よく噛んで食べることで健康に
日 時:6月4日(土)10:40~12:10
講 師:早稲田大学招聘研究員 濱田有香先生
受講生:出席8名(欠席0名)
今日は虫歯予防デー
「私の所属する国立健康・栄養研究所はどこにあるでしょう?」との質問に受講生は???。なんと今話題の国立感染症研究所と同じ所にあるのだそうです。残念ながら22年暮れに大阪に移転するそうで、先生も大阪に引っ越すとか……。今日は奇しくも虫歯予防デー。なんと良いタイミングなのでしょう等々……身近な話で受講生をぐっと引き付けて講義が始まりました。現在は血糖値や消化吸収に関する研究をされているそうで、自衛官の栄養基準改定についても関わったことがあるそうです。なんと、自衛官の栄養基準はそれまで50年も前のものだったそうです。知っていましたか?
フレイルとは
フレイルとは高齢期に陥りやすい虚弱状態で、早期発見し適切な生活改善をすれば身体機能障害に陥ることなく健康な状態に戻れる状態のことです。ここで、自身がフレイルかどうかのチェックをしました。質問紙法では皆指で点数を数えたり、書き留めたり……。指輪っかテストでは思わずかがんで自分のすねの太さを確認。「大丈夫だ~」と安心したような声も聞こえてきました。最近は若い人のフレイルも問題になっているそうです。
オーラルフレイルについて
まず、最新ニュースで「国民皆歯科検診の導入へ」と報道されたことが紹介されました。歯周病との関係が指摘されている主な病気のリスクは、心筋梗塞は2.8倍、早産は7倍。咀嚼能力が低いと高い人に比べて3.7倍フレイルになりやすいそうです。歯の健康は全身のあらゆる部分に関係しているそうで、歯の健康を保つことは医療費抑制につながるのだとか。
オーラルフレイルとはフレイルの中の一つで、口は栄養の入り口ばかりでなく、会話による社会参加の入り口だそうです。口腔機能の低下が心身機能の低下につながる。そう考えると口腔の健康がどんなに大切かが分かります。ここで再度セルフチェック。質問紙の後、ガムを噛んでのチェック法の説明がありました。以前の講座では受講生が実際噛んでチェックしたとか……。Zoomなので出来ないのが残念!
「咀嚼」と「健康」について
最後はガムを噛みながら歩行を行うという最新の研究成果です。歩行中にガムを噛むと心拍数が増大し、エネルギー消費量、歩行距離、速度、歩数が増えるとの研究結果が出ています。脚の筋活動量も増えるのだそうです。
肥満予防には良く噛んで食べると良いと言われていますが、食事の速さと体型との研究についても話されました。やはり食事を速く食べるほど体重や体脂肪率が高いことが明らかになっていました。味覚や咀嚼の有無によるエネルギー消費量の関係もお話いただきました。詳しくは2021年12月9日の早稲田大学プレスリリースに掲載されているそうです。是非ご覧ください。
最後に、「よく噛んでフレイルを予防する」「よく噛んで体重増加を防ぐ」「歩行中にガムを噛むと身体機能が向上する」と講義がまとめられました。
受講生感想
・噛むと唾液の分泌がありよい効用がたくさん期待されるので、高齢者施設の訪問時、口腔体操(パタカラ体操)をしています。
・濱田先生のお話はデータに基づいており、説得力があり、よく理解できました。感謝です。 特に、ガムを嚙むことが体に良いこととは、日本のエチケットを越えることであり、びっくりでした。アメリカのスポーツ選手のガム噛みは道理があったのだと理解しました。咀嚼チェックガムをネットで見つけました。心配になったとき、発注します。
・フレールと咀嚼の関係が理解できました。ガムの有効性については初めて知ることができました。部分入れ歯の現在、以前よく噛んでいたガムは最近敬遠です。質問にあった口を動かすことが大切であれば他に代替品はないのでしょうか。幼少期にゆっくり食べると戦争に負けると言い聞かされた年代は早食いが身についたようです。少しゆっくりリズムの食を気にかけようと思いました。
・普段、テレビや紙ベースで色々なテーマに関する数字(データ)を目にしますが、サ~と見る程度で終わっています。でも難しいデータをビジュアル化して説明されますと、なお一層理解できる……と感じました。早稲田のこの講座は、専門的な内容をビジュアル化してより分かり易く説明してくれるところが“良いところ”ではと思います。何となくスルーしてしまうことに目を向け、一生懸命脳裏に焼きつけようとする行為も、フレイル予防につながると感じました。「パ(口唇)、タ(舌尖)、カ(奥舌)」の発音・発声、頑張りたいと思います。ありがとうございました。