記録的な猛暑が続く7月下旬の早稲田の森の中のキャンパス。所沢キャンパスのシンボル、人とペガサスの像(中央)とスクールバス。
7月28日(土)いきがい講座第14回
「中高年の引退移動の動向」
講師: 早稲田大学人間科学学術院 臼井 恒夫教授
1.学習のねらい
平均寿命が延びるなかで退職後の生存期間が長くなっている。退職後どこで暮らすのか関心が高まっている。移動の実態を探る事は日本の将来の人口分布を考えるうえで重要である。
2. 近年の人口移動
・2017年都道府県間の移動者は489万人となり、2年ぶりに増加した。
・転入超過は東京、千葉、埼玉、神奈川、福岡、愛知、大阪の7都府県。
・転出超過は福島、兵庫、北海道、新潟など40道府県。
3. 高齢者の人口移動
・人口高齢化の進展とともに高齢者の居住地移動が活発になった。高齢者の居住地移動は大都市圏において活発であり、人口分布に与える影響は大きい。
4.引退移動
・仕事や子育てに区切りがついた健康で収入が確保されている世代が、充実した第2の人生を実現するための移動である。・日本は親子のつながりの強さや、高齢社会の歴史の浅さから欧米に比べると快適さを求める引退移動は少ない。
5.引退移動の阻害要因
・日本の高齢者は新しい場所で新たな社会関係を築くことに消極的。
・夫は積極的だが、地域社会と深くかかわってきた妻は消極的である。
・引退移動の受け皿となる魅力ある地域やコミュニティが不足している。
・地方移住に関心を持ちながら踏み切れない理由は不安定な転職状況。
6.引退移動の誘致政策
・引退後の早い段階で健康なうちに移動すればプラス面も大きいことから近年地方自治体の定住政策を変えてきた。
資料出所:臼井教授著作いきがい講座テキスト「中高年の引退移動の動向」及び講義より引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【受講生の感想・意見】 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
❖ 日本も引退移動が活発になる時代が来ることは望ましいが、少子高齢化が進み、定年延長や働き続ける生き方、年金の問題、貧富の格差拡大、税収の落ち込みによる医療や福祉サービスの危機など、充実した第2の人生の引退移動の実現には移動する側も呼び込む側も多くの課題があることを学びました。
❖ 移動先に活動の場があり、より魅力的な生活ができることが大切なことだと感じました。
❖ 退職者が充実した残りの人生を送るために転居を考える、色々な施策があるのだろうが、それが広報されず知らない人の方が多いと思う。
❖ 引退後の高齢人口移動は海外に比べ日本ではあまり積極的でないようですが、住めば都と考える私は移動について考えたこともなく、生活・健康・医療面を含め勉強になりました
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~