「狭山の歴史講座」野外学習第1回 史跡・文化財めぐり「柏原地区」
実施日:2019年5月9日(木) 8時20分集合~12時45分現地解散
天 候:晴れ時々曇り 21度 (※ 校外学習に適した心地よい天候でした)
地 区:柏原地区 コース距離 約5㎞
コース:狭山市駅西口広場(集合)柏原ニュータウン行バス→柏原東バス停下車…城山砦跡…常楽寺…長源寺…宮原遺跡…上宿の庚申塔…永代寺…柏原公民館(休憩)…柏原白鬚神社…西浄寺…円光寺…大山灯籠と大六天(現地解散)…柏原南バス停→狭山市駅西口
参加者:髙橋先生 受講生13名 スッタフ6名 狭山歴史ガイドの会9名 総勢29名
◇はじめに
本日より、「全9回史跡・文化財めぐり(校外学習)」が始まりました。昨年度に引き続き郷土に受け継がれてきた貴重な史跡・文化財の魅力をご紹介します。本年度のテーマは、誰でもいつでも気軽に見学ができる「お勧めスポット」を各コース2か所ずつ取り上げてご紹介します。本記事をご覧になりご興味を持たれた方は、是非、そのスポットに出かけてみませんか
◇今回訪れた「柏原地区」の特徴
入間川左岸にある柏原地区は、縄文時代から集落の適地であり遺跡の多い地域です。また、良質な砂鉄を原料とした鍛冶師や鋳物師による武器や仏具の生産地であり、吾妻鏡に載る武将柏原太郎の居館と思われる城山砦があります。このコースには由緒ある寺社や興味深い石仏等がありますが、今回はその中で、市内唯一の中世城郭「城山砦跡」と常楽寺の「七観音の石仏」をご紹介します。
ϴϴ お勧めスポット① 城山砦跡 所在地:狭山市柏原2376他
新緑に包まれたここ城山砦跡は、中世末期、戦国時代の遺構であり深い堀と高い土塁が往時の姿を留めています。現存する面積は約1万㎡で、昭和48年(1973)に狭山市指定文化財・史跡に指定されました。この場所は入間川の流れに迫り出した台地上にあり、沖積面から10mほど高い河岸段丘上にあって標高は約50mです。ここは大変眺望が良く、南の方向に入間川宿、鎌倉街道上道の入間川の渡し、東の方向に川越を見渡すことができます。軍事的に重要な立地条件を備えたこの城山砦跡には、足利氏、山内上杉氏、小田原北条氏など多くの兵どもの戦の跡が刻まれています。
ϴϴ お勧めスポット② 常楽寺の七観音 所在地:狭山市柏原2298
当寺は妙法山常楽寺といい、宗派は天台宗羽黒行人派です。本尊は不動明王坐像です。
創建の時期、開基、開山などは不明ですが、昭和63年(1988)に神田栄作家から発見された文書に「元文5年(1740)に西浄寺を同寺の末寺にする」との記載があるのでそれ以前と思われます。
静寂な常楽寺の境内には、天保15年(1844)に建てられた、一石に七体の観音像が細部まで丁寧に彫られた「七観音」と呼ばれる貴重な石仏があります。七観音は市内に2基ありますが、一石に刻まれているものは大変珍しく当寺のみで、徳林寺にあるもう1基は7体が別々に刻まれています。 七観音とは、生死を繰り返す6つの世界、六道に墜ちた衆生を救済するために7種の姿をとって現れた仏のことです。この石仏では一番上に千手観音、右側上から馬頭観音、聖観音、准胝観音、左側上から十一面観音、如意輪観音、楊柳観音が彫られています。
◇おわりに
本日は、五穀豊穣を願って建てられた大山灯籠と“ちらかしさま”の伝説が残る大六天の石碑を見学後、現地解散となりました。受講生の皆さんは初めての校外学習で気疲れもあったかと思いますが、10か所の見学場所を楽しくめぐることができました。各見学場所では狭山歴史ガイドの会の分かり易い説明と髙橋講師の補完説明が行われ、郷土に残る史跡・文化財の魅力の一端を再発見できたのではないでしょうか。次回は「入曽地区」の史跡・文化財めぐりです。お楽しみに……。
◇追 記
各コースの史跡・文化財を更に詳しく知りたい方は、昨年度の投稿記事をご参照願います。
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◇ 第1回「史跡・文化財めぐり(校外学習)」に参加して ◇
機関紙・広報担当 1班 髙橋ミツ子
時々陽もさし、史跡・文化財めぐりには最適な一日でした。
本日訪れた柏原地区の中で、私の心に特に残った三つのスポットについて感想を述べます。
まず一つ目は宮原遺跡です。長源寺に隣接する宮原遺跡では、畑の隅にある縄文時代の土器片を拾いながら、当時の衣食住はどうだったのかと想像が膨らみました。
二つ目は城山砦跡です。ここは入口から続く上り坂や本郭の周辺がきちんと整備されています。河岸段丘上にある本郭からは入間川、狭山市街地、川越方面が見回すことができました。当時はどの辺まで見えたのでしょか。
砦の北側は智光山公園近くまであったそうです、今は桜の大木が春になると見事に咲き、近くの畑には花桃のピンクが映えています。この日は富士山から秩父の山並みまで見え、のどかな田園風景が拡がっていました。
三つ目は白鬚神社です。この神社の境内社に掲げられていた絵馬「子返しの図」は、口減らしのために嬰児を闇から闇へと葬らざるを得ない女性の鬼の姿を描き、相対する絵馬「陰陽和合図」は子の誕生の摂理を表し、二つが一対をなしています。現在でも通じるものがあると感じました。
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