二代目市川團十郎の日記から読み解く!(第3回)
享保期一大変換とは?
日 時:令和6年3月5日(火)13:30~15:00
場 所:狭山元気プラザ大会議室
講 師:ビュールク トーヴェ・ヨハンナ先生
受講生:20名
講師プロフィール
ビュールク トーヴェ・ヨハンナ(BJÖERK, Tove Johanna)
埼玉大学人文社会科学研究科教授
フィンランドの大学卒業後、日本文化に傾倒し立教大学に留学
その後、埼玉大学で歌舞伎を通して多方面から江戸期の文化を研究している
①劇場図の男女比と身分の特徴 ②お狂言師について
③公共圏としての歌舞伎劇場?
劇場図、土間席と桟敷席の男女比及び土間席と桟敷席の割合とその客層をスライドと円グラフにて説明。江島生島事件以降は女性客はひかえていたとのことです。
江戸歌舞伎は、享保期(1716年〜1735年)に大きく発展したと言われていますが、当時の資料は少なく、これまでその実態は明らかにされていませんでしたが、この時期に書かれた二代目團十郎の日記により、ビュールク先生がその歴史を紐解いてきたとのことです。
その研究結果をもとに、享保期江戸歌舞伎の芸態論として二代目團十郎の読書体験が及ぼす演技・演出への影響、開帳興行と不動明王の演技・演出の関係、もぐさ売りを中心にした宣伝の演出と『助六』と喫煙の演出について教えていただきました。また享保期江戸歌舞伎の劇場経営について、森田座の休座と控櫓による河原崎座の旗揚げについて、そして享保期の芝居茶屋と前述の江戸歌舞伎の観客についても、映像と共に教えていただきました。
また、日記より享保期中、江戸では歌舞伎劇場を中心とした商業圏が形成されたことが明らかになりました。歌舞伎劇場は身分制限は無く、劇場に人が集まれば周りの茶屋も潤います。最後は現代の歌舞伎の舞台を、ジャンル毎にまとめた映像で受講生を楽しませてくださいました。
最終回である本日、初めて『二代目市川團十郎の日記』というワードが出てきました。受講生の中には、いつこのワードが出てくるのかと思っていた方もいたのではないかと推察します。
今回の講座は1回90分で全3回でしたが、講座内容が奥深いだけに、もう少し時間があればビュールク先生が持っておられる知識を聞かせていただけたでしょうし、質疑応答の時間も取れて一層満足感のある講座になったことでしょう。いずれにしても今までにない斬新な講座であったことは確かで大いに興味深い講座でした。
<受講生の声>
分かりにくい部分もあったが、こういう講座も必要かと思う。