「アドバンスケアプランニング(人生会議)について考える
日時:5月13日(土)10:40~12:20
講師:聖路加国際大学大学院教授 鶴若 麻理 先生
受講生:出席34名(欠席2名)
鶴若先生は、早稲田大学人間総合研究センターから、2007年聖路加国際大学(旧聖路加看護大学)に移られ、以下のような研究をなさっています。高齢者の生きがいに関する研究、ターミナルケアと倫理、医療における事前指示に関する研究、高齢者福祉 等。
鶴若麻理「看護師のノートから~倫理の扉をひらく」を検索するとヒットしますので是非ご覧ください。日本はまさに高齢化社会、「アドバンスケアプランニング(人生会議)」について大切さはわかっていてもなかなか実感できないものです。しかし、身近に経験するとその大切さを改めて感じると思います。身内に迷惑をかけないように心構えをしておくことも大切かと思います。
エンドオブライフを考える:終活ブーム
日本では8割近くの人々が病院で最後を迎えている。話し合いたいときに家族はいない。2010年の終活マニュアルでは“葬式”“お墓”についての話題が主であったが、現在では“老い”をどう過ごすか、認知症、延命治療、財産分与などを考える“終活”が大切になってきています。背景には長寿、単身世帯・夫婦のみの世帯の増加、生涯未婚率の増加、病院や高齢者施設など自宅以外で亡くなる方が増加した事によりいざという時に話し合える家族がいない事や人生観の多様化等の原因があげられます。
話し合いたいときに家族はいない
アドバンスケアプランニング(人生会議:ACP)とは
エンドオブライフを考える
将来の意思決定能力の低下に備え、本人の意思を医療従事者や家族とともに継続的に考えることが必要。厚生労働省も平成30年“人生の最終段階における医療の決定プロセス”に関するガイドライン改訂ポイントを提示しています。その中には、心身状態の変化により本人の意思は変化しうるものなので、何度も話し合う必要があること。本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に信頼できる人を前もって決めておくが事等を改訂項目として入れています。
なぜアドバンスケアプランニングか?
リビングウィルからアドバンスケアプランニングへ
リビングウィルとは、自分が判断能力を失った事態を想定し、どのような医療行為を望むか?をあらかじめ文書にしておく事。リビングウィルの考えが生まれた背景には、ニュージャージー州で起きた「カレン・クインラインの人工呼吸器を外すか否か?」をめぐる訴訟があります。いざという時の家族の判断を助ける反面、後悔を残す事にもなるので難しい問題ですね。
わが国の終末医療に関する調査から
厚生労働省が国民、医療従事者を対象に「人生の最終段階における医療に関する意識調査」行った意識調査(H29)では「事前指示書の作成」に賛成が90%を超えるにも拘らず、「実際に作成している」は1%にも満たない状況。我々の解ってはいるけどなかなかね~というのもうなずけます。