所沢キャンパスのメイン校舎である100号館。青い空と新緑が美しく調和した建物は、壁面が薄い壁のずれと重なりによって構成されています。
7月14日(土)いきがい講座第12回
「自分にとっての『歴史』を綴る楽しみ」
講師: 東京国際大学 高田 知和教授
1.日本の各地で行われている地域史誌(字誌・大字誌)編纂の試み
①政治史・経済史でなどの事件史でない、庶民の側の普通の日々の「社会史」への注目(1970年代から)。
②.社会学における「生活史(ライフヒストリー)」
③社会調査における「量的調査」(調査票調査・アンケート調査)と「質的調査」(インタビュー調査等)
④戦後の量的調査の隆盛、昭和50年代からの「生活史(ライフヒストリー)」の出現、
⑤個人生活への注目、聞き取り調査(ヒヤリング、インタビュー)
2.生活史(ライフヒストリー)の魅力。
①自分自身の歴史や感慨を口にすること→自分の充実感、カタルシス効果(精神の浄化)、
②自分だけの歴史、思い出→結果的により若い世代に貴重な歴史、
③思い出を語る→「回想療法」=写真を見ながら回想する、脳の活性化、
④共通の思い出、共通の記憶体験(集合的記憶)ex.8月15日終戦記念日の記憶
3.自治体史について
①自治体史とは県市町村などの地方自治体で刊行される歴史、昭和40年代初頭の明治百年を契機に、昭和60年頃がピーク、
②担っているのは地元の郷土史家→編纂委員会・大学の日本史教授など、書く人は大学教授や専門家・郷土史専門家・ライター(一般市民)
4.地域史誌(「字誌」「大字誌」)
町内会・自治会・公民館などの単位で普通の人たちが協働で公的作業の中で、地域の変容を記念誌としてまとめていく。
5.写真観察法の勧め
①各自の視点での一枚の写真 ②適切なタイトル ③その解説を記入する。
資料出所:高田教授著作いきがい講座テキスト「自分にとっての『歴史』を綴る楽しみ」より引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【受講生の感想・意見】 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
❖父が初めて買ったワードプロセッサーで自分誌を作り、製本して、子供に配ってくれました。当時は何が楽しいのか解らず本棚にホコリをかぶっています。今回、先生のお話を聞きもう一度じっくり読み直してみようと思います。
❖今まで気にも留めていなかった「自分史」を書くのも、ありかなと思いました。
❖他人には無意味と思うことも、記録に残すということで結果、自分の歴史になって残るものなのかな?と思いました。
❖私は仕事、ボランティア活動をして42年間、業務報告を書き、作成してきた。自分史として再編集してみたいと考えました。
❖東京大空襲で住んでいる町が焼け、後年出生地を訪ねてみましたが、戸籍に書いてある町は有りませんでした。今日の講義を聴いて出生地の「地域史」がどこかにあるのではないかと探してみようと思います。
❖さやま市民大学の「生活文化伝承講座」がまとめた『人々の記憶を記録に』の報告書が「ライフヒストリーの魅力」を伝えるものであることを改めて再認識しました。「自分たちの世代が書き残さなかったら永久に分からなくなるという危機意識」を持っていきたいと思いました。
❖狭山市とさやま市民大学では市制施行60周年事業の一環として、人々の生業(なりわい)を聴き書き調査し、後世に残すことに取り組みました。3年計画で聴き書き調査のやり方から勉強し、H29年9月に報告書を刊行しました。~人々の記憶を記録に~と題したこの報告書は、まさに、今日の講義のキーワード「ライフヒストリ―」でした。編集に携わったものとして、片方からのみ物事を捉えていましたが、話者のみなさんは、昭和30年代の生業について、それは、それは、活き活きと話してくれたことを鮮明に覚えています。今にして思えば、これぞ「ライフヒストリーの魅力」そのものでした。
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