでの設備では、下ごしらえなどの準備が手狭でできないので、自宅の母屋を改良して調理場を作り保健所の許可を得た。
移動販売の面白さ
・仮設と検証を楽しむ
・季節(天候、気温)イベントにおける客層ターゲットを想定した商品の選定、価格の検討商品の売り方等について仮説検証を楽しむ。
・食コミュニケーションを楽しむ例、おいしかったよ、また来ます
お客様との商品を通じた会話で双方向のコミュニケーションを楽しむ(4Pの検証)
狭山市を元気に
各種イベントに積極的に参加し、イベントを盛り上げると同時に、食コミュニケーションを通じて、地域の活性化に取り組んでいきたい。
・地域の持っている資源(観光・農産)の有効活用、地域の多世代人たちが交流できる機会や場における食コミュニケーションの提供
・農業と商業の連携による地産地消の推進
・さやま産野菜「さやま野菜」の訴求
~~ 微力ながらもできることから着実に実践していき、地域を元気にして行くことが活力ある狭山市「元気な狭山市」につながっていくと思います。 ~~
~ 受講生からの感想 ~
☆ 狭山元気ファーム
・2年間で学んだことを実践している素晴らしさを感じた。障害者、子供たちとの野菜づくり、ものづくりの楽しさを伝えていくことの大切さを学んだ。
・いずれの事業もさやま市民大学の受講生であるということに驚きました。学習したことを実践
➡ソーシャルビジネスにつながっている。
・夢の実現と現実(行政)の壁との間で大変な苦悩があるんだなと世の中の厳しさを感じた。
・農業人口の激減で休耕地の増加により「名義借り」援農支援での活動の場が拡大していることで注目に値する。
・とても興味のある講座でした。本格的でりっぱな野菜を購入して驚きました。我が家では食べる分の野菜を作っていますが小松菜は虫食いの穴だらけ、大根はいくつにも分かれているなど、もっと手をかけて上手にできればうれしいので勉強をする必要があると思いました。
☆ Vegetable Promotion
・商売は簡単でなく、長く続けることは大変なことですが狭山名物ができるとよいですね。ケーキとてもおいしかったです。
・里芋の親芋が畑に捨てられているのをよく見かけ、もったいないと思っていましたがそれを利用したケーキ作りは良いアイデアと思いました。
・着眼点、発想のすばらしさに感心しました。
・こちらもすごく興味深い講座でした。キッチンカー素敵ですね。私もなにか始めたいとひそかに考えていたので勇気が出てきました。チョコのパウンドケーキおいしかったです。小麦粉ゼロにびっくりしました。
・前職(マーケティングリサーチ)よりの見事な転職でさやま野菜を生かした「野菜で元気に、食コミュニティで元気なさやまを応援」という華麗な転身に大きな拍手を送りたいと思います。頑張ってください。
~ 講座リーダーのコメント ~
回を追うごとに受講生の皆さんも、ソーシャルビジネスの重要さがわかりはじめ、アンケートに対する感想も芯をとらえて、立派な回答を得ることができました。
お二人の演者のお話も、実際に起業・ビジネスに関与した切実な苦労、喜び、夢を語っていただきこれがソーシャルビジネスだとの感を深くしています。
農によって作り出された野菜が、その販売経路で多くの問題を抱えていることは、今後の新しく起業しようとする人たちの意欲をそぐ可能性が大きく、農に従事する人たちの後継者問題を含めても早い農政行政改善が望まれる。農業の保護行政の中で、休耕地を減らして、希望する人が大いに勇気をもって農作業に従事できる環境を整えれば、高齢者の生きがい就労にも役立ち、健康な高齢者の活躍の場となりうると感じました。 (江頭誠治)