さやま市民大学 健康・福祉コース「地域福祉とケアのあり方を学ぶ講座」
広報委員の取材日記 公開講座「福祉のある地域づくり 」
1.「地域福祉とケアのあり方を学ぶ講座」のねらい
地域社会における環境が大きく変化している中、さまざまな福祉課題に対処・解決するためには、地域の団体とともに、市民ひとり一人の参加と支え合う力がなければ安心できる福祉・ケア社会は築けません。福祉の現状を知り、市や多くの活動団体の取り組みを学び、市民の立場で取り組める福祉とケアの協働社会のあり方を考えるのが目的です。
2.公開講座から学ぶ……「これからの地域福祉とケア」のあり方
講座は金曜日午前中(9:30~11:30)の開講。合計15回で9月9日には修了します。
12回を迎える今回は、いつもの教室から市民交流センターに移して全国展開している団体「市民協」の田中尚輝専務理事を招いての《公開講座》を開催しました。
☆日 時:平成28年7月15日(金) 午前10時から(開場9:30 閉会12:00)
☆場 所:市民交流センター 3階 中央公民館ホール
☆主 催:さやま市民大学 協力:狭山市地域福祉活動推進研究会(地活研)
☆講師プロフィール
京都市生まれで狭山市在住。認定NPO法人市民福祉団体全国協議会(市民協)専務理事。
市民協は、会員数1400団体の介護系NPOで、中間支援団体としては、日本最大の組織。
とりわけ現在は、シニアによるNPO起業への支援、ネットワークづくり、NPOマネジメントのノウハウの普及に向けて、執筆や全国的な講演活動に活躍中です。
☆本日のプログラム …… 進行司会は、講座スタッフの高久 文男氏が担当
1.さやま市民大学 小山学長挨拶
2.NPO法人さやま協働ネット 土田代表理事挨拶
3.記念講演 「福祉のある地域づくり」 講師:田中 尚輝
4.質疑応答
5.閉会のことば
☆本日の参加者
行政や市内の福祉関係団体や一般の人など、合計60人超える参加者がありました。
3.テーマ「福祉のある地域づくり」
☆公開講座のポイント
介護・福祉の世界が大きく変わり、地域での助け合いや支え合いが重要になり、これがなければ地域福祉はない、という状態になります。皆さんのお住まいの周辺には、自分の生活を支えてくれるサービス、組織がありますか。制度の変更と私たちの老後を考えてみましょう。
(1)変わる介護保険制度の方向
① 介護保険制度の改正⇒要支援1、2については、予防給付から地域支援事業へ移す。
……「国」の責任から、「自治体」の責任へ移る。
② 自治体は、総合事業自治体のサービスA,B,C,Dとして実施。その担い手は一部を除いてボランティアに依頼する形になる。国から自治体への要支援1,2にかかった費用の補填は、大よそ人口3万人に1億円程度、狭山市なら約4億円程度か?
……この背景は、高齢化により年々増加している介護費用の圧縮策にほかならない。
《総合事業自治体のサービスA,B,C,Dの概要》
A:今までと同じ…ホームヘルパーやディーサービスなど(但し 身体介護は無い)
B:ボランティアによるサービス…国、自治体とも、このサービスを中心に考えたい。
(ボランティアに補助金の支給は無いが、団体としては得られる)
C:医者による在宅サービス
D:移動サービス
③ 現実として、病院への入院や施設への入所がどんどん難しくなる。
(2)この変化に、あなたはどうしますか?
① どこで死にますか?
② 1人暮らしになったらどうしますか?
・ 話し相手は、
・ 食事は、
・ 移動は(外出は)、
・ 介護保険制度以外のサービスは、(食事、草むしり、犬の散歩など)
・ 入院の時の保証人は、
・ 葬儀やお墓は、
(3)あなたの周辺には、社会的資源が揃っていますか?
① 生活支援(ホームヘルプなど)がありますか ② 通いの場は、(サロンなど)
③ 食事はどうしますか ④ 移動(外出)手段は
⑤ 便利屋は近くにありますか ⑥ 在宅医療・主治医は
(4)さて、あなたはどうしますか?
5.質疑応答
☆3名からの質問を受けましたが、丁寧に全国で進めている状況も含めて回答を頂きました。約束の時間 12時に終了し、次の講演先の別府市に向かいました。
《おわりに》
難しいテーマを上記の様に(1)~(4)に分け、さらに細かく分かりやすく紹介されました。現状までの経過からどこが課題になるのか、現在、全国を見た時どうなっているのか、どの方向へ進めれば良いのか……など等、短い時間に実例・数字をあげて説得力のある講演会でした。確かにこの「地域福祉とケアのあり方を学ぶ講座」にピッタリの内容でした。
要は、時代の流れで制度は変わるが、皆さんが自分自身の事と理解してひとり一人が支援者として機能すれば、今以上に自分たちの老後の生活が良くなる!……早い時期に、行政や現行の諸関係団体と、ひとり一人が勉強して、連携して前向きに対応していく様です。