「狭山の歴史講座」校外学習第9回 史跡・文化財めぐり「東三ツ木から青柳地区」
実施日:2019年12月5日(木) 8時15分集合~12時15分現地解散
天 候:晴 12度 晴天でしたが日陰は空気が冷たく12月らしい天候でした。
地 区:東三ツ木から青柳地区 コース距離 約4.5㎞
コース:新狭山駅南口集合→青柳バス停…氷川神社…青柳の地蔵…青柳の馬頭観音…鎌倉街道跡…
寿荘(休憩)…加佐志の共同墓地…羽黒神社…東三ツ木の薬師堂…三ツ木公園(現地解散)→新狭山駅
参加者:髙橋先生 受講生13名 スッタフ5名 狭山歴史ガイドの会5名 総勢24名
◇今回訪れた「東三ツ木から青柳地区」の特徴
校外学習最終回となる当地区では、室町時代に大きな戦の舞台となった三ツ木原古戦場跡や、“いざ鎌倉”で有名な鎌倉街道(堀兼道)遺構に出会えます。また、珍しい文字(ウハッキュウ)を刻む馬頭観音や、耳だれにご利益のある地蔵菩薩、赤い鳥居が美しい「羽黒神社」などにも触れ会えます。今回はその中で、市内で唯一古道の昔の面影を残す「鎌倉街道遺構」と、当地を開いた三ツ木国重ゆかりの「東三ツ木の薬師堂」をお勧めスポットとしてご紹介いたします。
ϴϴ お勧めスポット① 鎌倉街道(堀兼道)遺構 所在地:狭山市加佐志
・鎌倉街道は、鎌倉幕府の成立と共に軍事目的のために整備された中世の街道です。市内を通るのは上道(かみつみち)といわれる道で、本道と枝道の2本があります。ここは上道の枝道で便宜的に「堀兼道」と呼ばれた道です。この道は所沢市から狭山市内に入り、堀兼神社前を通って加佐志の現在地に至り、東三ツ木で分岐し、一方は柏原方面へ、一方は川越市の藤倉を経て河越氏の館があった上戸へ向かっています。この加佐志の堀兼道跡は、市内で唯一昔の面影を偲ばせる遺構で、長さは約130m、上幅約12m、下幅約2mの切通し状になっており、当時の鎌倉街道の雰囲気を良く遺している貴重な場所です。 ・市内を通る鎌倉街道は、鎌倉と上野国(群馬県)や信濃国(新潟県)などを結ぶ主要街道であったため、鎌倉時代から戦国時代にかけて、軍事用だけでなく物資の流通にも盛んに利用されていました。しかし、江戸幕府が五街道を整備したことに伴い急速に衰微し、幻の道となっていきました。
ϴϴ お勧めスポット② 東三ツ木の薬師堂 所在地:狭山市東三ツ木8
・東三ツ木の住宅街の一角に建つ薬師堂の本尊「木造薬師如来坐像」は、14世紀に当地を開いた三ツ木国重の守護仏といわれ、また当薬師堂縁起では秘仏とされています。この像は奈良時代に行基が刻んだといわれていましたが、昭和3年(1928)の調査の結果、底の部分に「応永6年(1399)9月18日 作者常仁」と墨書銘文のあることが発見されました。日光菩薩と月光菩薩を従えた「木造薬師三尊像並びに十二神将像」は、平成29年に狭山市指定文化財・彫刻として指定されました。
・薬師堂の横に建つ石灯籠の形をした石仏は浮彫の「石幢(せきどう)六地蔵」です。全高が約174㎝の六地蔵は元禄元年(1688)10月に三ツ木家が建てたものと思われます。禅定門と禅定尼2名の戒名が刻まれており、「施主、宗広徹」とあるので先祖の廻向(えこう)仏と思われます。
・石灯籠と並ぶ「馬鳴(めんみょう)大菩薩」と刻まれた珍しい石仏は、文化5年(1808)に三ツ木村の講中が桑や蚕が順調に育ち、繭がたくさん採れるように願って建てたものと思われます。
◇おわりに
今回は、これまでも幾度となく見学をしてきた馬頭観音や地蔵菩薩、同系統の神社や仏閣に再び出会えました。その一つひとつにはそれぞれ異なる存在理由があり、施主や民の深い願いが籠っていることを改めて認識しました。また、軍事的色彩のある古道の側には神社仏閣や石仏が多く建てられていることなど新たな発見もありました。当市に残るこうした様々な史跡・文化財の奥深い価値や魅力について、これからも探求したいという思いが沸々と湧いてきました。
◇ 2019年度「史跡・文化財めぐり(校外学習)全9回」を終えて
機関誌・広報担当スタッフ 青山 泰夫
今回を持ちまして、「狭山の歴史講座」の2019年度『史跡・文化財めぐり(校外学習)全9回』が無事終了いたしました。本年度は、郷土に受け継がれてきた貴重な史跡・文化財の魅力を広く皆様にお伝えしたいと思い、“誰でもいつでもふらっと立ち寄り見学できる「お勧めスポット」”を各コース2か所ずつ取り上げご紹介してきました。
私たちの郷土である狭山市には、日々の暮らし中で見過ごしてしまいがちな、道端に建つ石仏や歴史を刻む神社仏閣、昔ながらの形態で執り行われる祭事、古代の井戸跡や街道跡など、多岐にわたる魅力的な史跡・文化財が数多くあります。是非その魅力に触れて頂ければと思います。
本講座では、私たちが暮らす“さやま”の歴史を、古代から現代まで「通史」として学べます。そして、本記事のテーマである『史跡・文化財めぐり』では、狭山歴史ガイドの会による分かり易いガイドと、髙橋講師(狭山市文化財保護審議会委員長)による専門的見地からの補完説明があり、郷土に受け継がれてきた本物の魅力を受講生一人ひとりが肌で感じることができます。
本講座にご関心・ご興味のある方は、令和2年度のさやま市民大学「狭山の歴史講座」の受講をお待ちしております。8か月間にわたりご高覧いただきまして大変有難うございました。
☆ 本年度の史跡・文化財めぐり「お勧めスポット」の一例…… ☆