第15回 12月14日(月)
「狭山の平地林と里山文化」
講 師: 早稲田大学 自然環境調査室 講師 大堀聰 様
会 場: 元気プラザ 大会議室
受講生: 出席31名、欠席0名
・緑のまとまりの重要性
・雑木林-人での入った自然
・雑木林とは
・オオタカの行動範囲
・オオタカの採食動物
・オオタカの性的二型
・雑木林の管理放棄
狭山丘陵や本庄を中心に30年以上にわたってオオタカの生態調査を行っている大堀様に平地林の意義を語って頂きました。
生物多様性を維持するためには、森や林の形態が大きく影響し、森林率が同じなら分散より集中が好ましいとのことでした。入間市や所沢市、狭山市は人口が多い割に、森林面積は10%以上とのデータを示され、平地林の縮小は生態系にとって避けたいと語られました。さらに、平地林の存在意義は生物多様性だけでなく、人間社会に対しても恩恵をもたらしており、供給的サービス(食物、飲料、燃料など)、調整的サービス(大気、気候、災害など)、文化的サービス(文化的・知的・精神的刺激、レクリェーションなど)、基盤的サービス(物質循環、伝染病防御、光合成など)、保全的サービス(遺伝子・種の多様性、傾斜地の崩壊予防など)を指摘されました。これらの効果を評価すると、年間75兆円以上(2000年)と推計されているそうです。
オオタカの生態については、発信機を取り付けての観測から、雄雌におる特徴・行動範囲・個体差を細かく分析し、メスはオスよりも大きい理由は、餌資源の競合を避けるためであること。餌捕獲能力の高いオスのつがいは長く連れ添うことなど、興味ある調査結果を披露して頂きました。いずれにしても、狭山に展開する平地林は貴重であり、生物的、文化的側面からも維持していきたいと感じました。講座内容は後日冊子としてまとめる予定です。