★ 開催日: 令和元年 12月24日(火) 時間 13:30~15:30
★ 場 所: 狭山元気プラザ 大会議室
★ 担当講師 :創造開発研究所主任研究員(元西武文理大学教授)安田亘宏氏
★ 講座スタッフ :コーディネーター市民大学小山学長:講座リーダー:草野喜実勝、
スタッフ:中山美喜子、有賀富士子
★ 講座テーマ:ファシリテーション力の磨き方~発想大局、着手小局~
第一部
1.ファシリテーション(facilitation)とは
・ビジネス用語、組織で行われる議論や問題解決に向けた調整を円滑に執り行うこと。
・様々な意見が飛び交う中を、うまく舵取りしながら、議論の目的にたどり着けるようにする
活動のこと。
・英語のfacilitate(ファシリテート)が語源。
「促進する」、「容易にする」、「手助けをする」、「円滑に進める」という意味。
2.ファシリテーター(Faciliteter)とは
・会議の司会進行役のこと
・とくにブレスト(ブレインストーミング)やアイディア出しのような会議で、大きな役割を
果たす。
・会議を取り仕切る役目として存在する。
・「そうか、そう考えて行けば答えが見つかる筈だ!」を引き出す存在。
.ファシリテーターの本質は「潤滑油」~油が有ると過度な摩擦を起こしたり、ぎくしゃくさせずに、
機械がスムーズに動く。
3.ファシリテーターの起源について
●facilitaterが使われ始めたのは、1940年代のアメリカ
●1954年にカール・ロジャースがグループ・カウンセリングと個の変容を解説しているのが初
●1970年代、英国において異文化コミュニケーションの教育プログラムの進行役に「ファシリ
テーターが用いらた。
●日本では、1950年代に使われ始めたものの、」当時はカウンセリング分野での使用。
●1980年代に入り国際問題、男女共同参画、環境問題などぬ分野で、「ファシリテーター」の
役割が注目され始めた。
●1990年にはビジネス界、社会活動でも「ファシリテーター」が使われる。
4.ファシリテーションの4つのスキル
(1)プロセスをデザインする。~議論の流れ(プロセス)を事前に良く考え、入念にデザイン
しておく。
*プロセスデザインのポイント
・ゴールを明確にする。ゴールを明確にしたらそこへ向かう最適なプロセスを考える
・ムダだと思っても意識的に「発散」過程を十分にとる
(2)場をコントロールする~想像以上に当事者たちの口が重かったり、感情的な対立が起こる
こともある。そうした場面をうまく処理しながら、議論のプロセスをコントロールし、
会議の場を維持する必要がある。
*場のコントロールのポイント
・「感情的対立」を「意見の対立」に変換する、・「空中戦」から「地上戦」に。・まずは信頼関係をつくる
(3)触発する、かみ合わせる~参加者を触発し、少しずつでも出てきた意見をそのままにせず、
激励し、かみ合わせ、発展させることが重要。
*触発・かみ合わせのポイント
・示唆に富む問いかけ、・直感力・推理力・想像力・創造力、・ツールの利用
(4)合意形成、行動の変化~議論の結果として全員が共有できる結論が必要。これを「合意形成」
と呼ぶ。一緒に考えるプロセスを共有することで「納得感」を醸成する。その後の「行動変化」が重要。
*合意形成・行動変化のポイント
・納得感、・活性化・効率化、・行動変化
5.ファシリテーターが活躍する会議とは?
・組織の内外の意見の交換や応酬という場面発生する会議。
・ブレストやアイディア出しの会議。⇒答えがひとつになるような直線的なやりとり、
たとえばメールや電話で済ませられるような用件は向かない。
6.ファシリテーターが生み出す価値とは?
・それはアイディアそのものとも言えるが、成果物であるアイディアは、議論メンバーと
チームが生み出した価値だと判断するべき。
・ファシリテーターが生み出す価値とは、アイディアの質というよりも、いかに短時間
で大量にアイディアを出すことができたか?にかかっている。
・たくさんのアイディアを積み重ねていく先に、量が質に転換していく。
7.会議の流れとファシリテーターの役割
①会議の序盤:会議の序盤では、参加者が発言しやすいような「場」を作ることが、
ファシリテーターの主な役割。参加者のエンジンかかる前に助走をつけることも必要な役割。
*「つかみ」の方法:・アイスブレーク・経緯の説明、・今回のゴールの説明、・前回のおさら
い、・テーマ説明・トピック
②会議の中盤:参加者のエンジンがかかってきたらそろそろ本番モード。中盤でのファシリ
テーターの役割は、多様な意見やアイディアが大量に出てくるように促すことと、その結果
から示唆を出し、さらなるアイディアや意見を促すこと。
*意見を出し+示唆だしの手法:・ブレスト(ブレイン・ストーミング)、
・5W1H・KJ法・マンダラート発想法、・オズボーンのチェックリスト
③会議の終盤:会議の終盤では、会議全体を振り返りつつ、結論をまとめて、次のアクションにつなげること。
時間を管理することも重要な役割のひとつ。
*アイディアの評価手法~・マトリクスグルーピング、・プライオリティづけ・ペイオフマトリクス、
・バタフライテスト・メリットデメリット
8.ファシリテーターが準備すべきこととは?
①進行すべき会議の種類の判断
会議のテーマがファシリテーションすべき内容かどうかをしっかりと見極める。
②人選と会議の招集
ひとつの部門、分野、属性から集めるのではなく、できるだけ多様な部門から集める。
③基本情報の共有
会議の参加メンバーとテーマや時間などの基本情報を共有。
④アイディア発想法やツール類の準備
最適なツールとテーマにあったアイデア発想法を準備する。
⑤基本的なフレームワークの習得
SWOTなどの有名なフレームワークを頭の中にいれておく。
9.ファシリテーターが会議中に気を付けることは?
①ルールの徹底:アイディア出しやブレストを成功させるためには、会議のルールをつくり守らせる。
②ゴールの明確化:会議の冒頭にゴールを明確にする。
③議論の盛り上げ:だれもが思いつきもしなかった意見やアイデアを促すように、工夫し参加メンバーの脳みそを揺さぶる。
④各種ツール・手法の活用:ツールや発想法を活用し、意見やアイデアを促す。
⑤次回のアクションの確認:次回の日程だけでなく、次のアクションについて発表する。
10.ファシリテーターが心得るべきこととは?
①人もアイディアも公平に扱えること:アイディアを出した人の立場を意識してアイディアもメンバー一人ひとりも公平に扱う。
②メンバーから信頼されていること:議論がわき道にそれないように、場をコントロールできる信頼される人物となる。
③自分自身がアイデアマンであるこ:主役はあくまでも参加メンバー、必要に応じて自らアイディアを出して、閉塞感を打開する。
④黒子に徹することができること:黒子に徹して、困ったときにだけ表に出るような心得を持つ。主役を譲る心の大きさが必要。
11.ファシリテーターが身に付けておくべき技術とは?
①アイスブレークの技術:打ち解けた空気を作るためにアイスブレークの技術が必要。
②アイディア出しの技術:具体的な手法は実際に試してみる。ひとりでブレスト。
③問いかけの技術:別の視点を与えたり、違った着想を促す技術を持つ。
④積極的傾聴の技術:積極的拝聴の技術が必要。聞き上手・黒子を意識。
⑤納得感醸成の技術:結論を誘導してはいけない。納得感の醸成は達成できない。
⑥ホワイトボードの活用術:ホワイトボードの活用術。まずは箇条書きから始めてみる。
12.ブレストのルール=オズボーンの4原則
①結論厳禁:批評しない、結論を出さない
②自由奔放:荒削りなアイディアを歓迎
③質より量:量と多様性を重視
④便乗歓迎:人のアイディアから連想
第二部:3つのグループに分かれてブレイン・ストーミング(ワークショップ)
テーマ:(各テーマ毎に10個のアイディアを出し合うこと。)
①狭山市駅前の人を集めるクリスマス・イベント
*サンタさんを駅前に呼ぶ、*トナカイの仮装、*子供へのクリスマスプレゼント、
*イルミネーション付きの巨大なツリー、*大茶会パーティー、*第九を唄う、*クリスマ
スソングをみんなで歌う。*聖歌隊を呼んでx‘ソングを歌う、*音楽会、*ストリート
ピアノを置く、*楽器演奏でみんなで歌う、*花火大会、
②狭山市内の廃校の利用方法
*幼稚園と老人ホームを造る、*保育所、*世代間交流の場、*サロン、*介護施設、*学
びの場(cf.市民大学)、*避難場所、*外国人宿泊所、*子ども食堂(晩御飯、*学習室)、
*退職後の健康施設、*芸術村(絵画、陶器その他を展示)、*コンサート会場、*市民の
交流の場(お祭り、催し、集会など)
③狭山市に訪日外国人旅行者を呼ぶ方法
*狭山に来た外国人にYuoTubeに出て貰ってアピールして貰う、*民宿など宿泊施設の充
実、*狭山の歴史と名所案内人を養成、*外国人向けのパーティーを開催、*お茶のセレ
モニ―、*和菓子作りの体験イベント、*ごぼう茶の活用、*狭山B級グランプリ開催
*20分後に3つのグループに10個のアイディアを発表した。
★ 締め括り:発想大局、着手小局~
*「発想大局」 : 広い視野で問題をとらえ発想すること
*「着手小局」 : 小さな事柄から心を配り実践すること
⇒ファシリテーターの真髄
*「着眼大局、着手小局」
孔子の弟子、荀子の言葉「全体の状況を俯瞰的に見ながら、目の前の小さいなことを
細心の注意を払って実践する」という意味。囲碁の世界でも使われる。
英語:Think Globally, Act Locally.
以上