広報委員の取材日記
「さやまの生活文化伝承講座」ふるさとの食文化体験
さやまの生活文化伝承講座 第7回 ふるさとの食文化の体験(うどん作りを体験)
1.講座のねらい
さやまの生活文化伝承講座は、忘れ去られていく昭和30年代の狭山市における貴重な生活文化(特に生業(なりわい)を聞きとり調査し、記録に残し、この人たちの「知恵・知識を現代に生かし、それを後世に伝承」することを目的としています。
2.うどん作りの取材
7月1日、うどん作りの会場は、堀兼にある狭山市農村環境改善センターです。
当日は、村田リーダーほかスタッフの皆さんに迎えられ、受講生の皆様に取材の趣旨を説明していただき、写真撮影の了解を得ました。
うどん作りを始める前に、まず集合写真です。
参加者全19名(講師2名、リーダースタッフ4名、受講生13名(内女性3名)
受講生は、30歳台の若者を含む熟年者13名(男性10名、女性3名)です。
男性受講生はエプロンが良く似合います。
講師はJAいるま野の「武蔵野食文化推進者」 中田さんと塚原さんです。
真っ赤なエプロンはうどん作りへの情熱を感じます。
年に2~3回、堀兼小学校でうどん作りを教えているとのことです。
うどん材料となる小麦粉は幻の小麦粉と言われている堀兼産の「農林61号」。
そして、本日のかて(糧)は、地元野菜の長葱、ほうれん草、茄子です。
A、B、C、D、E、の5班に分かれて実習の始まりです。
① まず、小麦粉と塩を空気を入れるように混ぜ、水を少しずつ加え一つにまとめます。
気温の差により水や塩の微妙な調整が必要となります。当日は気温が高めだったため、柔らかめのダンゴとなりました。
② ①を食品用のビニール袋に入れて足で踏みます。袋の中で伸びたら畳んで踏み、これを5~6回繰り返します。生地を20cm位の円形にし、袋の中で2~3時間寝かせます。
体重差、踏み込み回数により出来上がりの生地の固さが微妙に違ってきます。
③ ねかせた生地を延し板に乗せ、麺棒で2~3㎝の厚さに伸ばします。
各班、生地の固さが違います。柔らかすぎるものもありましたが、こねているうちに水分が飛び、まあまあの出来になりました。
④ 伸ばした生地を屏風だたみにして、包丁で2~3mm幅に切ります。
各班により、蕎麦のように細めのものからおッ切込みのように太いものまで様々です。
⑤ 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、沸騰した中にうどんを入れて、7~8分ゆでます。
笑顔を加え、美味しくゆであがりました。
⑥ ボールに水をはり、ゆでたうどんを入れ、よく水洗いをしてぬめりを取り、小さな玉にしてまとめ、ざるに上げて水を切ります。
唯一の30歳台の若者も、なかなか手慣れた様子で作業をしていました。
⑦ だし汁を作ります。
⑧ ほうれん草、なすなどのかて(糧)をゆでます。
⑩ 試食・味見
やっと完成です。皆さんぞれぞれ、自作うどんに舌鼓を打っていました。
受講生の中には、仲川前市長、毛塚前協働ネット理事、歴史の高橋講師の皆さんも参加していました。リーダー及びスタッフの熱心な指導に、受講生も一生懸命にうどんを作っていました。男性受講生は、明日から、この貴重な体験で習得したうどん作りの技の伝承に努めることでしょう。取材にあたり皆さんの満面な笑顔が印象的でした。
この度、さやまの生活文化伝承講座第7回 ふるさとの食文化の体験(うどん作り)を 取材させていただきました。
取材にあたり、講座リーダーの村田光平氏に大変お世話になりました。 ありがとうございました。
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狭山市のある武蔵野台地は、火山灰土である関東ローム層に覆われており、雨が少なく乾いた土質のため、水田には向かず米よりも小麦の生産が盛んでした。こうしたことから、うどんが多く食べられ、古くから各家庭でうどんを打つ習慣がありました。
しかしながら時代の流れと共に生活の質が変わってきた現代では、食文化も手間暇かけて作りだすことの大切さを忘れられようとしています。「さやまの生活文化伝承講座」を、今回は食の面から学んだ訳ですが、受講生の皆さんには、今後もこの貴重な体験で習得したうどん作りの技の伝承に努めていただきたいと思いました。
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※「武蔵野食文化推進者」とは
JAいるま野では、武蔵野の古きよき武蔵野食文化を絶やすことのないように、伝承する食文化技術者をJAいるま野「武蔵野食文化推進者」として登録し、農業祭、収穫祭など各種イベントへの参加、小学校への出前講座などを通して、食文化の普及や地域住民との交流を図ることを目的として活動をしています。
※「かて(糧)」とは
武蔵野の伝統食で、茹でた季節の地場野菜などをうどんに添えたものです。小松菜やほうれん草、ナスなどが一般的です。かて(糧)は、刻みネギやミョウガ、生姜などの薬味とは異なります。
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