さやま市民大学の受講生を紹介します。最高齢の花形直平さん、最年少の小見山恵子さんです。お二人に市民大学受講の動機や目的、受講の感想、受講後の抱負についてお聞きしました。又、今後の市民大学に期待することについても語っていただきました。
お二人の紹介は市民大学の広報誌「市民大学News No4」にも載せてありますが、紙面の関係上掲載しきれなかった部分をここに紹介いたします。
花形直平 さん
最高齢受講生 花形直平さん
プロフィール
入曽在住の86歳です。山梨県甲斐市出身。昭和19年15歳で土浦海軍航空隊に予科練として入隊されました。その後土浦航空隊は空襲で全滅し、日本には飛行機も無くなって特攻兵器「回天」の訓練に行くところだったそうです。もう少し戦争が長引けば、もしかしたらということもあったかもしれません。現在、さやま市民大学受講生の中でただ一人戦時中の軍隊経験をもつ「元日本兵」です。35歳で結婚されましたが18年前奥様に先立たれ現在は一人暮らしです。
受講歴
平成23年 SSCC 「狭山の歴史学科」 普通コース 受講。
平成24年 SSCC 同・研究コース 受講。
平成25年 SSCC 「いきがい学科」 受講。
平成26年 さやま市民大学「ジャーナル学科」「まちづくり担い手養成学科」 受講。
平成27年 さやま市民大学「狭山地域ふるさと学講座」「まちづくり担い手養成講座」
「さやまの生活文化伝承講座」 受講。
大学での楽しい日々
体育祭での活躍
同級生に囲まれて 学科代表で修了証書授与
自慢できることは?
「5年間一度も講義を欠席したことがない事です」と元気な声がかえってきました。
受講のきっかけは何ですか?
入曽公民館で、歴史学者 広沢謙一先生の「古典を読む会」に入会してこの大学(当時はSSCC)があ ることを知りました。自分の住むまちをもっとよく知りたいと思い、まず狭山の歴史を受講。青石塔婆の研究を極める事と、歴史を研究する事でまちづくりができないかと思い受講しました。平成24年の文化祭には歴史学科の研究コースで「鎌倉街道」についての研究を発表しました。
大学で取り組んだ課題は?
まちづくり担い手養成講座で「日本一の健康づくり狭山市を目指す」をテーマに5年計画の まちづくりに 取り組んでいます。
これからの市民大学に望むことはありますか?
文学・音楽・芸術 の講座があるといいね。
現役時代のお仕事は?
甲府の法律学校を卒業後、甲府法務局にしばらく勤めましたが、青雲を夢見て上京しました。職を転々とした後、豊島区巣鴨の食品業界新聞社に入社、新聞雑誌の編集や製作をしました。それが性に合ったのかそこで記者を40年、満80歳になったのを機に退職しました。
80歳まで現役だったのですか?
「今も生涯学習の現役ですよ」と、即座に答えられました。
元気のもとは何でしょう?
特別の健康法はしていませんが、「多くの人と交流すること」や「よく歩き体を動かすこと」かな。大学へは自転車で通っています。5月には狭山から東上線の武蔵嵐山まで30kmを9時間かけて歩きましたよ。
趣味や今取り組んでいることはありますか?
山歩きと日本刀の鑑賞です。山は飯能から秩父にかけて西武線沿線の里山をよく歩いています。刀は心の拠り所として当時海軍の飛行兵は皆持っていたものです。今後の目標は、狭山市内に昔の名刀が何処にどのように保存されているかを探索し記録に残すことです。
趣味の山登り
“青石塔婆”を研究されているとか?
青石とは何千万年もの太古には海だった秩父盆地あたりの海の底の泥が固まってできた緑泥片岩のこ とです。青みがかった色をしており、青色塔婆はそれを加工して作った石の塔婆のことです。平成20年ころウォーキングで立ち寄った東村山市の徳蔵寺で出会ってからすっかりはまってしまいました。あ まり夢中になって、お寺やお墓ばかり歩いているので「お前の背中には背後霊がついている」などと仲間から笑われます。これからも各地の青石塔婆を訪ねて歩くのが楽しみです。
青石塔婆の本を出されたとか。
趣味がこうじて本を出しました。「中世の謎・青石塔婆物語」(平成24年発行 花形直平 著)があります。
緑泥片岩(日和山近辺にて)
青石塔婆
「中世の謎青石塔婆物語」(花形直平 著)
どのような本を愛読されてますか?
戦記ものね、特に特攻隊に関するもの。「永遠のゼロ」(百田尚樹著)のような。しかし実際に軍隊を体験した者が読むと「おや?」と感じる変なところもあるね。
戦前から戦後へ世の中が180度変わった中で、ご自身の生活や意識が変わられましたか?
戦後、母校の旧制中学に戻りましたが「予科連崩れ」などとも呼ばれたように価値観の急激な変化につ いていけず、真面目に生きる気力を無くした時期もありました。
そして、最後に遠くを見るように
あのね、今でも時々おもうのですよ。九州の鹿屋から沖縄まではゼロ型戦闘機でも約2時間かかりますがね………
その間何を考えていたのかね~………操縦しながら………(沈黙)
やっぱり「お母さんって心で呼んでいたんだろうね。まだ20歳やそこらだものね~」 の言葉が重く響きました。
花形さんは毎日のように元気プラザのコミカフェで食事をされているそうです。会えばいろいろなお話を聞けるかもしれませんよ。
小見山恵子さん
プロフィール
昭和59年生まれの31歳です。専業主婦で、8歳(男)、4歳(男)、2歳(女)の3人のママです。さやま市民大学「パパ・ママのお助け隊養成講座」を受講しています。
さやま市民大学はどこで知りましたか?
近所のママ同士のつながりがあまりないことや、子供が勉強する姿を見て自分も何かしたいと思ってい ました。そんな時、友人にさやま市民大学の話を聞きました。
大学と子育ての両立が大変ではありませんか?
逆に、今までダラダラこなしていた家事を、短時間でこなすための工夫をすることで生活にメリハリができ、日々の生活に充実を感じるようになりました。この大学では、受講中、子供を預かっていただ けるので助かります。最初は保育室に預けるのに抵抗がありましたが、今では子供も喜んで通っていま す。子育ても、少し距離を置いたほうが親にも子供にもいいと思えるようになりました。
今後の大学の講座への希望はありますか?
子供に栄養があって手軽にできるものを食べさせたいので、料理を作りながら栄養も考える講座があれば、と思います。これからの受講の予定は後期開講の「パパ・ママのお助け隊養成講座~学童期」も受けたいと思っています。将来の夢は「今は小学校、幼稚園、幼児を抱えているので働けないが、少し手がかからなくなったら同じ状況にある、パパやママのファミリーサポート的な仕事ができたらいいと思っています。同時に少しでも家計の足しになれば……」と微笑まれました。
印象に残ったのは「私の言葉や態度の一つ一つがこの子の将来に影響すると思うと、とても子育てをおろそかにできない」の言葉でした。子育てにも、将来の夢にも頑張っている素敵なママさんです。
文責 鈴木房子