~オリンピック会場都市狹山ができるインバウンドの”おもてなし”を考える~
第2回講座実施報告書
テーマ: 狭山市の持続可能な国際観光都市(インバウンドシティ)への構想 観光の光と陰、町の表と裏
講 師: 構想博物館館長 望月 照彦氏
実施日: 2018年4月17日 13:30~15:30:
場 所: 狹山元気プラザ 大会議室
出席者: 受講生12名 オブザーバー2名 計14名
今なぜ、インバウンドが大切か
1. 2020年2回目の東京オリンピックが開催され狭山市は初めてのゴルフ競技の会場となる、そのとき世界中から大勢の外国人観光客がこの年を訪れる。
2.狭山市は、まさに「国際観光都市」創造のチャンス
3.訪れた外国人観光客が再びこの町にやってきてリピーターになり、評価し、楽しんでくれるだろうか。これがこれからの大きなテーマとなる。
4.彼らが、狭山市の文化や産業や、市民のおもてなしの心に対応してくれるかどうか、偉大な実験が始まる。
持続可能な国際観光都市創造の条件
1. 国際交流に必要な条件は、市民のおもてなしの心、すなわちホスピタリティシティ
であるかが大前提である。世界的に見て、評価される国際都市でおもてなしのぞんざいな都市はむろん存在しない。
2. ここ何年間で観光とその対象となる都市資源の在りように大きな変化が生まれている。
3. 旅人・松尾芭蕉はそれを「不易流行」といった、不易はお招きの心、そして流行は観光のスタイルと産業である。
観光と地域産業の2つの変異点
第1の観光変異点:観光は、光の当たるところだけでなく、影の部分が実は重要になる。
第2の地域産業変異点:地域産業は表だけでなく、裏の部分が大切な役割を果たすようになる。
4つの資本を活用した4つのモデル例
1. 心に響く歴史の光【光x表】
ワルシャワ(ポーランド)の旧市街地(商店街)の市民の手による再生計画
2.衰退した商店街を再生させたバルクラスター【光x裏】
サン・セバスチャン(スペイン)の地域の伝統食材を活かした店舗連携
3.市民と観光客が交流するナイトライフ(影x表)
リスボン(ポルトガル)のファドの店が創る豊かな街の時間とエコノミー
4, 廃れた商店街も横丁・ロジ・裏町で再生する。(影x裏)
吉祥寺のハーモニカ横丁、三軒茶屋のエコー仲見世商店街
商店街は、川上である製造業、サービス業、運送業等と、顧客(川下)である市民、生活者、観光客をつなぐ役割を果たす。それらを《結び》,《繋ぎ》還流させることは街の「付き合い」こそがその基盤となる。・・・街づき合いのセンターとして,『旅の駅』が今各地で研究されている。
狭山『旅の駅』の構想:
初めてのタウンを訪れる外国人観光客にとって、心強い味方は何か、地域コミュニティの人々と友達になりたいという願望、新しい観光のスタイルを支える「プラットフォーム」の試み=・・・・ヨーロッパ中世の旅人のために、旅人が病気になった時に、旅人を救うホテル、ホスピタリティが誕生した。
「サヤマ・ハピネス・ツーリズム」は、世界が幸せと平和になる意図を構想したものである。
受講生からの意見
・インバウンド・アウトバンドという一方通行ではなく受け入れ側のホスピタリティを含めた双方向の国際交流が重要な要素となる。観光都市に変えていくための可能性については狭山市の観光資源(コンテンツ)のありだしが必要
・さやま大茶会を生かして外国人の方々が体験できるような、例えばさやま市民会館を会場としてイベントの企画を行う。
・旧図書館尾の跡地に計画されている狭山茶を楽しむサロンを利用してインバウンドの客をもてなす。
・狭山市との協働事業で観光パンフレット作製に取り組んでいるので今回の講座が参考になったパンフレットを通じて狭山をお茶、寺、入間川でアピールしたい。英語、中国語、韓国語による案内パンフレットの作成
・観光の概念が変化してきていることがわかる。光と影、表と裏、での影、裏の大切さが理解できた。狭山の観光都市化に関しては、可能性はあると思うが現状を見ると見通しは暗い。もっと積極的な再開発が望まれる。旅の駅に関しては、まず理解することが重要。
講座リーダーのコメント 江頭 誠治
昨年に続いて国際交流講座を担当することとなり、全15回を無事達成することが私の使命頑張ります。今年も12名の受講生を迎え2020年の東京オリンピックを控え受講生の皆様の熱意がひしひしと伝わってきます。
本日の構想博物館望月館長の講義により、狭山市の「持続可能な国際観光都市へ」の構想を聞き、その実現化に向かって、受講生の皆さん、スタッフとともに。努力を続けたいと思います。インバウンドのお客様への“おもてなし”にはシンプルにわかりやすく私たちの気持ちを伝え、喜んでもらえること及び正確な情報の伝達・広報が大切だと考えます。講座の運営については、受講生の意見が自由に飛び交う楽しい講座となるよう期待しております。