★ 開催日: 令和元年 10 月15日(水) 時間 13:30~16:00
★ 場 所: 狭山元気プラザ 大会議室
★ 担当講師 :(公社)国際日本語普及協会(AJALT)松尾恭子氏、フィリピン人岡村理亜鈴さん(日本国籍取得済)
★ 講座スタッフ:講座コーディネーター さやま市民大学学長 小山周三先生 スタッフ:草野喜実勝、江頭誠治、中山美喜子、松瀬陽子
★ 本日の講義:
第一部:岡村理亜鈴さんのお話
◎岡村さんプロフィール
*フィリピン生まれ。今から20年前、歌手として来日。その後フィリピンに帰国し
日本人のご主人と結婚して再来日。
*現在、高校生、中学生、小学生3人の男の子の子育て中。
*最近まで狭山市内の中学生に英語の学習を支援していた。
Q。日本に来て一番困ったことは何でしたか?
*来日して直ぐに子供の出産のとき。日本語が全く分からない時に狭山市内から
タクシーを呼んで都内の病院に連れて行って貰い、出産した。
医者、看護師との会話が全くできない中で、入院中に何とか必要な会話、医学用
語を覚えることができた。今での忘れられない出来事である。
Q。日本語覚えるのに一番難しかったことは?
*やっぱり漢字。今でも殆ど漢字は読めない。学校関係、生活用語は何とか読める
日常会話には不自由しなくなった。
Q。日本の生活で困っていることは?
*お祝いを頂いた時の、お返しに何を選ぶか、全く考えられないので、義理の両親
に聞いて決めている。(フィリピンではお返しの習慣は無い。有難う、だけ)
*国籍を取るのが物凄く大変。滞在期間だけでなく文字(漢字)の理解が必要。
*子どもの教育(3人とも日本語ペラペラ)が大変。彼らの言うことが理解できない
*5人家族なので、経済的に厳しい。(ご主人だけの収入では厳しい。)
*子供が学校でいじめにあった時。(親として何もできないのが辛かったのが悔しかった。)
第二部:日本語が話せない外国人へのやさしい対応とは(AJALT 松尾恭子先生)
~何よりも先ず外国人抜きでは、日本のまちは維持できないということを認識した
上で、日本を“住みたい国”にしなければならない。~
*防災のためにSNSの活用が不可欠。何故なら日本の「防災無線」は外国人にとっ
なんの役にも立っていないから。
1.)あなたが普段の生活で困っていることは何ですか(川口市在住外国人3万人)へのア
ンケート調査(約1000名)の集計結果。
1位:子供の学校・教育 ~ 32.6%
2位: 日本語 ~ 26.7%
3位: 税金や保険料の支払い(方法)~25.5%
4位: 災害への対応 ~ 21.1%
5位: 福祉制度が分からない~ 21.0%
2.)日本語のどこが難しいのでしょう。
①「書いてください」⇒「お書きください」などの例。
*言葉の中の細かいニュアンス、言葉の裏にある発想や価値観を知りたい。
教科書の言葉は理解できても、自分の言葉で気持ちを伝えることができない。
実は普段の会話では、友達同士で使う「普通体」と丁寧な「丁寧体」を使い分
ができない。
<普通体> <丁寧体>
イ)あっ 雨 ⇒ あっ 雨ですね。
ロ)集合は何時? ⇒ 集合は何時ですか?
ハ)大丈夫? ⇒ 大丈夫ですか?
ニ)急行が来た。 ⇒ 急行がきました。
ホ)毎朝、公園を走ってるよ ⇒ 毎朝、公園を走っています。
ヘ)何 食べる? ⇒ 何を食べますか?
1)日本瀬暮らす外国人の声
~台湾生まれ、日本育ちの温又柔さんのコメント~
*ゴメンネは自分より小さい子、ゴメンは自分と同じ年の子、ゴメンナサイは先生
に向かって使うもの。これは日本語のルール、秩序というものを会得するきっか
けになったことばです。中国語では「対不起(トイブチ)=ゴメンナサイ」と言
えば済むことを日本語では「ごめんね、ごめん、ごめんなさい」と使い分けなけ
ならない、ということです。
2)日本語で話してみよう。(注意すること)
★短い言葉で言う ⇒ 言い切る
★大事な語句を繰り返す
★紙とペンを用意して、見てわかるようにする
★写真、イラストなどを利用する
*優しい=易しい=相手に対する思いやりの心
*易しく言い換えてみましょう。
①ここで 喫煙は ご遠慮ください⇒ここでは 煙草を 吸わないでください
②ここでの写真撮影はちょっと無理です ⇒ここでは 写真撮影はできません
③この お菓子は 賞味期限が切れています⇒このお菓子は食べてはいけません
3)狭山を外国人に易しいまちにするキーワード
①笑顔~第一印象が何より大切
②挨拶~こちらから話しかける(こんにちは!)
③易しいことばで話しかける
以上、先ずは笑顔で話しかけることから始めましょう!
<受講生の意見・感想>
*日本人の親切さにも限度(節度)が必要だと言われ、自己満足はいけないと思った。
*日本に来て日本の事を覚える努力は立派だと思います。
*外国人と会話するときはイエス、ノーをはっきり言い切る方が良い(やさしい気持ちで)
*「外国人に選んでもらえるような日本にならなければ、」という言葉が印象に残った。
*親しくなっても、生年月日を教えないことが自分自身を守るために必要だということを
知った。(個人情報として外国人にとっては一番大事なことだから)
*日本人は無意識に(相手によって)言い方を変えられるが、それが外国人には難しいこと。
*普段日本人同士で話しているつもりで外国人に話すと通じないことが多いことが分かった
*日本語には「普通体」と「丁寧体」があるので、外国人には「丁寧体」で話す必要がある
*自分のことを話してくださってうれしかったです。(岡村リアリンさん)
<講座リーダーの講評>草野喜実勝
*今回は「まちづくり」のテーマとして、外国人を迎え入れる立場として、狭山市に来るであろう外国人にどのような気持ちで、どのような態度で、接摂すれば れば良いのか、長年日本に住んでいる岡村さんの体験談を外国人の立場から具体的に話をして貰った。
*次に、AJALTの松尾先生からは長年外国人に対してどのように日本語を分かって貰えるか実践体験の中から得られたノウハウをやさしく教えて頂いた。
*日本(狭山)で外国人を迎える場合は何よりやさしい日本語が必要であり、なによりやさしい心が大切だということを忘れないようにしたい。