1.キャンパスからトトロの森に続く緑の回廊
早稲田大学所沢キャンパスの正門入口から南門に抜ける緑の回廊を通ると、その先には「トトロのふるさと基金」が取り組みを進めるナショナルトラスト事業によって保全されている狭山丘陵があります。アニメーション映画「となりのトトロ」に登場する風景のモデルであることから、宮崎駿監督の承諾を得て「トトロの森」と呼ばれています。一般市民向けの散策地として公開され、いきがい講座のウォーキング授業のコースにもなっています。トトロの森の四季おりおりの風景や散策コースなどをこれからも紹介していきたいと思いますのでご期待ください。
2. 講座風景
5月16日(土)第6回講座のテーマは「高齢者の余暇生活」
講師はいきがい講座の世話役でもある早稲田大学人間科学部臼井恒夫教授。
講義の要旨を紹介します。
①「元気で暇な長い老後をどのようにいきがいをもって過ごすか」という問題は、介護問題ほどの切実さはないが、その長さと該当者の数から、それに劣らないほどの重要な問題ともいえる。 高齢期においては「いかに健康で長く生きるか」ということだけではなく、「如何に充実した生活を送るか」という質の向上を図ることが重要です。
② 日本人の平均寿命は、ここ100年間で44歳から83歳へと約40年も伸びている。退職後60~80歳についての余暇時間は10万時間、21歳から60歳までの仕事時間と同じになる、ここを如何に充実した時間で生活できるかが課題である。
③ 高齢者の余暇生活の現状と課題 : 日本人の生活時間の特徴は「三すぎる」…勉強しすぎ・仕事しすぎ・暇がありすぎ…の慣習に対し、長寿命化の進行でリタイヤ後の時間の活用が更に有意義な内容にすることが重要です。
出展:早稲田大学 臼井 恒夫教授著作 いきがい学講座テキスト「高齢者の余暇生活」より
受講生から提出されたひとことカードを紹介します。
考えた事もなかった10万時間の余暇生活をどのように過ごすか、大変有意義な勉強ができたようです。
- 高齢者の時間がありすぎとは言っても、本当は時間の使い方を知らない、特に男の方は仲間作りが下手だと思います。お金が無くても、少しぐらい体が悪くても楽しく出来る事を考えて…たとえば皆で唄うとか、ダンス、踊り、体操、物作り、昔作った竹細工、凧揚げ、草履作り自分で出来る事を皆でやる、教える、教えてもらう。とにかく外へ気持ちを向けた方が良いと思います。
- 高齢者の平均的な活動の内容がわかり、自分自身との比較、今後どうしたら良いかと考える機会となりました。
- 高齢者の余暇の課題が大きいことを実感しました。早速自分なりのタイムテーブルを作ってみようと思います。
- 高齢者に向って子供との生活も少なくなり、社会参加に自分から進んで行かないと老後の生活に孤独感や病気に陥りやすいが、それには金銭面もある程度余裕がないといきいきとした余暇が送れないような気がします。
- 余暇時間の過ごし方は、今はいろいろやることがあるので問題は無いと思っていたが、今回の「社会参加の重要性」を聞いて、自分の不足していることで今後考えていきたい。
- 高齢者の余暇、全くお話の通りです。余暇享受能力不足はそのまま自分にあてはまります。しかし、有り余る時間の使い方を少しは工夫しはじめています。勉強する、ボランティアをする、自分の趣味を深める等、以前よりよくやっていると思っています。自己満足に陥らないように努力したいです。私自身は現在楽しいと思えることが増えています。
- 他者との交流や主体的、創造的な自己実現が生きがいにつながるとの事はその通りと思いますがそれを達成することをどうするか、計画的に充実した生活ができるようにしたい。
- 今後意義ある余暇生活を考えていきたいと思っており、今日の講義、大分参考になりました。
- 生涯生活時間の内の余暇時間の多さにびっくり、いきがいへの取り組みが本当に大切ですね。有意義にすごさなければと思いました。
- これからの時代は、現在みられる非正規社員の増加による無年金者の増加、old、oldの増加による老老介護増加等により、余暇時間は地獄の時間になる高齢者が増えるのでは?
- まさに少子高齢化社会に高齢者として生きている私、全てが余暇時間なのに暇がないほどに忙しくバタバタ暮らしているが、そのために元気でいられると思えば有難いし充実している。
- 生活時間の「三すぎる」を知り、改めて子供の頃から 自分の自由な時間を大切にし、大人になってからも日々充実した生活をすることがより豊かな老後につながることを感じました。個人の努力だけでなく、社会全体で変えていかなければならない課題だと思いました。
- 教(今日)育(行く)は高齢者になっても自ら作り出すことが、今日の話しを聞いて改めて感じられます。何かの社会参加活動に積極的に行って生きていきたいと考えています。
臼井恒夫先生より
ひとことカードをお送りいただき、誠にありがとうございました。お送りいただいた17枚のカードを読ませていただくと、拙い私の話を受講生の皆さんがご自分の問題として受け取っていただけたようで、大変有り難く拝見いたしました。今後の研究や講義の参考にさせていただきます。
一つだけ触れるとすれば、自分の余暇生活を考えるためにも、他者との交流が大切だと思います。生き生きと老後の余暇生活を送っている高齢者の方と接する機会が多ければ多いほど、 そうした人の生き方が手本として参考になると思われます。