「血管を若返らせよう」
日時:5月20日(土)10:40~12:20
講師:早稲田大学スポーツ科学学術院教授 前田清司 先生
受講生:出席34名(欠席2名)
前田先生は2013年筑波大学体育系教授、2018年筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻長を経て2021年早稲田大学スポーツ科学学術院教授となられました。
❍運動による生活習慣病(特に動脈硬化)の予防・改善に関する研究
❍スポーツにおける競技力向上のためのコンディショニングに関する研究等の研究活動をされています。
上記「血管セルフチェック」の項目にチェックを入れてください。
5項目以上当てはまる場合は血管の老化の前兆だそうです。
人は血管とともに老いる
William Osler:カナダの医学者(1849年 – 1919年)
カナダ、米国、英国の医学の発展に多大な貢献をした。また、医学教育にも熱意を傾け、今日の医学教育の基礎を築いた。
【血管年齢】
加齢と動脈硬化度の関係
「人は血管とともに老いる」人は年齢を重ねるごとに血管が硬くなり動脈硬化度が増大する。
下記右のグラフは加齢に伴って動脈硬化度が上がることを示している。
(横軸が年齢、縦軸が動脈系コンプライアンスで数値が高くなるほど動脈硬化度が低いことを示している)
肥満と動脈硬化の関係
下のグラフは非肥満者と肥満者の血管年齢を比べたもので肥満により動脈硬化度が上がることを示しています。
動脈硬化が原因で起こる脳血管疾患や一部の認知症は寝たきりの原因ともなる。
老化や肥満で動脈硬化度が増すのであれば、血管年齢を少しでも若返らせる方法はあるの?
と皆さんは思われたことと思います。
それがあるのです!!
下図のように、動脈硬化度は加齢によってだけではなく運動や食事によっても影響を受けます。
従って、栄養や運動によって動脈硬化度を抑えることができるのです。
【有酸素性運動と血管年齢】
定期的な運動は動脈硬化度を抑制できるのか?
右のグラフは、活動的な中高齢者と非活動的な中高齢者の動脈硬化度を比較したもので前者の方が明らかに動脈硬化度が低いことを示している。
(縦線が動脈硬化度で数値が高くなるほど硬化度が高いことを示している)
身体活動量と動脈硬化度の関係
身体活動量が増えればそれに比例して動脈硬化度は下がるのか?
下記グラフに示されるように活動量に比例して動脈硬化度が下がるわけではなく1日あたり約300kcal程度で頭打ちとなる。また、運動の強度も影響する。アメリカ心臓協会やアメリカスポーツ医学会では中強度の有酸素性運動を1日30分以上、毎日行うことを推奨している。
運動の継続と動脈硬化度の関係
運動を継続することが大切で、運動を中断することにより動脈硬化度が増大する。
下記グラフの示す通り、トレーニングにより、動脈硬化度は下がるが1カ月、2カ月運動を中断すると再び硬化度は元に戻る。
生活の中での無理をしない努力で少しでも血管年齢を若く保ちましょう !!