「夢を叶える狭山の活力」
~本物のものづくりと社会貢献~
日 時:9月13日(水)13:30~16:30
講 師:株式会社アダムジャパン取締役・アイオライト株式会社代表取締役 関根沙織 氏
アダムジャパン特別顧問 長矢賢治プロ
受講生:出席14名(欠席2名)
講師関根沙織氏は、ビリヤードキュースティックを開発製造する世界的に有名な(株)アダムジャパンの取締役です。最近、栄養豊富なモリンガにも注目し、近隣の農家の協力を得て木を育て、食品を製造販売するアイオライト(株)を立上げました。本日は、「本物のものづくりと社会貢献」と題して講義をお願いいたしました。
長矢賢治プロには、ビリヤードの曲技を披露して頂きました。
1.株式会社アダムジャパンとは?
アダムジャパンの創業は1970年、初代社長はゴルフクラブのトップブランド・キャロウェイの副社長リチャード・チャールズ・ヘムステッターでした。現在、アダムジャパンは狭山工業団地工業会の一員として、狭山市下広瀬に本社・工場を構えています。周囲には入間川、智光山公園、名門ゴルフコース、狭山茶の農園等緑豊かな環境に恵まれた土地です。ビリヤードキュースティック等のビリヤード製品を製造販売している、世界のビリヤードキューメーカーを相手に成長を続けているグローバル企業です。国内大手2社の一角です。キューの製作10工程に25名の職人が取り組み、専属プロを支援し、両者が協力して、発注者が求めるキューススティックを具現化し、ワクワクを届けています。
また、ビリヤードを娯楽からスポーツとして認識されるよう、意識改革を目指し、市内の小中学生や高校生を対象にビリヤード教室を開き、SDGsの取組みにも積極的に取り組んでいます。
2.地域での取組み
現在、全国的にビリヤード場が減少しており、狭山市内でもプレイしている方は少なく、ビリヤードを身近に知って頂くために、地域活動を支援しています。例えば、「狭山市入間川七夕まつり」でのデモンストレーションや「狭山市商工祭」への出張イベント、狭山元気プラザを会場とする「さやまビリヤード愛好会」の活動、公民館や介護施設の要請を受けて、活動を支援しています。
3.大きな目標「誰もが平等にスポーツを楽しめる未来へ」
「さやまビリヤード愛好会」が取り組む、市民提案型協働事業
「障害のある人もない人も楽しめるビリヤード教室」の支援
a.障害者スポーツの現状 … 興味はあるが参加への一歩が踏み出せない方がほとんど
・自分にはできないだろう、という先入観
・指導者不足や練習場所の不足
・障害の程度に合わせた道具類が入手困難 他
b.普及への課題
・障害者(特に車椅子利用者)がアクセス可能な施設が少ない
・障害の程度に合わせて適切に指導できる指導者の不足
・障害者向けの公認大会などが少なく、上達する上での目標が定めにくい
c.ビリヤード競技なら
・運動強度も高くなく、幅広い層が参加可能
・障害の程度に合わせたアタッチメント類を使用可能
・覚えやすいルール、分かり易い勝敗の決定、他
d.普及に向けて
・パラビリヤード競技が行われていることの周知
・参加者に適切な指導を行える指導員の育成
・公共施設、福祉施設へのビリヤード台等の設備提供、導入援助
・障害の程度にあわせて数段階の共通ルールの策定、他
e.課題の払拭と今後の展望
・狭山元気プラザで「障害者ビリヤード講座」を開催している「さやまビリヤード愛好会」の活動を支援し、機材の開発とルールの策定を進めます。
・「パラビリヤード競技」の普及を目指して、関係団体を協力して、自治体、福祉団体向けの見学を開催していきます。
・パラビリヤード競のパンフレットなどを作成して、広報活動を活発にしていきます。
4.未来の「ビリヤード世界チャンピオン」の育成
a.アダムジャパン専属プロ
・現在、所属しているトーナメントプロは30人、男女ともに日本のトップ選手です。
・特別顧問長矢恒治氏は、トーナメントプロを卒業しましたが、技術は一級です。
・「キャロム」の肥田緒里恵プロは、本年第24回アダムエメラルドカップ「ショートゲーム」部門で優勝しました。
・「キャロム」の甲文子プロは、本年韓国で開催された「SYLPBA CHANPIONSHIP 2023」において優勝しました。
b.若手の育成
・全国的に、中学生や高校生のプロ・アマの競技選手はほとんどいません。
・学校の部活にビリヤード部は存在していません。
・文科省の白書では、ビリヤードを娯楽に分類されています。
・日本におけるビリヤード場の雰囲気の改善も必要です。
・韓国や中国では、ビリヤードはメジャーなスポーツと認識されています。
・そのうえで、日本プロポケットビリヤード連盟が実施する次世代「プロテスト生」を育成したいと考えています。
・特に、狭山市から、世界チャンピオンを目指すプロを育成したいとの想いがあります。
5.「新しいプロジェクト」の始動
最近「健康と福祉」の観点で、スーパーフード「モリンガ」の効用に着目しています。
◎「モリンガ」は、ワサビノキ科の植物でインドを中心に東南アジアで生産されています。世界保健機関が認める、高い栄養価(カリウムは牛乳の63倍、ギャバは発芽玄米の20倍、鉄分はホウレンソウの5倍、マグネシウムは卵の36倍、アミノ酸は黒酢の2倍、ビタミンB2はイワシの50倍・・)と機能性を持ち、300を超える薬効があるといわれています。
◎埼玉県内の農家さんの協力を得て生産し、健康食品に加工販売する事業を始めました。
6.長矢賢治プロのデモンストレーション
狭山元気プラザ3階のビリヤード室で曲玉、トリックボールのデモンストレーションを長矢プロが披露してくれました。的玉3個をポケットに入れる、4個を入れる、5個を入れる、キューステックをテーブル上に置いてのトリックボール等々、数々の妙技を披露して頂きました。さやまビリヤード愛好会会員の日頃の練習成果も拝見できました。同じ敷地・建物の中にありますが、初めて接し、興味を持った受講生もおりました。
質問タイム
質問:長矢賢治プロは何歳ころからビリヤードをはじめましたか?
回答:ビリヤードに興味を持ち始めたのは、17歳ころです。関東にプロの協会ができた時、関東で初めてのプロになりました。
質問:ビリヤードに、マイボールやマイキューはありますか?
回答:マイボール(球)はありません。マイキューを持って人は多いです。材料にこだわる人、装飾にこだわる人、いろいろな注文があります。キューは、1か月に60~70本生産していますが、在庫がないくらいの出荷状況です。
質問:キューに関する規定はありますか?
回答:競技種目によって変わります。ポケットビリヤードの場合、日本ビリヤード協会のルールでは、重さは約708g以下、長さは約101cm以上となっています。
質問:ビリヤードのテーブルの重量は?
回答:テーブルの重量は約200kg、簡単には動かせません。メンテナンスも必要です。子どもたちが対象の時には、小型のテーブルを利用しますが、いずれにしても、水平に設定するのは大変です。
質問:技術認定について?
回答:アマチアビリヤード協会の試験で、技術レベルを級や段に認定しています。
質問:高齢者向けにお勧めの講習会はありますか?
回答:子ども向けの企画は実施しています。高齢者の方には「さやまビリヤード愛好会」への入会を進めています。愛好会では定期的に講習会を開催しています。
質問:会社の作業場を見学できますか?
回答:児童館の企画で見学に来社したことはありますが、個別には対応できません。団体に対しては、相談させください。
質問:モリンガの購入方法について教えてください?
回答:モリンガの農家5軒が無農薬で生産しており、供給が間に合わっていません。店頭販売はしておらず、ネット販売だけです。
受講生感想
・現在働いている方、職人さんの技術を受け継いでいく方が増えてほしいです。以前、私の働く施設に関根社長様に来て頂きました。ビリヤードをやった時の利用者さんのご様子は心と体が元気になり、心身のリハビリと感じました。キューの製造工程が動画もあり、詳しく分かりました。トリックショットの動画、感動しました。
・ビリヤードは映画等の画面でしか見聞きしたことがありませんでしたが、運動オンチの私にも楽しめそうで、近くに場所があったらと思いました。ただ、実際の競技のビデオを見たらとても無理!!モリンガは将来性があると思いました。環境問題は喫緊の問題なので是非発展させて頂きたい。「かふぇくろす」、行ってみたいです。
・ビリヤードは昔やったことがあり、スティックの製造会社が狭山にあるのに驚きました。それも日本に2社しかないと聞き、二度びっくりでした。バットとシャフトの継ぎ精度(直線性)が品質のポイントだと思います。それを金属部品を使わずに出来ている(?)のはスゴイ。そのポイントが知りたかった。今日のお話は大変面白かったです。
・子供たちに夢と笑顔を届けたい、そのためにやれることに苦慮している姿勢に感動しました。モリンガの商品開発の今後にも関心がわきました。アイオライトの発展を願っています。今回は有り難うございました。