★ 実施日時:令和元年11月3日(金) 13:30~16:00
★ 会場:狭山元気プラザ 大会議室
★ 講師:元 杏林大学客員教授 木下 修先生
★ 講座スタッフ :講座コーディネーター:さやま市民大学学長 小山周三先生
:スタッフ:講座リーダー草野喜実勝 スタッフ:江頭誠治、中山美喜子、
松瀬陽子
★本日のテーマ:シビックプライドの高め方~狭山市の現状を踏まえて
1.civic pride動向
近年シビックプライド/civic prideの重要性が注目されている。
・シビックプライドとは自分が住んでいる都市・まちに対して市民(civic)が誇り(pride)を持つことである。
・ちなみに≪シビックプライドとは、その都市に対する誇りや愛着のことで、
いわゆる「郷土愛/ノスタルジア」とは少し違うニュアンスを持つこの考え方は、都市をより良い場所にするために自分自身が関わっているという当事者意識に基づく自負心といえます。≫という概念説明がある
(伊藤香織他監修・読売広告社都市生活研究所企画制作「シビックプライド―都市のコミュニケーションをデザインする」宣伝会議、2008年)
・自治体はシティプロモーションに力を入れている。シビックプライドに注視し、地域の魅力ある優れた文化資源、観光資源、経済資源、歴史資源、環境資源、人的資源等に光を当て、シビックプライドの醸成に取り組み、シビックプライドと連携させてスパイラル関係、相乗効果を目指す潮流が出ている。
2.civic pride調査
シビックプライド調査の代表的なものとして2つある。
1.「2017市民のプライド・ランキング」三菱UFJリサーチ&コンサルティング 2017年21都市 (政令指定都市と東京都区部) 調査
4指標:「愛着 誇り」「都市のお勧め度」「都市のイメージ関する共感度」「最も魅力的に感じる都市」
誇りの1位福岡市、2位京都市、3位神戸市
2.「シビックプライド・ランキング2018」読売広告社 2018年151自治体調査(関東・関西圏の人口10万以上)
5指標:「愛着」「誇り」「共感」「継続居住意向」「他者推奨意向」
総合ランキングでは1位港区、2位文京区、3位中央区、4位藤沢市、5位鎌倉市
(狭山市、入間市、川越市、所沢市なども調査対象。公表は1~40位まで。そこに4市が入っていない)
3.「都市データパック」で狭山市を見る
・「都市データパック2019」(815市・特別区、47都道府県、926町村情報)東洋経済新報社、2019年は、全国815市・特別区データ100項目と47都道府県データ200項、926町村データ40項目の数値と全国順位、その他を掲載。
・統計・数字など定量的に日本の各都市を見ていくと、どんな状況なのか、強み・弱みは何なのかが浮かび上がる。
・狭山市、川越市、入間市、所沢市は5段階評価で、住みよさはC、C、C、D、財政健全度はA、B、B、Aである。
・「狭山」の名がつく大阪狭山市は住みよさB、財政健全度D。
・住みよさで毎年トップの印西市の座を奪った白山市。財政健全度D。均衡がとれていない。
「都市データパック2019」のこの年の調査方法が大きく変更したことにもよるが、狭山市は2018年と比べて
両指標の順位が大きく上がったことが注目される。
4. civic prideを高めるためにーー狭山市の諸資源の検討
・狭山市の強み、特筆すべき優れた誇るべきA、AA、AAAは何か。いくつあるのか、A、AAをどう作るのか。
狭山市の弱み、劣る点、無いもの、欠落など D、Eはなにか。
・CをBに、BをAに、AをAAに、EをDに、DをCにする方策・実施・努力が必要だ。
✩狭山市の弱み 劣る点 無いもの 無自覚 問題点など
・銘産品でオンリーワン、ナンバーワン、ベスト3などなし。
・狭山茶の生産量・品質が全国水準、近隣都市と比べて秀でていない。
・Jリーグスタジアム基準サッカー競技場、日本プロ野球公式戦開催野球場なし。
・日本陸連公認陸上競技場、日本水連公認プールなし。
・百貨店、美術館、映画館、寄席、大型書店、大型遊園地……なし。
・名門幼稚園・名門小学校・名門中学校・名門高校・名門大学・有名研究所なし。
・市役所のレストラン(食堂)が地階にあり圧迫感がありわびしい。光が差し見晴らしのいい上の階へ移せないのか(cf.所沢市役所、千代田区役所……)
・地域文化のバロメーターの1つが公共図書館である。2館では他市と比べて極端に少ない。
・審議会委員等公募者の年齢制限幅が下高上低。
・当市のラスパイレス指数がこれまでかなり高かった。
・光化学スモック注意報発令の回数多い。
✩狭山市の強み、誇り、優れた点、今後も期待できるもの
・東京ゴルフ倶楽部 超名門ゴルフ場が狭山市柏原1984にある。通算7回日本オープンを開催し、世界ゴルフコース100選にしばしば選ばれた。これは関東最古の名門ゴルフ場で、1914年に東京・駒沢に日本初の日本人が中心に創設した日本人のためのゴルフ倶楽部として発足。1932年朝霞移転、1940年狭山市柏原移転。面積76万㎡、コース規模18ホール、パー72、6,904ヤード。摂政宮時代の昭和天皇が英国皇太子と親善ゴルフを楽しまれたため摂政杯、プリンス・オブ・ウェールズ杯競技を現在も毎年開催。
・霞ヶ関カンツリー倶楽部が隣接。
・狭山市立智光山公園 53.8万㎡の巨大な都市公園。柏原にある。将来さらなる充実のための大改造・脱構築
を期待――楽しさ、面白さ、美しさ、ワクワクし、ゆたかな自然、あそび場、安らぎの場、憩いの場、鍛える場、鑑賞の場……また来たくなる都市公園
・都市緑化植物園 55,000㎡の敷地。新デザインのもとに大改造、規模拡大が期待される。
・バラ園 敷地面積1,250㎡。バラの鑑賞に市内外から多くの入園者。大変評価されおり市民はバラ園を誇りに思っている。約80種約700株(ピエール・ド・ ロンサール、クィーン・エリザベス、紫雲、かぐや姫、羽衣その他…)、見ごろは5月中旬~6月中旬、10月中旬~11月中旬。
・「バラフェスタ」6月、「わくわく公園まつり」11月のときはバラ園、芝生広場には市内外から多くの人が集まる。華やかで美しく咲き誇るバラの姿、優美な甘い香りに魅了される。バラの植付面積の大幅拡大、バラの種類・株数の大幅増加が期待される。市がこのバラ園という植物資源・観光資源の充実拡大に力を入れることが期待される。
・桜の園 桜の木約200本がひょうたん池を取り囲み、春は桜が咲き誇り風情がある。
智光山公園には見どころは沢山ある。
・花菖蒲園(2,600㎡)と九頭竜池横の花菖蒲田(600㎡) 約3,800株が6月に江戸系、肥後系、伊勢系の花菖蒲が咲く。充実拡大が期待されている。
・テニスコート 人工芝コートが16面(夜間照明付き)埼玉県中学・高校テニス選手権などもここで開催
・クニック広場/わんぱくの森 新遊具設置、設計変更などによりより面白く、ワクワクする、楽しい場として利用されることが期待されている。
・こども動物園 約120種類の動物(哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類) ペンギン、カピバラ、ポニー……。
イベントも盛りだくさん。子供たちの遊びと学びの場。
・さらに、ひょうたん池、キャンプ場、自然生態観察園、前山の池、ファミリー釣場、市民総合体育館等
●入間川/入間川河川敷
・公園、サイクリングロード、遊園地、スポーツ施設などが川に沿って点在している。
両岸の河川敷利用について、入間市、川越市と連携・協働して面白い有意義な壮大な計画が立案できるのではないか。入間川/入間川河川敷は伸びしろが大変大きい資源 可能性大。
・競技場(サッカー、野球、ソフトボール、ゲートボール……)
・子供遊園地 親水公園 モニュメント広場……
・サイクリングロード/遊歩道 入間-狭山-川越
・マラソンコースの新設 入間-狭山-川越
・エンタメ・アミューズメント施設の新設
●狭山市の「お茶」
・狭山市の茶業者は茶の品質・生産量・ブランド力のアップを目指してきた。
狭山市の茶が、全国茶品評会で、煎茶、深蒸し茶、かぶせ茶、玉露、てん茶、蒸し製玉緑茶、釜炒り茶の
各部門で上位、最高位を獲得することを期待されている。
外観審査は「形状」「色沢」の2つ、内室審査は「香気」「水色」「滋味」の3つ。毎年全国茶品評会が開催され、今年が第73回目で19府県902点出品。特別賞(農林水産大臣賞ほか4つの賞)は大きな評価実績になるが、今年は埼玉県の茶業者は個人部門も団体部門も受賞者ゼロ。
・権威ある茶の品評会で、狭山市の茶が連続して上位を獲得し、高い評価・高い信頼を得る必要があるのではないか。
・「狭山茶」は入間、所沢、川越、狭山、および東京一部の地域で産出の茶の総称。狭山市産出の茶のことではない。「静岡茶」と称されるものは、静岡内部では川根茶、掛川茶、両河内茶、牧之原茶、天竜茶、本山茶、清水茶、島田茶……などと産地ブランド銘で呼び、互いに切磋琢磨し品質競争をし、品評会で上位を獲得し全国で高い評価を得ている。狭山市の茶も地域ブランドとして入間、川越、所沢の茶とブランド競争をし、品評会で上位を獲得することが期待されている。
・「味は狭山でとどめさす」を狭山市の茶のキャッチフレーズに使うのならば、最高の味の茶づくりにチャレンジし、市は積極支援する。この惹句を宣伝に使用するのならば誇大表示(優良誤認)とみなされないよう茶の品評会で継続的に賞をとることです。
静岡、鹿児島、宇治、八女、伊勢、嬉野などをライバルとして、茶の品評会に積極的にエントリーし、 日本一の全国ブランド、そして世界ブラントを目指す。茶のプロモーションもしっかりやる。
おわりに
・変化、変転こそ常なるもの。今・現在は常に変化の途上にある。
・30年後、50年後を想定したグランドデザインを描き、大胆な飛躍を試みることが大事。
・内向きの縮小均衡型の改革は、効果がすぐ出るものの、ビジョンを持った新しい未来投資を次々しないならば、やがてほころびが出て、停滞、劣化、凋落に向かうだろう。
・進化、良質化、高度化、革新、大胆な飛躍の方向性――資源を活用し、構想力、企画力を
いかんなく発揮し、バッサリ切断し、ドーンと投資し、新地平、新展開を目指す方向もあるのではないか。創造的破壊が大事。
・よきコミュニティづくり、シビックプライドの醸成、シティプロモーションの推進、そしてそのダイナミックなスパイラル運動を展開していく時代が来た。
・実際、シティプロモーション、まちづくりや地域ブランドづくり、小学校の地域学習その他に、シビックプライドという新しい価値が浸透しはじめている。
以上